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「さまぁ~ず」についての感想





 Amazonのプライム会員になっている事もあって、「内村さまぁ~ず」という番組を見ている。吉本風の騒がしい笑いではないという所もあって、作業しながらゆるく見る分にはちょうどいい。


 「内村さまぁ~ず」という番組を見ていて、思ったのは芸人というものの立ち位置だ。「内村さまぁ~ず」は、内村光良と、「さまぁ~ず」の二人がゆるい笑いを届けるというバラエティ番組で、特にあれこれ書くような感じでもないが、結構話数見たので、芸人のポジションについて素人目線で考えてみる。


 「内村さまぁ~ず」では、三人の芸人はゆるい感じでやっているし、実際にゆるくやっている部分もあるだろうが、本当はそれだけではない。最近の芸というのは、一見、居酒屋で話している普通のトークであるように見せて、実は視聴者を意識した話芸になる事が求められている。自然さを装いつつ、技術を底の方に置いておくという所に主眼がある。


 だから、「さまぁ~ず」と言えば「ゆるい」というのも、そういう風に見せているという要素が多い。しかし、視聴者には「『さまぁ~ず』はゆるくやっててあの感じの笑いが好き」という風に思わせれば成功となる。本当は芸人は裏で努力しているとか、そういう所を見せたら、芸人である必要がない。「笑い」というフィクションの強度を保てない芸人、もっと高級な事、かっこいい事をしたい人は、自然、笑いから離れていく。


 笑いの一般論に戻ると、「内村さまぁ~ず」で、内村と年の近い売れていない芸人が集まる回があった。見ていると、売れていない、売れなかった芸人というのは本当に面白くない。いや、面白くないだけなら別にいいのだが、そもそもカメラに自分が写っていて、カメラの向こうには大勢の人間が見ているという当たり前の意識すら持てていなかった。これはタレントとしては致命的な欠陥だと思う。


 その回で、売れなかったコンビの片割れがトークをしていたのだが、その話が「僕らのDVDが売れましてねー」という、本当の居酒屋、おじさん自慢トークであり、ただ自慢に始まり、自慢に終わっていた。それから、下ネタなども、テレビに写っている意識もなく露骨な表現を使っていて、全くカメラを配慮できていなかった。三村などはスケベなキャラを演じており、それは事実かもしれないし、そうではないかもしれない。三村もやりすぎる事はあるが、それでも、カメラに映る事を意識した下ネタであるから、生々しい感じは除外されている。これは、タレントとして、当たり前の事を意識しているかしていないかという差だと思う。


 一度、「さまぁ~ず×さまぁ~ず」の収録を見に行った事がある。知人がチケット二枚取れたというので一緒に行った。渋谷かどこかのスタジオだったと思う。


 収録に実際に立ち会って、印象に残った事があった。それは、収録現場での「さまぁ~ず」の振る舞いである。


 もちろん、「さまぁ~ず」はテレビで、僕らが見ているように二人でトークしていただけである。観覧席から二人までの距離はかなり近い。しかし、実際、観覧席から二人を見ていると、二人とこちらの間の距離を物凄く遠く感じた。


 何故、距離を遠く感じたのか。答えは簡単で、「さまぁ~ず」の二人は、実際には観覧者とスタッフの、数十人単位の前でトークしているだけなのだが、二人の頭の中にはカメラの向こうにいる無数の人の姿が見えていて、それに合わせて話したり、怒ったり、暴れたりしている。つまり、そこに実際にいるのはせいぜい数十人だが、「さまぁ~ず」はカメラの向こうの広大な人達を想定して演技をしていた。それは不思議な体験だった。だから、実際、かなり間近で「さまぁ~ず」の二人を見たのに、あんまり実在のタレントを見たという感じはしなかった。距離が近くなって、カメラが消えても、カメラを意識して振る舞う行為は、やはり、タレントとしての行為である。


 「さまぁ~ず」の二人の芸人としての力量がどんなものか。比較を明石家さんまに取るか、つぶやきシローに取るかで相対的に変化するだろうが、少なくとも二人がカメラの前でどう振る舞うかという事を心得ているプロフェッショナルだという事は確かだろう。そしてそれは、カメラの前に出る人間としての最低限の技術・訓練なのだろう。前述の、売れなかった芸人はカメラを意識せず、「芸人の先輩」としての内村光良とかさまぁ~ずばかりを意識していて、カメラと、カメラの奥の無数の人達を想定できていなかった。そうした芸人に比べれば、さまぁ~ずとか内村光良なんかはやはりプロなのだろうと思う。彼らがプロである事を前提とした上で、その芸について更に言うこともできそうだが、ここでは言わない。大体、そういう事を「内村さまぁ~ず」を見て思った。

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