イケメン婚約者(4歳)に翻弄される私(中身成人済み)
「よろしくお願いいたします」
お母様に教えられた通りの優雅なお辞儀をしながら私の心臓はバクバクと脈打っていた。
理由は1つ、目の前の第2王子様がカッコいいから。前世の記憶を思い出して性格が少し変わったとはいえ、私は4歳の女の子なのだ。自分と同じ年の王子様に惹かれるのも無理はないだろう。
「君が私の婚約者か。随分と可愛らしい姫君のようだ」
軽く笑いながらユーラ様がそう言う。
待って⁈貴方まだ4歳よね⁈
やめて!3次元のイケメン耐性ないから!
…………ん?今婚約者って言った?
「ユーラ様、私たちまだ婚約者ではないと記憶しているのですが……」
「?何を言っている。アルラリア公爵から返事をもらっているぞ。是非婚約させてもらいたいとな」
お父様⁈
私OKしてない!第2王子がどんな方が分からないって言ったじゃん!
報・連・相の1つも出来てない!
……もしもこの婚約が破滅ルートだったら私終わりじゃない?避けようがないじゃん。
「……私との婚約は不服か?」
「いえ!……ただ何も聞いていなかったので驚いてしまっただけです」
こんな美少年に不安げな顔で言われたらこう言うしかないじゃないか。
決して、婚約ぐらいならいいかなーと思っているわけではない!
避けようがないだけだ!
「そうか……!」
やめて、本当にやめて!私の言葉1つで表情明るくするのやめて!貴方は自分の顔の良さが分かってない!私のHPはもうゼロなの!
「そういえば変わったドレスを着ているな。王都では見たことがない」
私のオフショルダードレス見て不思議そうにユーラ様が言う。
「自分でデザインしてみたのですが……。少し斬新過ぎたでしょうか。」
よく考えずに作ってもらったが、もしかしたらこの世界の文化では可愛くないのかもしれない。お母様やお兄様の反応からしておかしいと言うわけではないと思うのだが……。
「いや、よく似合っている。ふわふわしたドレスよりもこちらの方が好きだ」
「ありがとうございます」
いやー危ない危ない。思わず声を上げてしまうところだった。平常心、平常心。フゥと少し息を吐く。顔が少しだけ赤くなったことぐらいは見逃してほしい。だってユーラ様はめちゃくちゃ顔がいいのだから。
「……君は、本当に可愛らしいな」
クスクスと笑いながらユーラ様が言う。顔が熱くなるのがわかる。
「お、お褒めに預かり光栄です……」
真っ赤な顔でかろうじてそう言うとユーラ様はまた笑った。
あぁ神様
この世界の4歳児って凄いですね……。