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episode6 ガンバレットライン


ハクサツの本名はバラムという。アンデルで生をうけた。親の顔を思い出すことはできない。幼き頃に捨てられ、そこから、盗みや不法侵入によって何とか生きていた。


そんなある日、バラムの年齢が17の頃、人生を一転する出来事にあう。


いつものように盗みをはたらいていた所をとうとう見つかってしまったのだ。ここはアンデル、そこにいる者のほとんどは荒くれ者である。


もし、盗みがバレ、捕まってしまったとしたら、命は無いかもしれない。


そのため、バラムは逃げる。逃げて、逃げて、逃げる。だが、相手は大人2人。とうとう捕まってしまい、羽交い締めにあう。


バラムは生にしがみつくがごとく暴れまくるが、大人に力でかなうわけなかった。


大人の1人が刃物を取り出すと、バラムに向けて大きく振りかぶる。もう諦めるしかないと思ったその時、バラムの生存本能がはたらいた。


それは天性の才能であった。そう、天性の殺しの才能。


振り下ろされる刃物をもつ手に性格無比に蹴りを入れる。それにより、刃物はバラムに当たることなくその場におちた。


大人たちが困惑している間に、今度は頭突きを自身を羽交い締めしている者の鼻に向けてはなつ。


その大人は、痛みに負けてしまい、羽交い締めをといてしまう。


羽交い締めがとかれた瞬間、地面に落ちている刃物を手に取ると、そのまま大人2人を刺殺したのであった。


この時、バラムは自身の秘められた才能を知った。いや、知ってしまったのだ。


その後は、盗むために殺しをするようになった。そんな日々が続いたある日、殺しをはじめて2年が経った頃のことである。


殺しの依頼が舞い込んできた。これが殺し屋としてのはじめての仕事であった。


はじめての殺しの依頼は敵対勢力の幹部であった。初仕事にしてはなかなかにおもいが、バラムは殺しに慣れていたため、特に苦戦することなく成功した。


そこから段々と依頼が来ることになり、それに伴い難易度の高い殺しも依頼されるようになった。


バラムは難易度の高い殺しのリスクを低くするために煙幕を使い始める。生まれつき五感が鋭いため、少しの音で敵の位置を特定できるバラムであるからこそできる戦法であった。その独特な殺し方から、ハクサツという名がついた。


そして、今回も難易度の高い殺しを依頼された。標的はランデ・トルーパー。凄腕の銃士として有名な男。


そして、現在。いつものように煙幕を使い敵の視界を奪い、自身の足音を消し、居場所を特定できないようにしている。


銃の痕跡(ガンバレットライン)


ランデの声が聞こえてくる。その声からランデが先程の位置から移動していないこと、カウンターの下に身を隠していることを確認する。


ゆっくりと音もなくカウンターに乗り、ランデの頭上から銃を向ける。


カチャ。


その音は、ランデが銃を撃つ合図である。それを聞き逃すハクサツでは無い。


バンッ。


弾丸は左頬を掠めるだけで、当たらない。


ダッ。


銃を撃った後、ランデは左方向、ランデ自身から見たら右方向に走り出した。


ランデがここから逃げる気だと考えたハクサツはすぐさまランデをおいかけようとする。その時であった。


「うがぁっ。」


ハクサツの声が店内に響き渡る。


左方向に逃げたランデを追いかけようとしたハクサツは少し姿勢を上げ、カウンターの上を移動したその時、ハクサツの首から血が飛びでたのだ。


「何だこれは!?」


首から出る血を手で抑えながら、何が起こったのかわからないという顔をしている。


何が起こったのかを必死に考え、答えを見出そうとしているハクサツに今度はランデが銃を向ける。


ランデは、ハクサツの声で場所を特定し、困惑している間に近づいたのであった。


「さようならだ。ハクサツ。」


頸動脈を傷つけたためか、首から大量の血がボタボタとたれ落ちる。


「何をした?」


バンッ。


その問いにランデが答えることは無かった。


これが、ランデ・トルーパーのギフト『銃の痕跡(ガンバレットライン)』である。その能力は、ギフトを発動している間、両手で握った銃から放たれた弾丸の軌跡に触れた場所をえぐりとることができる。この能力には制限があり、軌跡は10秒したら消える。また、1日に6発しか撃てない。


ランデはこの能力を使いハクサツの首の1部を抉りとったのだ。


ランデがハクサツを殺してから少し時間が経った時、店の扉が勢いよく開く。


ガランガラン。


「何だこれは?」


扉を開けた者は店内に満ちている煙幕に驚いた。


「おい。ランデ居るか?」


その者は店内に足を踏み入れる。


「ここに居るよ。」


店の煙幕が段々と晴れていく。


先程扉を開けた者の姿が見えてくる。その者は、ギベット・ダッチマンであった。


「ランデも襲われたのか?」


ギベットの後方にいたジョシュアが問いかける。


「そうなんだよ。」


2人がカウンターの前まで歩いてきた。


「奇遇だな。俺らも襲われたんだよ。お前の店にいく道中でな。」


ギベットが道中のことを思い出しながら、話し始める。


「まぁ、返り討ちにしてやったがな。それにしても、あの2人組、急に襲いかかってきて何が目的だったんだ。俺らに金を盗まれた報復をしにきた感じじゃなかったんだがな。」


ランデは先程ハクサツに聞いたことを2人に教える。


「アイツのせいかよ。」


ギベットは呆れながら言った。


「丁度いいじゃないか。僕らはこれからリッチに会いにいくんだ。その問題もついでに解決してしまえばいい。」


ジョシュアが2人に提案する。


「そうだな。それが良さそうだ。」


「そうだね。」


ギベットとランデはジョシュアの提案に賛成する。


「そうと決まればアイツの所に行くか。アイツが隠れてそうな場所なら検討がついてる。」


「待ってくれ。」


出発しようとするギベットをランデが止める。


「掃除を手伝ってくれないか?」


店の惨状と死体を指さして、そう言った。




読んでいただきありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価お願いします。あと、よろしければ感想やレビューも書いていただけると嬉しいです。

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