ほんとにバカなの佐藤さん2
前回の続きです。
佐藤さんって今どこにいるんだろうか、検討もつかない。
せっかく勇気を振り絞って二年生の教室に行ったのに。
意味がなかったじゃないか……いや、無駄足を踏んだじゃないか。
言い直した必要があったのかな。
でもここは難しい言葉を使ったほうが……絶対いい。
こんなどうでもいい話はほっといて本題に入ろう。
「一体全体どこにいるんだろうか」
急がなければ休み時間が終わってしまう。
というか休み時間が十分間という訳は……。
休み時間はもうとっくに終わっていた。
なんでチャイムの音に気がつかなかったんだ。
しかも、僕は授業をサボるということを一番嫌っていた。
でもいいや、佐藤さんに勝るものはこの世に存在しないのだから。
「でも、授業がもう始まっているということは」
佐藤さんはもう教室にいるということになって。
いったい僕は何をしていたんだ。
現在僕は屋上にいた。
なぜ、屋上にいたかと言うと、一番寝やすそうだったからです。
思っていたよりも、床がコンクリートで固くて全然眠れない。
そんな時、人の気配を微かに感じた。
「おい、誰かいるのですか」
自分の中で無難と思っている回答をする、すると……。
「誰もいませんよ笑」
ベタな答えが帰って来たがそこは無視しよう、あと笑の部分も。
「いるんだろ、出てこい」
ちょっときつい言い方だったかな、でもまあいいだろう。
「いい加減にしてください、気になるじゃないか」
「じゃあ、当ててみなよ」
こいつ、おちょくっていやがる、性格悪いな。
「わかったよ、馬鹿な人」
「なによ、馬鹿な人って、本当に馬鹿みたいじゃない」
「馬鹿、馬鹿自分で言っている段階で相当な馬鹿と思いますよ」
大丈夫だ押してる、珍しく自分が言葉で押しているぞ。
しかし、押していると思っていたのは自分の自惚れだった。
「じゃあ、もしその相当な馬鹿が私だったらどうする?」
そう言って姿を現したのはなんと佐藤さんだった。
「さ、さ、佐藤さん」
「正体は私伊左実でした」
「佐藤さん、すいませんでした、本当すいませんでした」
「二回言わなくても大丈夫だよ、伝わっているから」
「でも、僕は自分の尊敬する佐藤さんに馬鹿って何度も」
「しつこいな、大丈夫って言ってるでしょ、あと私は尊敬されるような人 じゃないよ」
「いやいや、めっそうもない、僕の尊敬する人は佐藤さんただ一人なのだ から」
「そこまで言われると困るな、ありがたく受け取ろう」
「あれ、元の佐藤さんに戻った」
「何を言うか私は私のままだぞ」
「でもさっきまで一人称が伊左実でしたよ」
「なに、また出ていたのか、全くすまんだな」
何がなんだか意味がわからなかった、なんだよ出てきたって。
「ひとつ言っていいですか、佐藤さんって二重人格なんですか」
「まったくもって違う、断じて違う」
「あの、同じ意味の言葉を言わなくてもいいですよ」
「同じ言葉など使っていない、使用していない」
ああ、絶対佐藤さん動揺しているな。
もしかして、本当に二重人格なのか。
「おおっと、いけないもうこんな時間か急がなければ」
「ちょ佐藤さんあと一つ質問」
「ではな、また部活で会おう」
佐藤さんは慌てた様子で屋上を立ち去ってしまった。
何かうまくかわされた気がする。
疲れた3