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2. 最弱の魔物と言えばスライムである

 なんとか、ゴブリンから逃げ切れた俺は小さな洞窟の中で休んでいる。

 洞窟は俺が一人暮らしをしていたワンルームぐらいの広さだ。

 この狭い感じが俺にはちょうど良い。


 冷静になると、色々と気づけたことがある。


 まず、俺は転生した。


「いや、これは憑依ってやつか? まあそこはどっちでも良いか……」


 大学の講義中に寝ていたところまでは記憶がある。

 そのあとの記憶がないってことは、講義室で何かが起きたんだろう。


 後ろの席で寝ていた俺だが、すぐ近くにリア充軍団がいた。

 俺がリア充爆発しろ、と思っていたから講義室が爆発したんだろうな。

 どうやら俺は爆裂魔法が使えるらしい。

 というは冗談だ。


 細かいことはどうでいいが、今の俺は日本人の俺じゃない。


 俗に言う異世界転生ってやつだ。

 いやっほおぉぉぉぉい。

 テンションが爆上がりした。


 異世界転生は俺の夢だった。

 夢が叶ったぜ。

 WEB小説で異世界転生物を読みまくっていたのが幸いしたらしい。


 予習をバッチリしてきた。

 数多くの異世界転生パターン知ってる俺からすると、


「今回の転生はだいぶ恵まれているよな」


 最悪、奴隷として生まれてくる可能性も考えていた。


 今の俺はルッツという名前らしい。

 ルッツはどこぞの貴族の嫡男として生まれた。


 両親からも甘やかされ育ってきた。

 そうして訪れた神託の儀式。


 この世界では成人(15歳)になると神託を受け、神様からジョブを授かる。

 ジョブを得て、ようやく一人前になるわけだ。


 15歳になったルッツは神託を受けた。


 その結果『スライム使い』というハズレジョブだった。

 スライムは最弱の魔物だと言われている。


 この瞬間、ルッツの人生は決まった。

 もちろん悪い方向で。


 ルッツの妹のジョブは『剣聖』だった。

 大当たりだ。

 みんなが妹の方を褒め称えた。

 ルッツの居場所はなくなった。


 実家から「出来損ないはいらない」と言われ追い出された。

 勘当ってやつだ。

 そして、ただのルッツになった。


 社会での生き方を知らなく、それまで何の不自由もなく生きていきたルッツは絶望した。

 それでも、生きるためにお金を稼ぐ必要がある。


 誰でもできる職業、冒険者になった。


 そこで地道にやっていけばよかったのだが、周囲から常にもてはやされていたルッツは自分の力を過信していた。


 周りの忠告に一切耳を傾けず、無謀にも魔物の住む森に一人で入っていった。

 その結果、ゴブリンに棍棒で頭を殴られた。

 意識を失い……気がついたら俺がルッツの意識を奪っていた。


 ルッツは死に、俺がルッツになった。

 そして、今に至る。


 状況を整理できた。


「正直、過去のことはどうでもいい」


 ルッツが失意のまま死んだとか、俺が日本人だったとかは大した問題じゃない。


「問題は今からどうするべきか、だ」


 異世界に行った場合にやってみたいことリスト『俺と異世界』を俺は前世で作っていた。

 大学講義の暇な時間に作っていたものだ。


 欲を言えば、こちらの世界に『俺と異世界』を持ってきたかった。

 だけど、大丈夫。

 どうせ持っていけないと考えていた。

 異世界に飛ばされるときはいつだって突然だ。


 そして、こんなときのために『俺と異世界』の内容をしっかりと覚えてきた。

 いつでも異世界転生できるように準備してきたのだ。


 だって、よく考えてもみよーぜ。


 WEB小説の中に異世界転生・転移した人がどれだけいるか?

 正確な数はわからないが、何百、何千万人はいると思う。


 それだけの人が異世界転生するなら、俺だって異世界転生してもおかしくはない。

 いや、むしろ死んだらみんな異世界転生するぐらいの確率だ。


 そう考えた俺はしっかりと異世界に行ったときのことを考えてきた。

 だから、こういう状況に陥っても冷静に対処できる。


 さすがに目を開けたら、目の前にゴブリンがいたときは焦った。

 混乱して取り乱しそうになったが、なんとかなった。

 やはり準備は大事だ。


 話を戻そう。

 異世界転生したら、やりたかったことについてだ。


 それはもう決まっている。

 俺TUEEEEEEEEEしたい。

 異世界で無双するのが俺の夢だ。


 俺のジョブは『スライム使い』だ。

 スライムは最弱の魔物。

 ハズレジョブだと思われるのも納得できる。


 でも、俺は知っている。

 こういうハズレジョブは大抵凄い力を持っている。


 それこそ、妹の『剣聖』なんてけちょんけちょんにできるぐらいの力を持っているはずだ。

 まずは『スライム使い』の力を覚醒させる必要があるな。


 それで、当分の俺の行動だが……。


「まずはスライムをテイムする」


 スライム使いなのにスライムがいなかったら戦えないし。

 というわけで、洞窟を出た俺は早速四匹のスライムを発見した。


 途中でさっきのゴブリンを見つけたから、木の影に隠れて通り過ぎるのを待った。

 お前なんて、すぐにボコボコにしてやるからな。

 今はまだちょっと力が足りないだけだ。


 閑話休題。


 俺は目の前にいるスライムを見た。

 全部水色のスライムだ。


 触ってみると、ぷにぷにと弾力感があって気持ち良い。

 魔物というよりも愛玩動物みたいだ。

 こんなんでどうやって敵を倒せば良いんだ?


 いや、きっとスライムには隠された力があるはずだ。

 異世界転生したら奴はチート能力を持つという決まりがある。

 『スライム使い』は間違いないチートジョブだ。


 しばらくスライムと戯れる。

 ああ、癒やされるー。

 スライムの頭?を撫でてやる。

 すると、スライムは嬉しそうにスリスリしてきた。

 なんだ、この可愛い生き物は。


 って戯れてる場合じゃないよな。


「こいつらをどうやってテイムするんだ?」


 おそらく魔力を使って、なんとかするんだろう。


 この世界には魔力がある。

 異世界なんだから魔力があって当たり前だ。

 魔力がない異世界はもうはや異世界ではない!

 というのが俺の持論だ。


 そして、俺は魔力の扱い方を知っている。

 ルッツの記憶の中に、魔力を使っているときの経験があるからだ。


 自分のへそ辺りにある温かい物。

 それが魔力だ。


 俺は魔力を動かして右腕へと持っていく。

 そして、スライムをなでなでしながら言った。


「テイム――!」


 スライムに魔力を流し込む。


 ぼわっと白い光が右腕から放出され、その光はスライムを包み込んだ。


 光が消え、スライムがのそのそと俺に向かって動く。

 ぷにぷにの肌をすりつけてきた。


 可愛いな、こいつ。

 これでテイム完了だ。

 なんとなく、スライムと繋がった感覚がある。


 他の三匹のスライムもテイムしておく。


 スライムたちにはそれぞれ名前を付けておいた。

 アインス、ツヴァイ、ドライ、フィーアだ。

 見た目が似ているスライムたちだが、不思議と俺には区別がついた。

 これがスライム使いの力だろうか。


 俺が動くとスライムがゆっくりとついてくる。

 ピク○ンみたいだ。


 俺はこいつらとともに最強を目指すぜ。

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