14.15.
【感覚で生きて】
朝になるのが怖かった。
日々、確実に、老いていく自分が嫌だった。
目を閉じると広がる闇が怖かった。
脳ミソが“ぶつりぶつり”と切れていく感覚。
確実に常識に染まっていく――
侵食される恐怖。
日常的に思想がレイプされて、僕の言葉が僕で無くなっていく実感。
やめてくれ。
僕に入ってこないでくれ。
生温い空気で、
生温い言葉で、
生温い環境で、
僕を鈍らせるな。
教科書の知識で評価するな。
知識は新しい発想を生み出す為のヒントでしかない。
ヒントを暗記して詰め込んで点数で競ってどうする?その後の閃きが大切なのに。
個性に優劣をつけるな。
思いやりってなんだ?
何故、先生が、僕の、精神を“まる”と“空白”で決めるんだ?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
そんな――
子供だった。
甘ったるいガキだった。
でも今の僕は、
その甘ったるさを表現できないのだ。
もう僕はあの頃の思想を言葉で表せない。
甘いものより
苦くてノンカロリーで無糖なものが好きになってしまった。
“肥るより痩せたくなって”しまった。
“ぶつりぶつり”と切れて鈍くなる快楽を知った。
だからきっと
あの頃の僕の方が情熱的で、
今よりずっと正しい。
――戻ろうとは思わないけれど。