表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/42

3.今回の作戦は乗り気じゃあなかったりする?-私はちょっと気になってるかなぁ-

全42話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

「カズ君、もしかして今回の作戦は乗り気じゃあなかったりする?」


 ゼロゼロだ。


「うーん、痛いところをついてくるねぇ。今は横田基地の奪還が、って、まぁ移動中だし、索敵はきみに任せるとして、そうだねぇ……」


 とまで出て言葉が詰まる。


 それを、


「ゴメンね、変な事聞いちゃって。でも私はちょっと気になってるかなぁ。おやじさんとか、その……お父さん、お母さんとか、ね」


 ゼロゼロはとても話しにくそうにしている。それはカズだって同じだ。


 カズは、いやカズ[たち]は渡航する際[友人や両親の事は諦めてくれ]と言われていた。それは日本政府が[保護]の名のもとに隔離してきたからに他ならない。


 渡航組は、ある意味[すべてを捨てて]こちらに渡ったのだ。その日本を今、自国の領土とすべくこうして作戦行動をとっている。


 ――その辺りの話も、作戦が終わってから話さないといけないよなぁ。


 カズがそんな事を考えていると、


「私は、出来る事なら会ってみたいっていうのが本音かな。まあ、この姿だから会う事は絶対に出来ないだろうけど。せめてあと一週間早く事前に渡航の事を教えてくれてれば、って今でも悔んじゃうよ」


 カズ[たち]日本にいた研究者は、生体応用工学研究所にいた研究者たちは、二年を過ぎると離職が出来なくなる仕組みだった。それは応用研究職、つまり人体実験の段階に進むためである。


 秘密を知られては後戻りはさせない、そういう事なのだ。


 当然二十四時間の監視が付くようになるし、外部との交流もある程度制限される。通話や通信の類も制限が掛けられていた。スマートフォンは自分の物から支給品に変更しなければならなく、パソコンも、自宅にある物と支給品であるノートパソコンと交換しなければならなかった、と言えば想像がつくであろう。


 全て監視下に置かれていたのだ。


 当然、行動制限の中には[親、友人と会う]というのも含まれる。会う事一つとっても許可が必要になったのである。そんな生活をしていれば、更には研究所での生活も皆を変えていった。


 それははた目から見れば[研究に没頭している]ともとれるそれは、言い換えればカズをはじめとする研究者たちの負い目なのかもしれない。親、友人とも疎遠になっていき、気が付けば[明日、荷物をまとめて飛行機で発ってもらう]という状況に至っていたのだ。


 ――――――――


 その当時、カズはほとんど家には帰らず、研究所での生活をしていた。もちろん千歳も、恵美めぐみも、である。研究所には幸か不幸か宿泊施設が整っている。その気になれはずっと研究所に住む事だって出来るのだ。実際にそういう生活をしている研究者もいた、とカズは記憶している。


 カズたちがあまり家に帰らなくなった理由、それは家に帰ると、何か自分のスペースを研究という汚れた躰で汚してしまう、他の二人にどうだったかは聞いてはいなかったが、少なくともカズはそう思っていた。それに帰ったところで自由がある訳でもない。ならばどこにいても同じ、とも思っていた。


全42話予定です



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