表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第一日目 女勇者、召喚される


「はっ、離してください!!」


「いいじゃあねぇかよ、付き合えよ」


「怖がる顔も可愛いねぇ~」


「なぁなぁ、俺たちと一緒にいいこと行こうよー?」


か弱いい少女に金髪に耳にチャラチャラとしたピアスをつけてるチャラい格好をした、いかにも不良ぽっい三人組が絡んでいた。

ガシリと一人の不良が少女の手を乱暴に掴む。


「ほら、行くぞ」


「いっ、いたい……」


嫌がる少女を無理やり連れていこうとする。少女は助けを求める視線を送るが皆厄介ごとに関わりたくなく見てみぬふりをする。


『そんな……』


涙組む少女。このままこの男たちに連れていかれてしまうのか。恐怖と絶望で体が震え、もうダメだと諦めたその時。


バキッ!!


「いてっ!」


突然一人の不良が吹っ飛ばされる。目の前に一つの影が現れる。


「男が女一人にたかってんじゃねぇ」


「なんだお前?生意気なんだよ!!」


少女と同じ背丈の黒髪の少女に不良の拳がいく。だが、その拳は少女には当たらなかった。代わりに不良の一人の体が宙を舞う。


「ってぇ……なんだ!こいつ、滅茶苦茶つぇ……っ!」


「てめぇ、まさか……!!『黒髪の乙女』か?!」


「く、黒髪の乙女って…!あのたった一人で二十人ぐらいの不良グループを全員を病院送りにしたって噂のあの女のことか…!?」


「だったら何?」


「び、ビビるなっ!!あんな噂、嘘っぱちに決まってる」


や、やちまえっーー!


バキッドカと殴り合いの音が鳴り響き、思わず少女は目を瞑る。暫くすると、音がしなくなり恐る恐る目を開けると不良たちはすっかりのびており、黒髪の少女だけが立っていた。


「大丈夫?立てる??」


「あ、いえ私の方こそありがとうございました!」


凛とした黒髪にどこかぎらついた野性な的な漆黒の瞳。少し近寄りがたい気を放つ人物であった。


「あ、鼻血出てますよ!」


「ん?あー、さっきの攻撃が少し擦ったのかな?」


「ハンカチどうぞ」と少女はポケットから真っ白なハンカチを取り出すが、黒髪の少女は受け取らなかった。


「こんなん、ちり紙でも適当につっこんでりゃ治る」


そういうと鼻に適当な大きさに千切ったちり紙を入れ、地面に落ちたカバンを拾う。「あ、是非お礼を…!」と少女は言うが黒髪は「そんなもん欲しくてやったんじゃねぇから要らねぇ」と断る。


「じぁ、せめて名前だけでも……」


食い下がってくる少女に負けたように黒髪の少女は困った様にはぁーと溜息をつく。


「早乙女…、早乙女龍星」


もう、捕まるじゃないよと言い残し龍星はその場から立ち去っていった。暫くすると、少女のところに先程の成り行きを見ていた友人が集まってきた。皆、やはり怖かったのか声かけられずいたらしい。


「ごめんね、雪。私たち怖くて…」


「ううん、私もきっと皆と同じ立場だったら同じことしてたと思うしそれに……凄く格好いい人に会っちゃったの!」


「あ、さっきの三年の早乙女先輩でしょ?」


「し、知ってるの!??さっきの人のこと!!」


くわりと肩を掴み友人に詰め寄る。友人もその迫力に押されたのか、早乙女について話し始める。


「う、うん。なんか合気道の達人の子らしいよ。物凄く強いことで有名で、でっかい道場の跡取り娘なんだってさ」


だから『黒髪の乙女』か…。格好いい!!あの後ろ姿を思い出すだけで胸がときめく。


「それに見たでしょ?あの男気、結構女の子からも人気高いらしいよ?」


何!?私意外にもそんなにファンが…!でも、譲らない!!だって早乙女龍星先輩はやっと私が見つけた王子様なんだもの。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「へっきょい!!」


なんか背すじに悪寒を感じ、私は早々に家に帰ることにした。しかし、またやってしまった。


(男子たちの目……皆ドン引きしてたなぁ~)


遠い目で私は思い出す。あのひきつった顔と怯えた目。悪いのはあの男子共のはずなのに明らかに倒された男子の方を同情していた。全く、本当に今どきの男子にさろくな奴がいないな。……っ!!さようなら!私の甘酸っぱい青春!!

