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 礼拝堂をモチーフにしたクロスステッチ刺繍の作品は縦150㎝横100㎝程のサイズで縦長の…少々大きな作品になった。

気が付くと集中し過ぎて食事を抜いてしまいがちになるから、刺繍の奉仕の日はジュディ修道女が時間になると私に休憩するように声を掛けにきてくれていた。

 実はデリックが旅立ってからジュディ修道女とは相部屋ではなくなっていた。だけど、何故だかジュディ修道女が私のことを気に掛けてくれて、いつだって私を助けてくれている。本当、手のかかる友達でごめん! って毎回言ってるんだけど、ジュディ修道女はほぼほぼ表情が変わらないけど、でも口角が上がってるから笑ってるって分かるんだけどね、「私が好きでやってることだから、謝ることないよ」って言ってくれる。

本当、ジュディって優しい人! 大好き!

 さて、刺繍のために奉仕部屋を準備していただいてるから、基本的に裁縫道具と刺繍関係の物を置いているだけなんだけど、今は出来上がったばかりの作品が机の上に置いたまま。ちゃんと他の物は片付けました!

刺繍についてはサイズ的に額装をすることになるから、後で院長様や副院長様に相談しなくちゃ、と思っていた時だった。

 扉を叩く音がして、ミアー副院長様が自ら声を掛けてくださったことに気付く。急いで扉へ向かい、開ける。するとそこには院長様もいらっしゃった…というわけで、今お二人をお迎えしている次第。

 実は修道司祭のカード副院長様もこちらに来たいと駄々をこねたとか。でも、修道女棟に男性は院長様以外はダメなので、来ること能わずで、泣く泣く我慢されたらしい…。ごめんなさい、いつか修道士棟(あちら)にも刺繍作品をお届けします。お待ちください!


「もう少しお時間がかかるかと思いました。でも、良かったです」

「ええ、とても楽しみにしていましたからね。モチーフになるという下絵を見せて頂いた時から」


ミアー副院長様に向けてお声を掛ければ、そんな言葉を返されて、ちょっと照れた私。リグリー院長様にもお声を掛けさせていただく。


「院長様にもすぐに見ていただけるのは嬉しいです。こちらになります。折り畳んでいるので広げますね」

「楽しみにしていたからね、早速見せていただこうか」


 部屋の中央に置かれたテーブルは小さな作品を刺すだけなら広すぎると感じるくらいには、そこそこに大きなものだ。今回の作品は今までになく大きくなってしまったから、テーブルは…ちょっと狭く感じたけれど。

そのテーブルの上に置いていた下絵を一旦椅子の上に退けて、刺繍した生地を広げる。生地が大きいためにテーブルクロスのように襞を作ってしまうけど、まぁこれは多めに見ていただこう。

 淡いクリーム色の生地に全体に白を基調とした、前世の結婚式で見たような可愛らしいチャペルを思わせる礼拝堂とその手前には赤やピンク、オレンジといった華やかな色合いの薔薇が咲き誇る作品が院長様、副院長様のお二人にもちゃんと見えるよう扉の方が下になるように広げた。

 お二人はただただ黙ったまま仕上がったばかりのそれを見ている。見ている…だけならいいんですけどね。きっと次には言葉が止まらなく…なる、んだろうなぁ。あははは。


「ああ、今回も素晴らしい…。私はマージェリー修道女がいつも出来上がったと伝えてくれる日が楽しみで仕方ありませんよ! 院長様いかがですか?」

「…この優しい色使いが私はとても好きだね。それに、今回は礼拝堂と薔薇という組み合わせも面白いと思う。本当にいい。これは…どこで飾るかで絶対に揉めるのは間違いなさそうだ…」

「叶うなら食堂が良いのではないか、と思います。それなら、修道士達も見ることが出来ますからね」

「確かに。だが…私個人としては修道院入り口にも飾りたいんだが。修道院を訪ねてくださる方にも見ていただきたい、と」

「それも良い案ですね。ですが…今まで飾った場所が修道女棟ですから修道士達は目に留まらない場所ですからね…。実はせめて修道士達にも見る機会を、と切々と訴えられているんです」

「そう言えばそうだった。カード副院長からも直訴されているよ」


 …うん、ちょっと分かりましたよ。というわけで、次回は修道士棟に飾るために刺しますからね! ちょっと時間かかりますけど、お待ちくださいね! って今決意しました。御二人のお話を聞いて決めましたからね。

で、どこに飾るかの議論はお二人にお任せして、私はその間に額装を考えようと思う。シンプルな…それこそ前世で作ったジグソーパズルを崩さないようにするための額があったけど、あれくらいのシンプルさ具合がいいと思うんだけど…ダメだろうか? もう少し礼拝堂というモチーフに合うような立派なものがいいかな? 修道院に飾ることを考えてもいいのかな?

 お二人の会話をほぼほぼスルーしているのは、毎回のこと。だって、私の意見はほぼ通らないから。だから、丸投げしていても問題ないと割り切った。


 結局お二人の間で結論は出なかったので、後はもう作品をお二人にお渡しして、額装も全部丸投げすることにした。今はこの場にいないカード副院長様も含めて喧々諤々されるといいと思いますよ。(いい笑顔で棒読)

 修道院のお偉い方々に丸投げした結果、私の刺繍作品はその後食堂に立派な額に入れられて飾られることになった。修道士の方々も見ることが出来る場所のため、暫くは大丈夫でしょうとミアー副院長様が呟いておられたのを私は聞き逃さなかった。ええ、聞こえましたとも。

でも、次の刺繍作品は修道士棟に飾っていただきますよー。その予定ですよー。だから、修道女棟には飾るものはその次ですよー。と、心の中で副院長様に言ったのだった。

お読みいただきありがとうございます(*´꒳`*)


先週末の夜から今週の半ばにかけて、風邪でぐったりしてました。まだ咳が出るので、色々自粛中ですけども。

その間に青い鳥さんちを覗いていたら某〇〇メーカーさんの“【お題】キス22箇所【ほぼ強制】”というツイートが流れてきたので、何も考えずにうちの子の名前放り込んで遊んでおりました。

ネタとして面白かったので、気が向いた時には活動報告のほうで書いたものをひっそり投げ込んでおこうかと思います。

デリックが期待通りという感じの結果だったので、そこは嬉々として書きたいな、と(笑)

きっと内容としては、閑話だったり視点変更だったり、もしくは未来の展開という恰好にもならないと思うので、活動報告限定で…(笑)

書けましたら、こっそりと後書きでお知らせいたします。


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