尊敬すべき佐藤さん
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僕の尊敬する人は佐藤さんだ。
佐藤さんは剣道の全国大会で優勝して同じ剣道をしている者として尊敬していた。
僕が見た中でも一番と言えるほど強い。
しかもその佐藤さんとは同じ学校で同じ部活に所属している。
去年佐藤さんが一年生で全国制覇をした時にたまたま佐藤さんの試合を見ていて惚れたのだ。
「佐藤さ〜ん」
あぁ、何度見ても綺麗で鮮やかな太刀捌き見とれます。
いつも佐藤さんを見ているので部活ではちゃんと練習はしていなかった。
「おい、更待ちゃんと練習しろ」
「はい、佐藤さん頑張ります」
「なら、よろしい練習に励めよ」
佐藤さんは二年生ながら副主将を務めていて、容姿端麗、性格もよくて男女問わず人気がある、佐藤さん目的で剣道部に入った人もいるほどだ、僕もその内の一人だけど
「更待さんまた佐藤さんを見ていましたね、いい加減にしたほうがいいですよ」
「待ってよ、駿河まるで僕が変態みたいじゃないか」
「実際変態じゃないですか」
僕には 駿河 流という天敵がいる。
小学校からずっと同じ学校に通っていて、家も近所なので幼なじみみたいな存在にある。
「ちなみに駿河の好きな人は」
「ちょ、なにいってんのそんなのいないから」
「いや、動揺が見えているよ、お前はいつも動揺すると口をパクパクさせるから」
「そんなのいいから早く練習しなさいな」
自分は駿河とずっと一緒だったので大体のことは行動を見ればわかってしまう。
しかも、駿河はバカなので自分ひとりでは何もできないと思う。
でも、どうしてだろう見た目はいいのに全然佐藤さんのような美しさが感じられない。
ずっと一緒にいたからなのか駿河の魅力に気付けなくなっている気がする。
「駿河、もっと女らしくしろよ、佐藤さんみたいに」
「うるさい、これでも喰らえ」
駿河は竹刀を振りかぶって、面 胴 こてぇ お手本みたいな綺麗な形だ。
しかし、同時に僕の記憶と気を失うくらい強烈だ、さすがに防具無しはダメだって。
僕の最後の記憶は、周りの人間が大慌てで僕を担ぐ記憶だった。
僕が目を覚ますと、そこは保健室のベッドに寝かされていた。
どれくらいの時間気を失っていたのか、もう外の景色は少し暗くなっていた。
保健室の灯りも消えており、人の気配が感じられない。
「おい、自分どれだけ眠っていたんだ、早く帰らねければ」
僕は急いで帰りの支度をする。
まず、制服を着てベッドのシーツを綺麗に戻して、通学カバンを……。
通学カバンがない、あれには財布やら、生徒証明証とか定期とか入ってるのに。
まずいぞ、これでは家にすら帰れないじゃないか、ここから歩いて帰るか。
でも、ここから家まで遠すぎる。
こんな時間になると先生方が少し残っているくらいしか人が……。
そんな時廊下に人影が見えた。
ここはダメ元で声をかけてみよう。
「あの、すいません僕のカバン知りません……か」
「うん、カバンがどうしたのだ」
「さ、さ、佐藤さん」
僕は絶句した、そこには僕の尊敬すべき佐藤さんだった。
「おお、更待ではないかこんな時間にどうした」
「僕は、駿河に殺されかけたんですよ」
「そういえば、大丈夫だったか」
「はい、ご覧の通り元気です、佐藤さんこそどうしたんですかこんな時間に」
「実は、このカバンの持ち主を探していてな、見覚えはないか」
「あぁ、それ僕のですどこにあったのですか」
「道場の端に落ちていたのだ」
「いや、それ置いておいたんです、てっきり保健室に運んでくれた時に一緒に持って来てくれたかと」
「良かった、持ち主が見つかって」
「ありがとうございました」
「礼には及ばない、そういえば駿河が心配していたぞ」
俺を殺しかけた張本人が心配すな。
「でわな、帰り道頑張れよ」
「え、頑張れ?」
「そうだ、半永久的に頑張れ」
佐藤さん言葉の使い方間違ってるよ。
疲れた