episode3 ギフト
「やっと見つけたぞ。1週間前に俺らからとった金とお前らの命を奪いにきたぜぇ。」
ジョシュアとギベットに銃を向けながらその大男は叫んだ。
ギベットが手を動かそうとしたその瞬間。
バンッ。
銃弾がギベットの頬をかすり、頬から血が滲みでる。
「おいおい。動くなよ。」
大男が部屋に入ってくる。
それに続き後ろに立っていた4人の男達も続々と入ってきた。
「ん?」
大男の視界に大量の財布がうつる。
「おいおい。お前ら、俺らだけじゃなくて、他の奴らからも盗んでるのか?こんな大量に。」
財布を一瞥し、ギベット達に視線を戻す。
「お前ら悪だなぁ。まぁ、俺らが言えた事じゃねぇがな。」
そう言うこの大男の名は、ザザ・ザンドラ。ここより、数km離れた場所を縄張りにしている小規模の暴力集団でたるザザ団の長である。このザザ団は強盗や傷害などの事件を起こしている。そんなザザ団は1週間前、何者かに強盗にあい、金庫に保管してあった金、300万エル全額を盗まれたのである。
それに、ザザは深く怒り、犯人を探しており、1週間をかけて、犯人であるギベット達を見つけたのであった。
「俺は深く怒ってんだ。楽に死ねると思うなよ。お前らは、四肢を切り落として、達磨にして、毒で苦しみながら、殺してやるからな。」
2人の頭に銃を突きつける。
「おい。お前ら、コイツらを縛りあげろ。」
その言葉を聞いた後ろの4人は即座に縄を手に持ち、2人に近づく。
「今、俺らはお前なんかに構ってる暇じゃねぇんだよ。」
銃を突きつけているザザに向けてギベットが強きな言葉をはなった。
「おいお前、自分の状況をわかってて、言ってんのかぁ?」
『知らない世界』
ジョシュアの方からそのような声が聞こえたため、ザザはギベットからジョシュアの方に視線をうつす。
「なっ!?」
なんと先程までそこに座っていたジョシュアが突如として姿を消したのだ。
その場面に驚いているザザに向けてギベットが1という数字がかかれたコインのようなものを投げる。その事にザザは気づくことはできなかった。
「おい。お前らあいつはどこに行った!?」
困惑と怒りが混じった声で、後ろの部下共に問いただす。
だが、その問いに部下たちは答えられずにいた。なぜなら、部下たちも何が起こったわからず、その場でフリーズしているのだから。
「そ、それが、」
ザザの問に一瞬遅れて、縄を持った部下の1人が言葉を発する。
「き、消えました。と、突然消えたんです。」
「は!?」
その答えにザザはより一層困惑した。てっきりジョシュアは自分がギベットに注意を向けている間に隠れたものだとばかり思っていた。まぁ、それでも人間わざではないが。
その隠れている姿をギベットとジョシュアを拘束しようとしている部下の誰かしらが見ているとふんだから、先程の質問をしたのにもかかわらず、かえってきたのはトンチンカンな答えであっからである。
「な、何を言ってやがるんだお前。人間が突然消えることなんてあるわけねぇだろうが。見間違えだろ!!」
「み、見間違えなんかじゃありません。この目で見たんです。アイツが消えるところを。」
その言葉にもう1人の部下も同意する。
「なっ!?」
妄言であると思っていた部下の発言がもう1人の部下によって本当であることを裏付けられる。
「どっ、どうなってやがるんだ。ギベット!!」
椅子に座っているギベットに視線をうつす。
「お前、アイツの仲間なら何か知ってんだろ。アイツはどこに行った!!」
「お前の部下が言うように消えたんだろ。」
銃を向けられているのにもかかわらずギベットは一切怖気付かない。
「おま」
ドガッ。
鈍い音が部屋に響く。
その音はギベットがザザを殴ったことによって発生した音であった。
「巫山戯んなよ。」
殴られたザザだが、持ち前のタフさでもちこたえる。
ザザの頭に血が上る。もう生け捕りにして拷問することは頭の中にはない。ただ、怒りのままに引き金を引くことしか。
バンッ。
ギベット目掛けて撃った弾丸はギベットには当たらず後ろの壁を傷つける。
バンッ。
もう1発弾丸を放ったが、それも当たることはなく壁に当たる。
バンッ。
やはりギベットにな当たらない。
バンッ。バンッ。
どんなに撃ってもギベットには当たらなかった。
「どうなってやがるんだ!?」
あまりにも現実離れしたものを目にしたザザは冷静になった。
「はやくコイツを捕まえろ!!」
だが、その命令を実行する者はいなかった。
「おい。お前ら、」
後ろを見たザザは再び驚愕する。
「っ!!」
先程まで後ろにいた部下達が床に転がっていたのだ。その惨状を目にしたザザは言葉にならない声をだした。
後ろに気をとられているザザにギベットの拳が炸裂する。
ドガッ。
その不意打ちにザザはその場に倒れ込む。
「どうなってやがるんだ!!」
すぐさまギベットの方に銃を向け、弾丸をはなつ。
バンッ。
だが、やはり弾丸は当たらない。
「なんなんだ。お前らは!!」
ギベットは固く握った拳を振り上げる。
「俺らは、For Money。金好きの集団だ。」
ドガッ。
ギベットの拳がザザの顔面にクリーンヒットする。
「が、あ。」
そこでザザの意識は消えた。
その瞬間、何も無いところからジョシュアが突如としてあらわれ、言葉をはなつ。
「終わった。」
ギベットは突如として現れたジョシュアに一瞥すらせずに、自身の血が着いた拳をザザの服で拭き取っている。
「あぁ、そうだな。それにしても、便利な力だよな。ギフトってもんはよ。」
ギフト、それは鍵によって与えられた人智を超えた特殊な力である。その力は自身を豊かにする力なのか、それとも破滅に導く力なのか、それは神のみぞ知っている。
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