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第二日目 そして、捨てられる

「さーて……これからどうするかぁ」


持ってるものと言えば、mkmkなお兄さんがくれた銀貨五枚とこの制服とこの鞄のみ。鞄の中はというと。


携帯、ちり紙、チョコ(二つ)、ノート、筆記具、理科教科書、財布、趣味のレシピノート


勿論、携帯は圏外だ。ネットにすら繋げないから只の鉄の塊である。お金だって、あちらの世界の物が使えるとは到底思えない。するとなると、親にも大人にも助けを求められない以上、後は自分でどうにかしなければならない。取り合えず、この服をなんとかしよう。さっきから町人の視線が痛い。

私はそそくさと服屋に向かった。


「あら、お嬢ちゃん。面白い服を着てるわね」


奥からふくよかな体型をした気の良さそうなおばさんが話しかけてきた。「えへへ、私に合う服はないですかね?」と言うと「ちょっと待ってておくれよ」と言い、奥から私に似合いそうな服をいくつか持ってきてくれた。


「うん、これがいいかな?」


私が選んだのはシンプルなデザインの黒のロングコートに乳白色のTシャツに動きやすそうなひざぐらいの丈の茶色の半ズボン。中々センスがいいなと思っているとおばあさんが「あんた、結構やんちゃするでしょ?」と言われ私がドキリとする。私の驚いた顔をしているのを見て笑って、鼻に指を刺す。


「あっ……」


(しまった!すっかり忘れてた!!)



確かに変な格好して鼻の穴に紙つっこんでる女なんていたら皆見るよねぇ?改めて私は自分が悪目立ちしていたことに気づいた。

あ、でもお金大丈夫かな?と私が服の代金のことを心配しているとおばあさんが「あの服と交換で銀貨三枚でどうだい?」と言ってくれた。

今、お金がない私にとっては有りがたくその申し出を受けた。

銀貨三枚受け取り、新しい服にも着替え親切なおばあさんにお礼を言い、店を立ち去ると次は宿を探した。なるべく安くご飯付きのところを探そう。異世界の文字なんて読めないはずなのに何故か頭の中で翻訳され文字が浮かびあがり宿探しは意外とすんなりと進んだ。

三件目でようやく夜・朝二食付きの一泊銀貨二枚のところを見つけた。取り合えず、そこに今夜は泊まることした。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


取り合えず、少し埃ぽっいシングルベットの上で今後どうするか私なりに頑張って考えてみるが全然言い案が浮かばなかった。


「はぁー、元々こういう考えてる作業は私に向かないんだよ」


今までの十七年間、ほぼ合気道に捧げてきた。だから昔から喧嘩とか勝負ごとには頭は使えたが勉強とかそういう難しいことには使えない。「あー」「うー」とか唸っているとピコンッ!と前に変な表示が出てきた。


「えーと……?何々??『ステータス確認をしますか?』yes・no」


『yes』を押してみると、画面が出てきた。


≪異世界からの召喚された女勇者(捨てられた(笑))≫


名前 サオトメ・リュウセイ


Lv,1


攻撃力 『161』

防御力 『101』

魔力 『0』

属性 なし

スキル 『空間魔法』『時間魔法』



おい、誰だこのふざけた自己紹介文つけやがったのは。この(笑)も悪意感じんぞ、ゴルァ。

色々文句言いつつ、ステータスを見るとある気になる部分を見つける。


(ん?このスキルとこの『空間魔法』『時間魔法』ってなんだ?)


そう思い、スキルの説明のところをタッチしてみると。


《空間魔法》

右手を指パッチンすることで発動。技を選択すると異世界との空間を繋げることができる。

【技:召喚、ボックス、結合】


《時間魔法》

左手を指パッチンすることで発動。技を選択することで周りの時間を操ることができる。

【技:一時停止、早送り、スロー】



うっわー、なんかゲームみたいなのが出てきたと思いながら私は色々弄ってみた。


「まずは空間魔法から……」


右手を指パッチンして技の一つである「召喚」と呟くと、出てきたのはあの大々的なネット通販、アマポンの表示だった。あまりのことに「ほへぇ……?」となんとも情けない声が出てしまった。


「しょ、召喚ってそういうこと……?」


てっきり私はなんか強いモンスターとか召喚できるやつかと思ったよ。ちょっぴりがっくりとしているとあることに気づいた。横のところに《サオトメ・リュウセイ》 【残高 銀貨八枚】と書かれていた。


「か、買えるんだ……」


試しにアマポンでほ~いお茶を一本【銀貨一枚】買ってみると【残高 銀貨七枚】に減っていた。すると《空間を開き、商品をお受け下さい》という表示がでた。「空間ってどうやって出すんだぁ!?」と慌てていると普通に手をかざすと人の頭ぐらいの大きさの穴が出てきた。私は恐る恐る穴に手を入れてみると、なんと中には頼んだほ~いお茶があったのだ。


「ということは……」


私は試しに買ったばかりのほ~いお茶を投げてみた。そして、右手でパチン。「一時停止」と叫ぶとお茶が空間で止まった。やっぱりそうかと私はなんとなくスキルの使い方を覚えた。


「でも、良かったー……!!後はお金さえあれば食いっぱぐれることはまずないな」


何より大好きな食べることができないと私にとっては最大のストレスであった。後のスキルも追々確認してけばいいやと思い、明日はなんか私にも出来そうな仕事でも探そうと眠りついた。



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