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episode8 ラブソング


リッチが目を開けると知らない天井が出迎えてくれた。


「ここは?」


寝起きの目を擦りながら、起き上がり、辺り一面を見回す。


「ホテル。しかもここは、」


リッチは長年の経験から1つの答えにたどりつく。


「ラブホか。」


リッチは困惑する。どうして自分がここにいるか覚えてないからだ。


ベットに胡座をかき、顎に手を当てて、昨日のことを思い出そうとする。


「オレは、あのバーでアルビーナと会って、お酒を飲んで、そこから、」


アルビーナとお酒を飲んでいた途中から記憶がないのだ。


「潰れるほど飲まないと思うんだけどな。酔ってこのホテルで1泊したのかな。」


そこから数十秒頭を悩ませる。


「まぁ、考えてもわからん。酔って1泊するために立ち寄ったのか、それとも。」


リッチは考え終えると、服を脱ぎ、ホテルについているシャワールームに入る。


♪~♪♪~♪♪~


鼻歌を歌いながら、シャワーを浴びる。


シャワーを浴び終えると身体を拭き、服をきて、忘れ物がないかどうかを確認して部屋を後にした。


ホテルをチェックアウトするためにフロントに足を運ぶ。


フロントに立っていた男にルームキーを渡す。


「1つ聞きたいことがあるんですが?」


フロントに立っている男に向けて言葉を放つ。


「なんでしょうか?」


「このホテルにオレが1人できたかどうかってわかったりしますか?」


何故リッチはそれを聞いたのか、答えは簡単である。もし、もしもだアルビーナと一緒に入ったことがわかったら、記憶がないとはいえ、ルールを破った可能性がとても高くなってしまう。


「あぁ、すみません。そういうのはちょっと、わからないですね。」


「そうなんですか。わかりました。」


料金を支払い、ホテルから出ると。そこは見覚えるのある場所であった。なぜなら、昨日のバーからとても近い位置に建っていたからである。


「やっぱり、酔って1泊するために立ち寄ったぽいな。」


そこからリッチは色々なところによったり、お店に入り、ご飯を食べたりして、時間を潰した。


そして、夜になりあたりは暗く電気の光だけが街をてらしていた。


「今日はあそこにいくか。」


リッチが向かったのは、ファーストランドにあるキャバクラであった。


黒い鞄を手に持ってキャバクラに入店すると、ボーイの案内で席に着き、キャストを指名する。


そして、そこで贅沢にもキャバ嬢を3人もつけて豪快に楽しむ。


「今日はドンペリ入れちゃうよ。」


酒に酔って気分が良くなったのか、高い酒を注文していく。


「大丈夫なの?」


真横に座っているキャバ嬢の1人がリッチに言った。


「問題ない。問題ない。はやく持ってきてくれ。」


リッチの声がキャバクラ内に響き渡る。


そうしてキャバクラを楽しんでいると1人の男がキャバクラに入店してきた。


その男は黒いハットと黒いサングラス、黒いマスクを着用していて、黒いコートをまとっており、黒い革靴をはいていた。


その男はボーイの事を無視してリッチの所に向けて歩いてくる。そして、ある程度リッチとの距離が近くなるとコートの内ポケットに手を入れた。


その時、リッチは横に置いていた自身の黒い鞄を黒ハットの男に向けて投げつけると同時に何かを呟いた。


恋の押し付け(ラブソング)


