episode4 菓子と銃好きな男
ツトラのサードランドに存在している暗く狭い路地裏にひとつの扉が設置してある。その扉を開けると目の前にカウンターがあるなんの変哲もないただの店。その店には、お菓子が売っている。壁には色々な菓子がズラっと並んでおり、辺り一面菓子で埋め尽くされている。はっきり言って場違いな店であった。
そして、カウンターには若い白髪オールバック姿の一人の男が頬杖をつきながら飴のついた白い棒を口にくわえている。
ガランガラン。
扉の上部に着いたベルのようなものが鳴り響き、扉が開く。
扉の先には黒コート、黒ハット姿の男が黒いカバンを手に持って店に入ってくる。
「いらっしゃいませぇ。」
黒コートの男は周りの菓子に目もくれずにカウンターの目の前まで革靴の音を響かせながら歩いてくる。
タッ、タッ、タッ。
そして、カウンターまでたどり着くと口を開く。
「例のハンドガンを2丁。」
「24万エルです。」
黒コートの男は黒カバンから財布を取り出す。やはりその財布も黒い。その財布を開き、そこから24万エルをカウンターにだす。
白髪の男がカウンターに出された札を数えていく。
「菓子もつけましょうか、美味しぃですよ?」
「いや、いい。」
「それは残念。」
数え終えるカウンターの下からハンドガンを2丁取り出し、カウンターに置く。そして、黒コートの男が2丁のハンドガンを鞄の中にしまうと、歩きだし、店を出ていった。
こんな場所にある店がただの菓子屋のはずがない。ここは銃を売っている隠れた武器屋なのだ。
この世界は合法的に銃を買うことが可能だ。だが、買うためには色々な手続きをしなければならない。一言で言うのならば、面倒なのだ。
さらに、手続きをやったとしても必ず買える訳では無い。その者の人柄や裏と繋がっていないかなど厳正な審査を通った者だけが買えるのだ。
だが、裏の人々は簡単に銃を買う手段をてにいれた。それが武器屋と呼ばれている店だ。
武器屋とは、表向きは普通の店として振る舞うが、裏では銃等を売っている違法な店である。
そんな武器屋の1つ。表向きは菓子屋として振舞っているこの店の店長の名は、ランデ・トルーパー。凄腕の銃士であり、For Moneyの一員である。
ガランガラン。
再び扉が開く。扉の先には先程とは違い茶色のコートとハットを被っている男性が立っていた。
「いらっしゃいませぇ。」
その男はゆったりとした歩みで店内に入ってくる。
ス、ス、ス。
カウンターまでたどり着いたコート姿の男は先程の男同様に口を開く。
「ハンドガンを1丁。」
「12万エルです。」
コート姿の男は左手でコートの内ポケットに手を入れ、そこから12万エルを取り出し、カウンターの上に置いた。
ランデは先程と同じように札を数える。
「菓子もつけましょうか、美味しぃですよ?」
「せっかくだから、もらおうかな。」
数える手を一旦止めて、ランデはポケットに手を入れ、棒付きの飴を1個取り出す。
「いちご味でいいですか?」
「いちご味でいいですよ。いちご好きなんで。」
コート姿の男は飴を受け取ると、それをコートのポケットにしまった。
札を数え終えると、ランデはカウンターの下からハンドガンを取り出そうとする。
ランデの視線がカウンターの下を向いたその瞬間、コート姿の男は右手で内ポケットから音もなく銃をとりだし、ランデ目掛けて引き金に指をかける。
バンッ。
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