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酸っぱいみかん

作者: せおぽん
掲載日:2025/10/26

この間買ったみかんは酸っぱかったな。

僕はあの時の反省をしている。

みかんかごの前で。


僕はいくつかある、みかんかごをあらゆる方向から見て吟味している。


かれこれ15分。

店員が、あきれ顔で僕を見ている。


横から、ひょいとみかんかごを取る女性。

僕は思わず「ちゃんと選んだ方が良いですよ」と言ってしまった。


その若い女性は、訝しげな顔で僕を見て応えた。

「このみかんが1番美味しいから」


「そうなの?なんでわかるの?」と、僕は彼女の持ったみかんかごの中のみかんをまじまじと見てしまう。


「私、美味しいみかんを見極めるの得意なんです」僕は、びっくりして彼女の顔を見た。みかんに気を取られていたけど、彼女はとても可愛い。ちょっと気が強そうだけど、芯がありそう。僕をまっすぐ見てハキハキと応える。


「良かったら、僕にも教えてくれないか?」

「良いですよ。みかん好きなんですか?」


ーーーーー


ナツキちゃんと付き合い始めて3年。やっぱり僕はみかんを選ぶのが苦手のようだ。


「じゃ、この中から選んでみて」


「う、うん」

僕はみかんをいくつか手に取り吟味する。うん、これだ。前に美味しかったみかんがこんな感じだった気がする。


「私なら、これです」

と、彼女はさっと1個とってパパっと皮を向いて一房僕に渡した。

「食べてみてください」

美味しい。凄いな。


「ハルヒさんが、自分で選んだみかんも食べてみて」僕は自分の選んだみかんも食べてみた。

酸っぱいや。僕は駄目だな。


「ははは、やっぱり可愛い」

ナツキちゃんが、僕を見て笑ってる。

「ハルヒさんの酸っぱい顔。可愛いです」


僕は決心して「良かったら、僕のみかんも選んでくれないか。できればずっと」と言った。


彼女は笑うのをやめて真面目な顔で応えた。

「良いですよ。でも、時々酸っぱいみかんを食べさせてもらいますからね」


と彼女は僕に顔を寄せて、キスをした。

そのキスは酸っぱいみかんの味がした。


ーーーーー


ナツキと結婚して、1年経った。

僕は、みかんが大好きになっている。

いつもナツキに選んでもらっているからね。


今は2人でスーパーに来ている。

みかんのかごが並んでる。

僕たちの出会った時も、こんな感じだったな。


「ナツキ。今日は、どれが美味しいかな?」と、僕はウキウキで振り返り、彼女の顔を見た。


「今日は、ハルヒさんが、みかんを選んで」


「え?どうしたの?僕は酸っぱいみかんしか選べ無いよ?」


「酸っぱいみかんが食べたいの。昔、言ったでしよ。『時々酸っぱいみかんを食べさせてもらいますからね。』って。わからないかな。 私たちの赤ちゃんができたんだよ」と言って彼女はニッコリと笑った。


僕は、飛び上がって喜んだ。


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