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山里菜乃葉「王城のお客さん」

今回は「幽霊少女に救われたい」の登場人物が登場します!

私と伊里也は王宮の廊下を正装で歩いていた。

今日は来賓があるらしく、同席を琴葉に頼まれた。

ということで、私達はアスクレイン王国の最上級貴族として同席することになった。

今日は魔法大国であるアスクレイン王国と縁を結びたいという国の国王と王妃が来ている。

レナルド王国の国王と王妃だ。


「ねぇ、伊里也。レオナルド王国の王妃様ってすっごく有名人だったよね?」

「ん?あー、アリスティア様のことか。いい意味でも悪い意味でも有名になった方だからな。菜乃葉が知っててもおかしくないな」


何した人だっけな。

どっかの国を救った……。

だっけ?


「ほら、俺達が眠っている間滅んだセリューム王国を復活させた人だよ」

「あー、そんな事した人いたね。それが王妃様ってことか」

「そう」

「でも、王妃様も結構魔力高くて複雑な構成も余裕なんじゃなかった?」

「レオナルド王国の魔法構成は無駄が多いんだよ。だから、効率よく魔法を使うために無駄の少ないアスクレイン王国の魔法構成を教えて欲しいらしい」


この世界では言葉はもちろん、魔法構成も国によって違う。

アスクレイン王国は一番効率よく魔法を撃てる。

だから色んな国がその技術を求めて国交を深めようとする。

応接室に着いた私達はドアをノックした。

中からメイドがドアを開けた。

私達は頭を下げた。


「遅れて申し訳ありません。レイチェル・レオナルド様、アリスティア・レオナルド様、ギディオン陛下、セシリア王妃」

「お気になさらず。お会いできて光栄ですわ。イアン・グリーファ様、ユリィ・グリーファ様」


レイチェル様もアリスティア様も私も名前のゴロ悪いな。

悪口じゃないよ?

言いにくいよねって話。


「菜乃葉、伊里也、座っていいわよ」


猫かぶりモードの琴葉が言ってきた。

私達は一礼してから空いているソファーに座った。


「もう国交の話は終わってしまったの。ごめんなさいね」


琴葉が申し訳なさそうに言った。

嘘つけ、微塵も思ってねぇだろうが。


「いえ、遅れてきてしまった私達が悪いので」

「外せない用事があったのでしょう?仕方ないわ」

「……いえ、違うんですよ」


琴葉は首を捻った。

そう、外せない用事ではないんだよね。


「喧嘩してたんですよ」

「喧嘩……」

「プッ」


誰かが吹き出した。

見るとアリスティア様が吹き出して笑っていた。


「こら、アリス。失礼だろう」

「ごめんなさい、レイ」


はて、おかしいとはどこら辺がだろうか。

アリスティア様は肩を振るわせながら笑いを堪えようとしている。


「童話に出てくるお二人もちゃんと人間なんだなって思って……」

「アリス!妃が申し訳ない」

「構いませんよ。私も失礼なこと考えてましたしね」

「ほう?それはどんな?」


レイチェル様が目を光らせて言った。

そこは「そうですか、よかったです」とか言って流すところでしょうが。

何で掘り下げとんねん。


「えぇっとぉ」


私は琴葉と柚木に視線で助けを求めた。

二人は自業自得だと言っているような顔をしている。

こいつらぁ……!


「えっと、……私達の名前のゴロ悪いなって思ってました」

「プッ」


レイチェル様は笑った。


「それだけですか?」

「……はい」

「ユリィ様やアリスは嫁いだからゴロが悪いのは分かりますけど、俺は元々王家の直径じゃないですから」


え?

そうなの?


「僕は王家の分家の生まれで、暴落貴族の一人っ子だったんですよ。両親は事故死し、途方に暮れていた俺をアリスが救ってくれたんです。そのまま隣国の王太子になって、いろいろあって、レオナルド王国の王太子になったって感じです」


そのいろいろが気になって仕方がないんだけど。


「元々、俺はレイチェル・ナーヴァと言う名前だったんです」

「……めちゃくちゃ直径じゃないですか!」


最近学んだ世界史でレオナルド王族とナーヴァ家はすごい直径!

みたいな感じで教わったのに!

そんなのが没落するの!?

レイチェル様は苦笑いをした。


「そういうもんですよ。汚れた思考の持ち主を七代貴族に置いてはおけなかったのでしょう」

「……王族って心狭めなんですかね?」


私が聞くと、レイチェル様は「そうかも」と言った。

アリスティア様はなぜかずっと私を見ている。


「あの、先程から気になっていたのですが……。ユリィ様にイアン様ですわよね?」

「え?はい」

「セシリア様がお二人が入室されたときに”菜乃葉”と”伊里也”と言っておられませんでした?」

「……ん?」


私と伊里也と柚木は琴葉を見た。

琴葉は思いっ切り、目を逸らした。

その顔には冷や汗が流れている。

何いつものノリで呼んでるのかなー?

気にならなかったけど、それアウトだよ?


「もしかして、ニッポンという言葉をご存知ですか?」

「……お?」

「だから、ニッポン――」

「アリスティア様も転生者何ですか!?」

「テンセ……イシャ……?」


あれ?

違うのか?

でも日本って……。


「……私は他の世界を覗くことが可能なのです」

「そりゃあ、魔力も守護精霊も神の加護もバケモン並み――」

「黙ってレイ」


なんだろう。

この二人、なんか私達に似てるような……。


「私はある世界を覗きました。その世界は他の世界とは比べ物にならない大きさで興味をそそられました。覗くとそこには見たことがないものがいっぱいで、この世界では聞いたことのない名前や言語、見たこともない食べ物などもありました」

「なるほど、それで日本を知っていたんですか」

「はい。あなた達の魂はその世界のものですね?」


それはスキルなのか?

オーリスと同じタイプかな。


「私達はいろいろあってこの世界に魂を連れてこられたんですよ」

「嬉しいです。あの世界の人と話してみたかったので」

「アリス、そろそろ時間だ」

「え?もうそんな時間?そっか……」


アリスティア様が残念そうに呟いた。


「それではセシリア様、ギディオン様、ユリィ様、イアン様、失礼いたします」


アリスティアとレイチェル様はお辞儀をして出口に行った。

ドアの側まで行くと、アリスティア様は振り向いた。

そしていたずらっ子のような笑顔を私達に向けた。


『楽しかったよ』

「……え?」


アリスティア様はレイチェル様と歩いて行った。

あの言語……。

日本語だ。

アリスティア様が日本語を理解できるはずがない。

そっか。

本当に人生ってありえないことだらけだ。

私達はアリスティア様達が去って行った後をずっと見つめていた。

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