その行動はリッチの勘に任せたものであった。


黒ハットの男は一瞬怯んだものの、コートの内ポケットから銃をとりだす。


銃を取り出したことによってキャバクラ内なパニックになり、悲鳴が響き渡る。


「静かにしろ。そして動くな。騒いだり動いたりしたら殺す。」


黒ハットの男のその声でキャバクラ内は静寂に包まれた。


「まて、オレに用があるんだろ。その子達は関係ない。」


怯えながら横に座ってる3人のキャバ嬢を端目にみながら、黒ハットの男に問いかけた。


「それもそうだな。おい。お前ら端まで移動しろ。」


黒ハットの男の言う通りに3人のキャバ嬢が移動しようとする。


リッチは左手の親指と人差し指で輪っかをつくりキャバ嬢の1人に向ける。


「おい。お前妙なことをするなよ。」


黒ハットの男が警告をする。


「いいだろ。これくらい最後にあの子たちをまじまじと見たいんだよ。」


リッチはそう言うと指でつくった輪っかを口元まで持ってきた。


「世界一愛してる。」


キャバ嬢の1人に小 そう呟く。だが、不思議なことにその声は反応する者はいなかった。


3人のキャバ嬢が端まで移動し終えると、リッチが口を開く。


「なんでオレを狙うんだい?」


黒ハットの男は答えない。


「最後なんだ。教えてくれてもいいじゃないか。」


「まぁ、最後だ。教えてやってもいいだろ。お前が主の妻と肉体関係を結んだからだ。」


「は?」


予想外の答えにリッチは間抜けな声をあげた。


「オレが人妻と肉体関係?何か勘違いしているんじゃないかな?」


「主が言っているんだ。間違いなんかじゃない。」


「雇い主って誰か教えて欲しいな。」


「どうしてお前にそんなことまで教えなければならない。」


「これから死ぬんだから。土産話が欲しいんだよ。雇い主の名前も知らないまま死ぬなんてオレやだよ。」


「まぁ、そうだな。教えてやっても構わない。だが、その前に手を後頭部で組んで、床に座り込め。」


リッチは言われた通りに両手を後頭部で組み、椅子から床に移動して、座り込んだ。


「潔いいんだな。」


黒ハットの男がリッチに近づいてくる。


「殺し屋に銃を向けられているんだ。どうしようもないだろ。」


そして、リッチの頭部に銃口がくっつく位の距離まで来たところで止まった。


「俺の主はヒーガン・ロッドだ。」


黒ハットの男が主の名を口にしたその時、


ガシャン。


端の方から何かが割れたような音がキャバクラ内に響き渡る。


「何だ?」


黒ハットの男はつい音の方向に振り向いてしまう。そこには1人のキャバ嬢の下に割れた酒の瓶の破片が散らばっていた。


「何をしている!!」


その男がリッチから目を離した瞬間、リッチは左手で銃のスライドを手で抑え、銃口を自身から避け、硬く握った右手の拳を男の顔面目掛けて放つ。


ドガンッ。


不意に顔面を殴られた男はその場に倒れ込む。


「貴様っ!!」


男がそう叫んだ時には既に手遅れであり、そのまま何も抵抗出来ずに顔面を殴られ続けた。


ドカン。ドカン。ドカン。ドカン。ドカン。


男の意識がだんだんと遠ざかっていく。


銃をリッチに向けようとするが、押さえつけられており向けられない。


男は朦朧とする意識の中、最後の力を振り絞って銃持っていない左手で拳をつくり殴り返そうとするも、そこで意識は無くなってしまった。


「はぁ。」


リッチは男の意識が無くなったことを確認すると、ため息をつく。


「最後だったのはオレじゃなくて、アンタだったな。」


これがリッチ・マイルドのギフトである。名を恋の押し付け(ラブソング)という。その能力は、親指と人差し指でつくった輪っかに愛の言葉を囁くと、その音を取り込んだシャボン玉のようなものが輪っかから出てくる。そのシャボン玉のようなものに当たると一定時間の間、リッチ・マイルドのことが好きになり、リッチ・マイルドに有利になるように動くようになる。だが、この能力にも制限がある。男やギフト持ちの女性には効きにくく、また、好きになる時間は愛の言葉を囁く時間に比例する。


この能力でキャバ嬢の1人はリッチのことが好きになり、有利になるように動くようになった。これにより、机の上に置いてあった無数の酒瓶のなかから1つを隠し持ち、リッチが雇い主の名を聞いた瞬間にその瓶を思いっきり床に叩きつけて割ったのであった。


