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厨4話

「たった3匹しか捕まえられなかった…。」


ソラはとぼとぼと山の中を歩きながらそうボヤいた。


「3匹じゃお腹は膨れんだろう…。だが、今の力ではこれが限界ということか…。」


力も何も幸運で手に入れた魚だった。ソラは自分の力を過大評価している。

ただ魚がノロマだっただけである。


「さて、この魚を食うにしても安全な場所がいるな…。昨日のような悪鬼に襲われでもしたら…次は勝てるとも限らん。」


逃がしてもらっただけだが、命あることは良きかな。

ソラは勝った気でいた。


「む?洞窟があるな。今日はここで凌ぐとしようか。」


ソラは洞窟を見つけたので、奥へと入っていく。


「サバイバルも慣れたものだな。昨日は戸惑いから油断したが今後はそうもいかんぞ。悪鬼を恐れる訳では無いが、いらぬ戦いは不要。出来ればもう会いたくないな。」


洞窟を見つけて上機嫌なのか独り言が多い。しかし、その独り言も止む。


「こ、これは…!?焚き火の跡がある。しかもまだ火種が燻っている。少し前までここに誰かいたに違いない。ようやく文明と遭遇か…。俺の伝説が幕を開けるな…。」


ソラは残った火種で、そこらにあった木を燃やす。

火が大きくなったところで、魚に木を刺したものを周りにぶっ刺す。


「料理か…生まれて初めてだが案外簡単だな。三ツ星を名乗ってもいいんじゃないか?」


ただ魚に木をさして焼いているだけで凄いいいようである。腸も抜かずに何をほざいているのか。


「う…。川に入ったからか体が冷えているな…。少しトイレに…奥の方でいいか。」


さすがに食事をするところで汚物を出したくない。

ソラは洞窟の奥の方にトイレをしに行った。




「ギギ(おい、みたか?)」


「ギギギ(あ、あぁ。あいつ俺たちのために魚を…。)」


「ギギギ(あぁ、信じらんねえ。だが…事実だ。)」


「ギギギ(くそ、こんなことになるなら洞窟で待っときゃよかったぜ。)」


「ギギ(おいおい、どうせ戻って来ないからちょっとでも腹に入れるもの獲りに行こうって言ったの誰だよ。)」


「ギギ(俺達が間違ってた。俺達はアイツを信じるべきだったんだ…。うぅぅ…。)」


「ギギ(な、泣くなよみっともねぇ。ほら、アイツがこんな時間までかけてとってきてくれたんだ。焦がしちゃ許されねぇぞ。早く食おう。)」


「ギギ(あぁ、そうだな。いただこう。)」


3匹のゴブリンたちは焼かれた3匹の魚を、それぞれ1匹ずつ食べた。


「ギギギ(なぁ、俺ァよ。こんな小せぇ魚は1食に5匹は欲しいと思ってたけどよ。)」

「ギギギ(あぁ。)」

「ギギギ(言いたいことはわかるぞ。)」

「ギギギ(だけどこんなに腹が膨れる食いもんは今までくったこたぁねぇや!)」

「ギギ(違ぇねえ!心の奥があったかくなっちまったよ。)」


ソラが戻ってきたらそこにはゴブリンたちがいた。

もうおわかりだと思うが、ソラはゴブリンたちに逃がされた洞窟に戻ってきていた。

死に物狂いで逃亡したソラは周りが暗かったこともあり、自分がどこを走っていたのか分かっていなかったのだ。

暗くなくても分かっていなかったかもしれないが。



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