心の中でひっそりと泣く。だって、一応私も花も恥じらう女子高生ですよ?最後の高校生生活ぐらい謳歌たいじゃん!!

不良グループの件だって誤解だ、病院送りにしたのは精々五~六人ぐらいだっつーの!ぶつくさとそう文句を私が垂れていると、突然下から魔方陣のようなものが浮かびやがり私を包み込む。


「な、なんだぁ!!!?」


私は白い魔方陣に引き込まれていった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「よくぞぉ、遠い世界から参った勇者よ!!」


はぁ……?なんだここ??回りを見てみるとまるで映画に出てくる中世のお城の中であった。


「汝は選ばれたのじゃ!伝説の勇者に!!」


……頭大丈夫か?このオッサン??なんかのドッキリなのかと思い、カメラを探してみるが見つからず他の人たちもふざけた様子もなく本気で勇者の召喚とやらに喜んでいた。


「いやー、あの……その~めっちゃ喜んでるとこ悪いけど私今すぐに我が家っていうかマイホームに?帰りたいんだけど……」


「ん?そんな方法知らんぞぃ」


……んー?why??


「儂が知ってるのは召喚の儀式だけ。帰還の儀式のやり方など知らん」


(はぁぁぁあ!!!??このじじぃ!!勝手に呼び出しておいて還し方は分からないだぁ?ふざけんなぁ!!)


「あんた!王様だからってね、やっていいこと悪いことがあるでしょ!!普通そっちが招待してきたんだら、送り迎えは当たり前でしょ!」


誰だ!この裸の王様みたいなの育てやがったのは!!私は怒りのあまり王に詰め寄った。「この無礼の!」「王様になんてことを!」と周囲は私の方を責めてきたが、そんなの関係ない。近所の家に遊びに行くわけでもないのにそんな簡単にぽんぽん勇者召喚されちゃあ、他の人だって迷惑だ。私は王の横に立っていた警備の人間の制止も振り払い、王の前立った。


「第一ねぇ、あんたねぇ―――!」


そう私がこの失礼な王に説教の一つでも食らわせてやろうとした時――――。


「ん?なんじゃ、その胸の膨らみは?」


私の胸を凝視してくる王様。

は、はぁ?なんだ急に??思わず私は胸を隠し、怪訝な顔になる。


「いや、胸だよ。だって私、一応女だし」


「おんな……?だと??」


ざわざわと周りがざわめき始める。え、な、何?女だと何かまずいことでもあったのか?嫌な予感がする。


「し……じゃ……」


「え?」


「儀式は失敗した……!!女の勇者などなんの役にも立たぬではないか!」


え、えっー!そっちから呼んどいてそういうこと言うー?


「衛兵!この者を即刻城から叩き出せ!そして、もう一度勇者召喚の儀式を執り行うのじゃ!」


「え、ちょっ!」


王様がそう言うと奥から二人組のガッチリとがたいのいいムキムキマッチョなスリムボディーのお兄さんが出てきて、私の両腕を仲良く片方ずつ持ち引き摺っていく。ぐぬぬ、王めこんな秘密平気を隠していたとは……!流石の私もこんなのに力で勝てるはずもなくあっという間に城外へぽっいと棄てられる。


「ほらよ」


そう言うとmkmk二人組はは少々小汚ない袋を私に投げてきた。中を確認してみると、銀貨五枚が入っていた。


「え?」


「ごめんな、俺達の安月給じゃこれぐらいしかやれない」


え?これ貴方のお金なの??あー……そうですよね、あんな王様が私になんてお金一銭もくれるはずないよね。先程の顔とは違い、まるで捨てられた子猫を見るかのように私を見る二人。

すぐ私は納得し、顔は厳ついが心はイケメンのmkmkマッチョなお兄さんたちにお礼を言った。


「ううん、ありがとう。衛兵のお兄さん」


「いい子だなぁ。俺達も生活に困ってなきゃ、あんな我が儘王様なんかのところで働いてないのによ……」


「こら、馬鹿!誰かに聞こえたらどうする……!!じゃあな、気をつけてきなよ、嬢ちゃん」


あのー、二人して私の頭をくしゃくしゃ撫で回すのはいいんだけどもうちょっと力加減どうにからないかな?背が縮むから!私は商店街の行き方を教えてもらい、城を出た。しっかり衛兵のお兄さんたちは私のこと姿が見えなくなるまで見守ってくれていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