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第一話 ネコーズ VS 人面犬 開始編

 夕暮れ時のある時、名探偵ことシャ―ケット・ネコーズは、猫用ミルクを飲みながら物思いにふけっていた。


「ああ、そろそろ僕の彼女として可愛い雌猫が現れてもいい頃なのに、全然登場しないな」


ネコーズは鏡を見ながら言う。


「こんなにハンサムなのに……、あ、牛乳が口周りに……」


ネコーズは牛乳の付いた口を拭き、改めてポーズを取る。それがネコーズの日課だった。


「ふう、モテる猫とは、常に清潔感に気を使うのだニャン! 


まあ、可愛い雌猫がいないじゃ仕方ないし、アホでエロのモコソンでも構いますか。


医者とか言って、街を練り歩き、倒れてる美女と人工呼吸をもくろんでいるようだが、いまだにうまくいった事はない。


まあ、そのエロパワーには、敬服するけどな」


そう言って、ネコーズはコートと帽子をかぶり、モコソンの居るであろう場所に向かった。


ネコーズが今日推理したモコソンの場所は、駅前の最近オープンした100円ショップだ。


モコソンは新しく入ったアルバイト店員が可愛いと、昨日の夜中に言っていた。おそらく衝動に負け、その辺一帯をうろちょろしているのだろう。


奴は羊だから、警察も手を出せない。それをいい事に、スカートの中に潜り込んだり、太ももを触ったりしているのだろう。


ネコーズならば、店員も可愛いと許してしまうだろうが、モコソンは蹄、この寒い冬空の下、誰が冷たい蹄に触って欲しいか。


ネコーズは、モコソンに現実を教えてやるため、駅前に繰り出して行った。


車に気を付けて、モコソンに襲われている美女を速く助けるんだ!


 モコソンは案の定、ネコーズが推理した場所に居た。しかし、幸いにも店員が忙しいためか、まだ手を出していなかった。


怪しい格好で、店内をうろつき回っている。全く、迷惑行為も甚だしい! 


若い店員のお姉ちゃんは全く警戒していないが、年老いたおばちゃんはモコソンに警戒している。


いるんだよ、自意識過剰なクソババアは……。


 ネコーズは店内に入ろうとするが、センサーが反応せず、自動ドアが開かない。


「おい! ふざけんなよ! 僕が来たら、普通は店内総出でお出迎えするモノだろ! なんだこの締め出しは……。ああ、もう! 


豊橋市はネコーズ受入れのために、全店に猫用の通路を設ける必要があるニャン! せいぜい一万円以内の改築費だろ!」


ネコーズがそう喚いていると、店に来た客が自動ドアを開ける。ネコーズは客に紛れて店内に侵入する。


「ふん! せめて、猫用センサーを付けるべきだニャン! 

そうしないと、猫のお客様が不便だニャン!」


ネコーズは店長に一言そう言い、モコソンを捜しに行く。店長は突然の事にビックリしていた。


モコソンは案の定、若い店員をつけ回し、ベストショットを狙っている。


「ハーイ! こっち見て! ああ、笑顔が素敵だよ! 

ああ、スカートを押さえちゃダメじゃないか! もう一度取り直しだ!」


そう言うモコソンを、ようやく店員は警戒し出す。


モコソンは始めの内は、ちょっとシャイボーイだが、注意されないと、どんどん行動がエスカレートしていく傾向にあるのだ。


「きゃあ! 何よこの羊、さっきから店内をちょろちょろと……。誰かのペットだと思って、無視してたのに……。


デジカメまで持ってるし、もう本当に邪魔よ!」


若い店員がモコソンに怒りを感じ、叩こうとする。これもモコソンの計画の一つなのだ。そう、モコソンはドMでもある。


ネコーズは、若い店員のお姉ちゃんがモコソンを叩こうとする瞬間を狙い、モコソンに体当たりをして邪魔をする。


モコソンの計画は失敗し、店員の攻撃は空振りに終わる。ネコーズは可愛い声を出し、店員にアピールする。


「あら、可愛い猫ちゃんね。よしよし……」


ネコーズの睨んだ通り、若い店員は猫好きだった。しばらく至福の時を過ごす。


「ああ、酷い! 本当は僕が至福を味わう時だったのに……」


モコソンはネコーズに抗議する。


「ふん、デジカメは無事だろ。後で一緒にじっくりと観察しようぜ! これもパトロールの一環だ。ここで何かへまをやらかせば、没収されてしまうぞ!」


「うむ、君の言うとおりだ……」


モコソンは,ネコーズの意見に大人しく従う。


若い店員のお姉さんは、ネコーズとモコソンの会話を聞き、驚きを露わにする。


「え! 猫ちゃんが喋った! それにこの怪しい羊も……」


ネコーズはそう語る店員に、紳士的な態度を取って、あいさつする。


「どうも、驚かせてすいません。僕は探偵のシャ―ケット・ネコーズ。こっちは助手のモコソン。


最近、この辺をうろついているという怪しい生物、人面犬を調査していた所ですニャン! 


なんでも、その生物が現れて、若い女の子が夜怖くて出歩けないだとか、僕達は美女を守るスペシャリストです! 


今日はあなたの家まで、護衛させていただきますよ。

報酬は何、美味しいご飯をくれれば、それで我々は満足です!」


「ええ! どっちかといえば、あなた達の方が怪しい生物なんだけど……」


「いえいえ、その問題の人面犬は、おっさんの顔をしたキモい生物。僕達のような可愛らしい生物とは、似ても似つかない。


まあ、無理にとは言いません。何かあったら、ここに連絡してください!」


ネコーズはクールに立ち去ろうとする。


「えーと、良いわよ、一晩くらいなら……」


そう言う若い店員にモコソンはがっつく。


「ええ! 風呂に一緒に入ったり、背中を流しっこしたり、温かいベットで一緒にお寝んねしてもよろしいんですか?」


「いや、そこまでは……」


店員はそう言う。


「全く、僕達は調査に来たんだ! 遊びに行くんじゃない!」


ネコーズはカッコよくそう言い切った。


「うう、分かったよ……」


モコソンは若い店員と一緒に居るために、欲情をセーブする。


「じゃあ、よろしくね」


「お姉さんの名前は?」


「若田よ! 若田雅美」


「雅美さんか……。よろしく!」


こうして、ネコーズは若い店員さんと一緒に帰る事になった。モコソンも一緒に来ようとする。すると、おばさん店員に捕まった。


「キャー、羊ちゃん! 私も人面犬怖いの!

一緒にお寝んねして!」


「ギャー! 僕はお姉さんと……」


モコソンはそう言って拒否をするが、おばさんの力は強く逃げられない!


「モコソン! 女性の安全を守るのも、僕達の仕事の一つだよ! 

今夜はしっかりやりたまえ!」


「そんな、ネコーズ……」


こうして、モコソンはおばちゃんの家に一緒に帰って行った。果たして、人面犬とは、どのような奴なのだろうか? 


頑張れ、ネコーズ、モコソン!

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