リッチは床に落ちている1丁の銃を拾うと口をひらく。


「お騒がせしました。その鞄にお金が入っているんで、受け取ってください。」


「は、はい。」


ボーイの1人が黒い鞄を手に取り、チャックを開くとそこには、お金が詰めてあった。


「お、おおくないですか?」


ボーイが驚くのも無理はない。なんとその鞄のなかにはリッチがキャバクラで消費した金額をゆうに超える金がはいっていたのだから。


「迷惑料ですよ。受け取ってください。それから、縄ってありませんか?」


キャバクラにたまたま置いてあった縄を受け取ると、その男をガッチガチに拘束した。


「では、迷惑かけました。」


リッチがその男を抱えながらキャバクラを出ようとすると、1人のボーイが声をかけてくる。


「その男性はどうするですか?」


「警察に突き出して来るんですよ。」


「それなら、ここに警察を呼びましょうか?」


「大丈夫ですよ。もう迷惑をかけたくないんで、オレがやって起きます。」


そう言うリッチは何とも言えないオーラを纏っており、ボーイはそのオーラに気圧され、男をリッチに任せたのであった。


リッチはキャバクラを出ると、何かを探しはじめた。


「あの女性がいいかな。」


恋の押し付け(ラブソング)


自身のギフトの名を呟くと、車に乗りそうな女性に向けて歩みをはじめる。


「すみません。」


「!?。なんですか?」


その女性は一瞬びっくりしたが、すぐさま冷静になった。


リッチは親指と人差し指で輪っかをつくり、口元まで持っていく。


「その、なんでしょうか?」


女性が不思議そうにリッチに尋ねてくる。


「愛してる。」


愛の言葉の詰まったシャボン玉のようなものが輪っかから出てきて、その女性に命中した。


「君の車、欲しいんだよね。くれない?」


「はい。喜んで。」


その女性は車のキーをリッチに喜んで渡す。


「ありがとう。」


リッチはその車に男を積むと、運転席に乗り、エンジンをかけ、車を発進させる。だが、その車は警察には向かわずにアンデルがある方向に向けて進むのであった。


「どうなってやがるんだ?」


運転しながら、呟く。


「はぁ、」


リッチの運転する車は闇のなかに消えていくのであった。


そして、アンデルに着いたリッチはひとけのない山まで移動し、男を車から降ろす。


「ン〜。ンン〜。」


男は必死に抵抗しようとするが、口は塞がれ、腕や足は縄で縛られているため、抵抗することができる状態ではなかった。


そして、リッチは車に道中で寄った店で買って積んでいたシャベルをとりだすと、穴を掘り始めた。


ザッ。ザッ。ザッ。ザッ。


ある程度の深さまて穴を掘り終えるとそこに男を突き落とし、どこからか取り出した銃の銃口を男に向ける。


バンッバンッバンッ。


男は力なくその場に倒れ込んだ。


その後、銃をしまい、シャベルを手に持つと、リッチは穴のなかに入り、男の縄を解く。そして、


ガンッ。ガンッ。ガンッ。ガンッ。ガンッ。


男の顔面を判別出来ないほどにシャベルで叩き続けた。


「これで、誰だかわからないだろ。」


穴から出ると、その穴を綺麗に埋める。


埋め終わった後、リッチは血がついた服を脱ぎ、用意していた服に着替え、シャベルを紙でつつみ、車に積み、運転席に乗った。


「この車もどこかで捨てるか。」


リッチはそう言うと、何事も無かったかのように隠れ家に向かって車を発進させるのであった。


ここは、アンデル。毎日どこかで人が死ぬ場所であり、警察の目が届きにくい場所でもある。そのため、このような処理でも見つかることが殆どないのだ。


そして、現在。リッチは無事に隠れ家に辿り着き、そこで隠れながら過ごしていた。


そんな時、ガチャッ。


音をたてて隠れ家の扉が開いた。


「待ってたよ。オレのことを助けて欲しいんだ。」


音をきいただけで、誰が開けたのかもわからないのにも関わらず、リッチはそう言った。


扉が段々と開いていく。


完全に扉が開くと、そこにはギベットとジョシュアとランデがいた。








読んでいただきありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価お願いします。あと、よろしければ感想やレビューも書いていただけると嬉しいです。


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