尻シバキ
デデーン!
勇樹アウトー心筋梗塞!!
なんのこっちゃ?
某大晦日の尻シバキの様な効果音と共に俺、城戸勇樹は真っ白な世界に居た。
遠くでは小さな黒い点がゆっくりと近づいて来ている。
どうやら何もない白い世界でその点に向かって移動してるかもしくは、
トンネルの出口かと言った所だろう。
まどろみと酔いの意識の中で若干の胸の痛みは徐々に大きくなり、次第にそれは締め付ける様な苦しさに変わってからブツンと言う体内の音と同時に考える意識はなくなって現在のこの世界に居る訳だ。
一抹の不安を抱えながら思慮する。
これが「死」ではないかと。
夢を見ない眠りは時間の感覚も無いままに
真っ暗な状況の中で自然と朝を向かえる。
時間にしたってあまりにも長時間とは思えず
でも、確かにその真っ暗な世界の時間は存在するのだ。
そうして居る世界の中で
この暗闇が「死」なんじゃないかと不意に思うものである。
そう思うと途端に悲しくなる。
仕事だけの短い人生と右手が恋人な日々。
次生まれ変わるならば超絶イケメンな不自由ない暮らしをしたいと考える。
「了。主の希望により外見の再構築。」
うん。誰かなんか言ってるけど、知らない。
もう、終わりだもんな。
しかしながら、仕事は忙しいが充実はしていたと思う。
この建築屋と言う仕事はまたしたいものだ。
強いて希望するなら、自分が今まで携わった物件が少しでも長く残る事を祈ろう。
「了。スキル創造者を獲得しました。」
あーなんかうるさい。てか誰だよ。
大きな声で叫んだ。
死の恐怖もさる事ながら不安だったから。
それでいて諦めている自分が居る。
虚勢を張っての大声じゃないからな?
そんな事やってたら遠くにあった点は視認出来る距離へ。
それは近づくにつれ人の形をした者に変わっていった。
長い物を持ったそれは紛れもなく全身黒タイツの某大晦日の尻シバキ隊だった。
その手に持った物を黒タイツはメジャーイチロー顔負けのホームラン宣言した後に大きく振りかぶって。
俺のケツに…
いや、正確にはケツの大事なはじめてにドリルしやがった。
アァー!!
 




