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曇天

 ボーボッボッボボー、ボーボッボッボボー、ボッ、やけにハトの声がうるさい。私は可燃ゴミを出しに行くところだった。今の季節はなんだっけ?最近暑いのか寒いのか、よくわからない天気が続く。そのため冬なんだか夏なんだか、区別がつかないことが多い。まあ、こんだけ元気よくハトが鳴いているんだから、真冬ではなかったはずだ。今朝はひんやりとする。だが、半袖でもなんとかなる冷え具合である。水曜日にしてはゴミの量が、やや少な目である。私としては溢れんばかりの量を出されては、自分のゴミを崩れないように集積所にうまく置くのが苦慮することになるため、これくらいがちょうど良いのである。しかし、この朝の5時ですでに溢れるゴミが置いてあるときは、本当にうんざりする。つまりは、前日中に出している連中が多いということだ。業者はきちんと回収してくれているし、この場所を掃除・管理してくださる方々がしっかりしてくれているので、私としてはゴミさえ出せればどうでも良いことだ。

 しっかりと集積所にゴミを出してきた後、家に戻ってくると再びハトが鳴いていた。ベランダには害鳥除けにと、なぐさみ程度の期待でフクロウを模した人形を取り付けてみたのだが、なぜかそれが増えていた。よく見ると一体はその人形に相違ないが、もう一体はハトであった。どうりでうるさいわけだ。いつからあんな場所に来るようになったのか、暫く自宅の前でぼーっと立ち尽くし、ハトを見上げていた。全く動こうとしない。この距離で私が視界に入っていないはずがない。だのに堂々毅然とボーボッボッボボーを繰り返している。大したものだ。私ごとき人間風情には一切動じません、ということか。それはそれで面白いと思った。

 どれくらい経ったのだろう?気づくともう、そこにはハトはいなかった。飛んでいく姿さえ見逃すとは、私も相当にボケっとしていたものだ。だがなぜか、このくだらないつまらない時間が、たまらなく心地良いと感じた。ああ、今朝も曇っているのか?目を覚ますと朝の5時半であった。

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