1章 1話 「生まれ変わって」
前よりハッピーな要素多めなのでバッド系は期待しないでね
ただ、後から報われないくらいの書くつもりなので安心して貰いたい
僕は、赤ん坊になっていた。
何でか分からない、さっき何があったっけ?確か何かに命を奪われて…そうだ。僕の命は奪われたはずだ。
何で僕は生きている…?
何で生きてるのか、何で赤ん坊になってるのか僕には分からない。その2つの疑問がごっちゃになってて、上手く答えを出せない。
「'>5<〒"<&'>&€€$$€」
「€%〒<&¥〒64]♡〒_^·]」
男の人も女の人も何言ってるのかさっぱり分からない。分からないことだらけだ。
てか男の人はよく見えるけど女の人の顔が見えないなぁ。抱っこされてるからか。
(あれ?)
なんか今、目の前がチカチカと光った気がする。
すると、透明に光沢のある、まるでガラスのような「天秤」がはっきりと見えた。
(何だこれ?)
それにまた手を伸ばそうとして、
そして急激な眠気に襲われて僕の意識は遠ざかってしまった。
それから僕の赤ん坊ライフが始まった。
朝、夜とバトンパスするかのように時は流れ、やはり噂通り過ぎてく時間は段違いに遅かった。僕が前世で盛岡さんと過ごしてた頃、パソコンをネットに繋げて雑学の動画とかよく見てたから変な知識が身に付いちゃった。でも赤ん坊って時間潰すの大変じゃないのかな。
始めは僕もベッドでママ(女の人)のおっぱいを飲んで、寝ての繰り返しで、たまにパパ(男の人)が指を差し出して握ってっていう遊びをした。楽しい訳じゃないけどにっこりと笑うパパの顔がなんか嬉しくて自然と笑ってた。
多分2年くらい経ってからかな、ハイハイが出来るようになった。僕がハイハイするとパパとママは英語の滑舌っぽく「トロントロン」と拍手しながら言ってた。何?トロントロンって。
この家をハイハイで散策してみると、結構広い、正にお屋敷みたいな所なのが分かった。カレンダーみたいなのがあったけど、数字はそのままで、月らしき文が見たことない文字で全然読めない。不意にママに抱きかかえられてしまった。少し先に人影みたいなのがあったのに。すると、
「¥€<&ち1'¥か¥&[の〒[☆¥&☆+¥@◇」
何言ってるのかさっぱりだけどなんかちょっと聞こえる様になった気がする。見るからにメイドさんだから挨拶とかなのかな。まだ僕に言われても聞き取れなくて申し訳なくなる。早く言語を勉強したい。
その後もそのメイドのお姉さんとママが話してたけどさっぱりだった。とりあえず聞き取ろうとしても無駄だから諦めよう。
そうして赤ん坊としての月日が過ぎていき、僕は5歳になった。
誕生日ケーキは去年から食べれるようになった。やっぱケーキは甘いけど、こっちのケーキは風味が独特で麦みたいな匂いがする。代わりと言えばいいのか分からないけどフルーツがたくさんケーキの上に乗っててそれをパクパク食べてた。いちご、バナナ、パイン、りんご、ぶどう。盛り沢山で凄く美味しい。
「こらこら、ファーリー、ケーキは逃げないん¥&☆〒そんな¥&<'食べないのよ」
「足生えて逃げたり¥&,〒<¥&<~=♪︎€、ハハハハ!」
パパとママの声が聞こえる。あ、言葉は簡単な物だけメイドのスタナーさんから教えてもらった。物を僕が指差したら言ってくれて、僕が見よう見真似で喋ってみたら驚いてた。そんな成り行きで単語とか動詞だけね、でも「飲み込みはや!」って驚いてたなぁ、僕も自分でちょっとびっくりしてた。
そして僕は自分の名前が今まで分からなかったけどスタナーさんから教えてもらった。僕の名前は「ファーリー・ヒューナー」って言うんだって。ヒューナー家の人間ってことでいいのかな。まだ全部聞き取れる訳じゃないけどスタナーさんのおかげで凄い聞こえるようになった。ありがたや。本人にまた改めて言っとこ。
「ファーリちゃん、これね、イチゴっていうのよ」
イチグ?
「そうだ、でこれがバター、パイン、リンゴだぞ、言えるかな?」
「イチゴ!バター!パイン!リンゴ!」
「おー!凄いな!よく言えたじゃないか!」
「ファーリちゃんは頭が良いのね!良い子良い子」
そうやってママが頭を撫でてきた。
あぁ、僕はまた家族を取り戻せたんだなぁと思った瞬間だった。じーじとばーばと過ごした日々を思い出す。
「じーじ、ばーば、僕もう、そこには戻れないかもしれないけど、元気に生きてるから安心して」
そう、昔にあったかの様に前世を思い出し、涙目になりながらママに撫でられていた。