死者の音楽祭
1
大きい楽屋だった。
芸能人が15人ぐらい。女性ばかり。
部屋の一面に鏡台が10個ほど並んでいる。
大きいテーブルが4つ。椅子が多い。
私は出番を待っている。
舞台衣装を着て椅子に座っている。
一人3曲ずつ歌う形式。
この楽屋はステージと近いので歌う声が届く。
現在ステージではアイドル女性歌手のO・Yが歌っている。
「よしっ!」
ロック歌謡の女性歌手、「M子はアーティストだから」が口癖のH・Mが
楽屋を出て行く。
O・Yが戻ってくる。
上気した顔で楽しそうに同年代の歌手と会話している。
ステージではH・Mのトークからの歌声。
私「あれ?何か妙な気がする・・・何だっけ?」
2
楽屋のドアがバタン、と開く。
背の高い痩せた女がこっちに歩いてくる。
女「ちょっとT!ここで何してんのっ!」
私(T)「えっ!アッ!、I・Aじゃん!久しぶり!」
I・A「久しぶりじゃないでしょ、だからここで何してんの!」
T「何って出番を待ってるんだけど」
「出ちゃダメ!すぐ帰んなさい!」
「何言ってんの?Aちゃんこそ、歌手じゃないからここにいちゃダメでしょ」
ADらしい、帽子を深くかぶった長髪ジーパン男がドアを細く開けて声をかける。
「次はTさんです。準備お願いします」
T「あ、はい」
I・A「よく聞いて、ステージに出たらもう確定しちゃうから。
すぐ逃げないと」
他の女の子がテーブルのお菓子を持って近づく。
「Tさんですよね?私ファンです。これ食べませんか?」
T「あなたは。K・Sさん!ど、どうも。いただきます」
I・A「ダメ!食べないほうがいいから!ほら、早く!」
Tの手を引っ張り、楽屋を出ようとする。
「それはルール違反ですね」
その場の全員が立ち上がる。ゾンビのように無表情でゆっくり動く。
手を伸ばしてきて二人を捕まえようとする。
I・AとTは伸ばされる手をかいくぐってドアにたどりつく。
「Tさん、ステージの方へ。お願いします」ドアからADの声。
ドアが開くと、ゾンビたちがいてI・Aは引き離される。
AD「さあ、どうぞステージへ」
「行ったらやばいから!この、離せ!」暴れるI・A。
「ええっ。どうしたら・・・」迷うT。
3
「あの~何の騒ぎでしょう?」
T「あ、S子!何でここに?」
S子「ステージで歌いに来たんだけど」
T「ここって危ない場所なのでは?」
S子「そうだけど。あたしは、ほら、ガードが付いてるから」
S子の後ろに長身の男。黒いスーツ。死神博士っぽい。
「どうも。ファントムガード、略してトムです」渋い、品の良い壮年の声。
I・A「知り合いなの?じゃ助けてあげて!」
S子「うーん、大丈夫な気もするんだけど」
I・A
「いや、危険だから。あたしなんてうっかりこっちに来ちゃって戻れなくなったから!
T、あんたお酒飲んだでしょ?」
T「えーっと・・・飲んだ気がする」
I・A「飲み慣れない者がやけになって飲むと体に悪いよ、酒好きならともかく。
とにかくあんたヤバイ状況だから。どうしたらいいかわかんないならあたしに従って!」
T「じゃあ・・・まあ」
S子、トム、I・Aの3人がTをガードして通路を行く。
トムを恐れてゾンビたちは近づけない。
ステージに続く横を通る。
Tが見ると。観客席はかなり広い。2階席もあって満員。
ステージではH・Mが3曲目を熱唱している。
次のステージに備えてK・Sが舞台横で待機。
T「あたしもやっぱり歌いたいかなあ・・・」
I・A「いいからこっちへ!」手を引っ張られて通路を行く。
非常口から会場の外に出る。
S子とトムはここまで。
秋の風。空が広い。広大な公園。
I・AとTは、歩いて目の前の近代的なビルの中へ入っていく。
ビル入口横にあるエレベーターへ。
I・A「あたしはこれ以上行けないから。それじゃ」
Tだけを乗せたエレベーターが上昇。上半分が透明で景色が見える。
ビルの30階ほどを上昇、さらに上へどこまでも。
「何これ。高すぎでしょ・・・」
町が下に小さくなっていって・・・
4
「ちょっとT、起きて!」
T「あれ、マネージャー、何でここに?」
「電話を取ってくれないから!合鍵で入ったのよ!
時間がないから。すぐテレビ局へ!」
自宅からすばやく服を着て、化粧もせずに車に乗り込む。
昨夜は久しぶりに会った女友達と話し込み、飲ん兵衛の友達に
付き合って珍しく飲んでしまった。帰宅の記憶がなくなってる。
夢を見たようだが思い出せない・・・