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拝啓、友達のヒカルへ〜これから始まるのは本当に野球ですか?〜

「おはよう竜星!今日は朝からわりぃーな!」

悪いと言いつつ、太陽なような眩しい笑顔を俺に向けて来たのは、友人の小日向光だ。

本当に悪気があるのかどうかは不明だが、まぁ、いつもの事だ。軽く流そう。それに、俺はさっきの事でもう疲れた。

「おはようヒカル」

「ん!?なんだよ、元気ねーじゃんか!腹減ってんのか?グランド整備終わったら牛丼食い行くか!!」

なんの需要があるかわからないが、この学校の近くには24時間営業の牛丼屋がある。所謂、都心に比べると少し田舎なこの町で、なぜそんな無謀な事をしているかは、誰も知らない。ただ、店長の顔が日に日に青くなっている事だけは間違いない。そりゃ、もう、ゾンビみたいに真っ白だ。

「運動前に朝から牛丼は重いだろ。それに、腹はあんますいてない」

「そんなヤクザみたいな顔しといて朝から牛丼が重いとか、マジ面白いなお前!」

「なんも面白くないから、なんも面白いとこないから」

「はははっ!んじゃ、なんでそんな元気ねーのさ?」

お前、自分から俺の顔弄っといて顔イジリそれだけかよ!?いや、まぁ、いいんだけどさ。ともあれ。どうするか。朝起きた事を話してもいいが、どうせロクでもない事しか言いそうにないんだよなコイツ。隠す必要も特にはねーけど。

「まぁ、この試合終わったら話すわ。とっととグランド整備しちゃおうぜ」

「あいわかった!んじゃ、今日は久々の野球楽しむか!」

ヒカルに指示を貰いながら二人でグランドを整備していく。そういえば、他のメンツはどうしたんだ?と疑問を感じながらも、その内やって来るだろうと思って深く考えていなかった。

それがいけなかった。そこで俺は違和感を感じるべきだったんだ。

そして、グランド整備が終わり。

「あぁああざぁああああああああす!!!!」

野球部独特のなんて言ってるのか分からない挨拶に、俺達は準備体操を止めて振り向く。そこには、見知らぬユニフォームを着た男達がゾロゾロとやってきた。何人か、人を殺めてそうな程のイカツイ野郎もいる。とりあえず、身に纏うその雰囲気が、強豪校のそれだとなんとなく察した。待て、そんな奴らと試合するなんて俺は聞いてないぞ。

「竜星、先に言っとくわ」

「いや、待て。むしろ、俺が先に言う。あんな強そうな奴らと試合するなら、あらかじめ言ってくれよ。俺ジャージだぜ?スッゲェ恥ずかしいんだけど。ってか、本当に助っ人が俺でいいのか?むしろ未だ誰一人部員来てないのってマズくないか?」

「あぁ、それは安心していいぞ。今日は、俺対最強高校の試合だから。それと、俺が言いたいのはよ、俺が野球する姿の見た奴って大概ビビるんだけど、その姿を見てあんまり引かないでくれって事なんだ」

野球をやってる姿を見ておびえる。それがどんな姿なのか想像も付かないが、これだけはわかる。

「ちょっと待て。え、俺達、野球するんだよな?」

「そうだぜ?」

「二対九の野球?」

「まぁ、正確に言うとそうだな。俺と竜星対最強高校だ。まぁ、任せろって。俺がピッチャーやる限り負けないって!」

それは本当に野球なのかどうなのか。まぁ、ヒカルがそう言うならきっといいんだろう。

最強高校の監督がこちらの方へやってきた。相手側の選手達は、それぞれアップの準備をしている。

「この時を待ちどうしく思っていたよ、竜星君。もし我々が本当に勝ったら、こちらの学校へ転校してくれるだよね?」

「あぁ。間違いなく転校するぜ?ただ、本当に俺に勝てたらな」

「その言葉を聞けて安心した。では、約束通り、特別ルールとして、こちらはバント、振り逃げなしで試合に臨もう。いいかい、竜星君。我々は、この日のために、山に篭って一年間過酷な練習を積んできた。甲子園なんて目じゃない。我々は、ただこの一年間ッ!!君を倒すために練習を積んできたんだ!!去年の屈辱を晴らすためにな!!」

「上等だぜ。お前等が積み上げてきた一年間、俺が3球で終わらせてやるぜ!!」

熱い攻撃的な視線がぶつかり合い、バチバチと火花を散らす。ツッコミどころは山程あるが、もはや気にしない。あえてスルー。だってよ、全部突っ込んでたら話進まない予感しかしないんだ。

監督が不敵に口角を上げて立ち去る。今に見てろよ、って事なんだろう。

だがしかし、一難去ってまた一難。いつのまにか俺たち側のベンチに立っていた二人の先生、【保険の美人先生】マチ子先生と、【なんでも知ってる社会の老婆】大葉が不吉な話をしていた。

「1割、いや、2割と言ったとこかしら。彼らが生きて帰ってこれるのは」

不安そうな声で、マチ子先生がそう言った。

「進化し続ける勇者の末裔であるヒカルの相手を一般人がするなんて、一言で言うなら、無謀ね。でも、もし、それで、本当に彼らが勝ったのなら、それは人類にとって大いなる一歩になるわ」

どこか遠い眼をした大葉先生がそう答えた。

「神話を超える人類の進化。果たして、本当に可能なのかしら」

「傍観者の私たちに出来ることはただ一つ。見守りましょう。彼らの大いなる戦いを」

ただの戯言だとは思えない彼女達の意味深な会話が終わり、そして、もうすぐ、戦いの幕が上がろうとしていた。果たして、これから俺が行うスポーツは本当に野球なのか?野球グランドを見ながら、俺はそんな疑問を抱えていた。

「ヒカル君、そちらの準備はいいかな?」

「どこからでもかかってきな!!」

「いいだろう。では、整列!!!」

「うおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

男達の雄叫びがぶつかり合う。足音は地響きとなり、大地を大きく揺らした。まるで、これから合戦が起きるかのような闘志が渦巻く。そこで俺は理解した。

これは野球じゃない。もはや、これは戦争だ。

第2話目なのに話がもう脱線!!!

えぇ、だいたいそんな感じで話が進みますとも!!!


そう、深く考えてはならんのだ!!!

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