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フェアワールド  作者: 結城彰
1章 始まり
6/6

1章 5話 「硝子」

綺麗に透き通った天秤を前にして、パパとママは呆然。

ジェームズさんだけ、あっけに取られつつも色々話そうとしてくれた。

「いや、これは…初めて見たな、こんな綺麗な天秤。何で出来ているんだ?」

そうして若干腰を抜かしていながらも頑張って歩いて近くの大きな本棚から一冊の厚い本を抜いてきたジェームズさん。

「えーと…これだ」

ジェームズさんは見たかった本のページを開いたようだが、

「やはり…載ってない」

「載ってない!?測定士の天秤図鑑にか!?」

突然大声を出すパパ。取り乱したことに気付き、

「んん、んふん。天秤図鑑だろ?それ」

「ああ、これでも新しく2年前に買い替えた物だ、載ってないということは…シークレットだな」

ん?何それ。

「ジェームズさん、何それ?」

「えーとね、まだ知られていない天秤のことだよ。」

「えーと、ジェームズ」

今度はパパが質問した。

「シークレットってことは、基本5属性に該当してないってことだよな?」

「あぁ、大地から生成される基本5属性、「金、銀、銅、木、石」ではないとシークレットになる。この天秤は見た所ダイヤでもないからな、本当に正体不明だ」

ただ、僕にはこの天秤の性質に心辺りはあった。

「ジェームズさん」

「な、何だい?」

「これって…ガラスっていうものじゃないの?」

「が、がらす…?」

空間に沈黙が走る。

「ガラスって何だい?おじさん初めて聞いたけど」

「えっと…落ちたらすぐ割れちゃう感じの」

ジェームズさんもパパもママもすっとんきょうな感じだから、本当に分からないようだ。

「えーと、なんとなく!なんとなくなんだけど、」

向こうの世界(僕が元いた地球)とこっちの世界で有る物無い物があるっぽい。変なとこだな、ここ。と思う気持ちを取り敢えず押し潰して、

「見覚えがあるから、多分合ってるかも…?」

「うーん…」

ジェームズさんはかなり困惑しているようで、厳しい目付きで考えこんでいる。

「取り敢えず、これはこれで今は置いておこう、後で色々判明するかもしれない」

と、パパが仕切った。その通りだな、とジェームズさんも一旦考えるのやめたっぽい。そして、

「じゃあこの天秤の質は置いといて、君は多分、この天秤を見せたかったのもそうだろうけど、君の薬指。何でこれが無くなっちゃったのか知りたいのかな?」

「う、うん…」

何だこの人、まるで心を読まれたみたいと思いながら、聞きたかった質問に釣られてOKを出す。

そもそもの話、確かに僕は自身の天秤を使って公平に測り、ママを助けたようだ。「残り2:59」と浮かんでいたあの静止した空間にいたこと、天秤の能力を使ったことは覚えているが、あの時誰かに操られていたかのような感覚に陥っていたのも覚えている。おかげで僕もママも助かったが、乗っ取られているようなあの感覚はちょっと気持ち悪かった。

そして記憶が若干曖昧なのも怖い。だから改めて天秤について教わって整理すればその時の記憶も鮮明になるかも?と思ったので聞いてみる。

そしてジェームズさんが話し始めた。

「この世界には、神様によって天秤の能力が全ての生物に授けられる、ここまでは分かるかな?」「うん。」

「賢い。良い子だ。そして、」

「天秤の能力というのは、その天秤の道具の使い方通り、全ての事象、物を公平に測ることが出来る」

「…???」

「んーとね、こうやってちゃんと釣り合うようにするんだよ」

と、ジェームズさんはジェスチャーを使いながら説明してくれているが、基本5歳児にはわからん。というふりをしないと子供っぽく見えないから仕方ない。

「分からないよなぁ、ごめんね、もうちょい大きくならないと分からないかもしれないね。この話をする側も難しいからさ」

「大丈夫ジェームズさん。分からないけど、頑張って分かるようにする!」

「ははは、勉強熱心で良い子だなぁ」

そしてジェームズさんはパパとママにも確認するようにして話を続ける。

「まぁそーやって釣り合わせるんだけど、釣り合わせるのは自分自身。その釣り合いが合えば合う程、効力とか釣り合わせた代償は軽くなるけど、合わなければ合わない程、効力も弱くなるし代償は重くなるんだ」

「やっぱジェームズの話は分かりやすい」とパパ。

うたた寝し始めているママ。もしかしたら僕が起きたから安心してるのかな。

「まぁとにかく、ほんとにこの天秤の能力を扱うのは難しい。だけどファーリー、君はその能力を見事に使いこなした。後は経験を積めば、君もお父さんみたいな強い子になれるかもね」

とジェームズさんは話してくれた。

そして

「さぁ、君のママも眠り始めたようだし、今日は泊まっていきなさい、狭い宿で申し訳ないが」

とジェームズさんは寝室を貸してくれた。今日一日色んなことが起き過ぎて疲れていた為、すぐに床に着けた。

あともう一話くらいで終わり!多分!

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