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24/55

+ 24 +

短めの話になったことと、+23+との繋がりもあるので、本日は二話続けて投稿しています。

+23+をまだ読んでいない方は、そちらからどうぞ。

「片付け終わりました。中の片付けやお掃除、全部任せてしまってごめんなさい!」


そんな言葉をかけつつ、孤児院の室内の様子を見ていると、オーレリアを中心に院長様や先輩修道女達が何やら嬉しそうな顔をしている。


(ほほう、本当にいい話なんだぁ)


なんてのん気に私は皆が集まっている場へ行くと、オーレリアが突然私にタックル…じゃなくて、しがみつくように抱き着いてきた。


「どうしたの? 嬉しい報告をしたんじゃないの?」

「し、ました。でも、やっぱり……マージェリー修道女様にもお礼を…言いたくて!」

「え? 何々?」

「私、この秋に結婚するんです」

「ええ!? 本当? わぁ、おめでとう!!」

「ありがとうございますー!!」


 本当に嬉しい話だった。オーレリアが勤めているのは書店。

この世界の本というのは、基本的に古書を中心に売り買いすることになる。紙は前世ほど安価なものじゃないというのが原因だろうか。それに文字が読めない人もある一定数はどうしても存在してしまっていて、それが本を読む層が限定される原因にもなっている。

そのため、書店は新しい本も扱うけれど、古本も扱うことになるらしい。

 その書店の店長であるオーナーには長男、長女、次女と三人の子供がいるんだけど、長女次女の二人はオーレリアとほぼ同世代で、気が合ったらしい。長男は少し年上だけど、優しく面倒見のいいお兄ちゃん気質の人らしく、仕事に慣れないうちは本当に色々と教えてくれて、オーレリアは頼りにしていたとか。

オーレリアは書店でオーナーの二人の娘と同じく看板娘みたいになっていて、書店の常連とも仲良くなったそうだ。そんな時、街で買物をしていたオーレリアが所謂不良達に絡まれそうになった場面を書店の常連の何人かが目撃していて、そのうちの一人が急いで書店に駆け込みそこにいた長男に話した。他の常連達は警備中の衛兵を見つけ話をしていた。

 オーレリアは乱暴に腕を掴まれている場面だったらしいが、書店の長男がオーレリアを掴んでいる男の手を振り払うようにしてオーレリアを庇い、けれど全く腕っぷしが強くない彼は、オーレリアを庇うことだけに必死で、乱暴を一方的に受ける格好になったそうだ。

そこに衛兵が駆けつけ、不良達を取り押さえてくれて、なんとかなったという出来事があったと。

その事件を切っ掛けに長男とオーレリアの距離が近付くのは必然だったようで、長男がオーレリアのことをずっと可愛いと思っていて、好意を寄せていたことを告げたとか。

 自分の為に身を挺して守ろうとしてくれた長男のことをオーレリアも当然受け入れる。オーレリアはとても働き者だし、書店のオーナー一家も喜んでくれたらしい。


「私、孤児だから…結婚なんて出来ないって、そう思ってて」

「うん、不安だったね」

「だけど…こんな私でもいいって、そう言ってもらえて。すごく嬉しくて」

「それは、オーレリアが本当に素敵な女の子だからだよ? 自信持っていいのよ?」

「ありがとう…ございます!」


 孤児だから、人並みの生活なんて無理だと思ってしまう。それは、きっと前世でもあったのかもしれない。でも、どんな世界にいたとしても、そんなの関係ないと私は思いたい。誰だって幸せになる権利はあるのだもの。オーレリアが結婚をすることになって、私は本当に嬉しい気持ちでいっぱになった。

自分の幸せは、結婚にはないとやっぱりどこかで思ってる。むしろ孤児院の子供達が幸せになるのを見届けることが自分の幸せに繋がっているように感じてしまうから。


「本当におめでとう、オーレリア」

「はい!」


 私は、自分の妹を嫁に出す、そんな気持ちでオーレリアを見ていた。前世でも自分の結婚には縁がなかったけど、今世ではこの孤児院に関わる限り結婚をする子供達を見ることが出来るのかな、とそんな幸せを感じた出来事だった。

お読みいただきありがとうございます(*^^)


+23+と+24+は一つの話としてまとめて書いていたんですが、長くなりすぎるので、きりのいいところでぶった切って二つに分けました。

おかげで、こちらは非常に文字数の少ない状況になりました…(^^;)

もともと一つの話だったので、それならと二話続けての投稿にしました。


ブックマーク登録、いいね、ありがとうございます(*^^)

次回もよろしくお願いします<(_ _)>

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