路地裏の賛歌
コンクリートに
くり貫かれた空
うす紙をサキサキと
切り裂いたような
雲が流れて
細い路地裏
口の中で転がす
ブルーベリー味のあめは
コロコロ
小さくなって
喧騒の中で点々と
光はまどろみとけてく
乱れた
木々や葉の
影を産み落として
イヤホンから
流れ出た曲を
唇で再生
歌いながら
歌いながら
ずれてく音程も
そのままに
目的地より
いい寄り道を知ってる
割れたガラスの欠片の緑が
そっとスミレに寄り添ってる
奥歯で噛み砕いたあめ玉は
後味だけ残し
消えていく
そんなことに
切なくなる気持ちを
正さないで
正さないで
影はたゆたい移ろう
流れる
雲は光を遮る
どんな曲も
完璧には覚えられない
唇で
歌うことは
歌うことは
馬鹿馬鹿しさと
清々しさで出来てる
目的地より
いい寄り道を知ってる
割れたガラスの欠片は緑
そっと揺れるスミレを映してる