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平和な世界の最強勇者  作者: 白楽
第二章
18/36

出発

かなり短いです。

 

「という訳で、しばらく帝国に行ってくることになったんだ」

「何がという訳なんだい? もう少し、分かりやすく説明してくれないかい?」


 1週間後に帝国に出発することが決まった颯斗は、エラノアと別れてティナの部屋に来ていた。


「どうやら極秘らしくてね。あんまり説明したら駄目らしいんだ」

「ふむ。しかしこの時期に帝国とは、私はあまり知らないが、今君に抜けられるのは惜しいな。全く君はどうなってるんだい? 少し居なくなったらと思ってたら、次に会ったときは立派な錬金術師だ」

「あはは。まぁ、知識だけだけどね」


 苦笑するティナに、颯斗も笑みを浮かべる。

 宰相であるアリシタの依頼は、この国の第四王女であるミリシアを迎えに行く事だ。

 だが颯斗には少しだけ気掛かりがあった。

 アリシタの心の内を読もうとして、出来なかった。

 それは実力者に共通する事だが、アリシタの場合は実力者というより、まるで誰かに心を閉じられているかのようだった。


「所でティナさん。宰相のアリシタさんってどんな人?」

「ふむ。アリシタ・ティニアか。私はあまり関わりがないが、優秀だと聞いているよ。彼がどうかしたのかい?」

「いや、少しだけ気になっただけだよ」


 ティナもアリシタの事をよく知らないようだが、颯斗はアリシタの事が気になっていた。


「まぁ気にしても仕方ないかな」


 何を考えているのだろうか?

 あの女はーーーー。



 ✳ ✳ ✳


 1週間は、瞬く間に過ぎた。

 もとより颯斗にやる事はないのだ。

 潰すのは暇だけだ。

 エラノアの場合は、いなくなる間の仕事の引き継ぎ等で忙しくしていたが、1週間で済ませ、今第三騎士団は代理の騎士団長がその座に就いている。

 エラノアの信頼が厚く、実力もある者だ。


「へぇー、僕馬車に乗るのは初めてだよ」

「はは、正確にはこれは、竜車というのだよ、ハヤト殿」


 馬よりも二回り程大きな二足の歩竜が引いた、大きな馬車。

 歩竜は馬よりも力があり、持久力も桁違いだ。

 その分馬よりも気性が荒いが、颯斗が手を伸ばすと頭をすり寄せてきて以外に可愛い。


「あはは、生臭いな」

「ふむ、話によればこの歩竜は1番気性が荒いと聞いたが、ハヤト殿に心を開いたようで良かったよ」


 顔を舐められ生臭い匂いに包まれながら、颯斗は歩竜の身体を撫でる。

 心を開いた、というより、心を読んだ、が正しい。

 歩竜は魔物に分類されるが、頭がいい。

 颯斗の力に気づき、逆らうよりも従う事を選んだのだ。


「大丈夫だよ。君が僕に何もしない限りはね」


 エラノアには聞こえない、歩竜が聞こえる程の大きさで、颯斗は歩竜に囁く。

 歩竜は小さく鳴いて、颯斗に擦り寄った。


「ふむ、よほどハヤト殿の事を気に入ったようだな。だがそろそろ、荷も載ったようだ。行こうか」

「はい、そうですね」


 馬車に食料等の諸々が載った事を確認し、エラノアと颯斗が乗り込む。

 歩竜は頭が良く、馬のように御者を必要としない。

 自ら目的に向かってくれるのだ。

 その為、竜馬車は人気があるが、気性の荒い歩竜は数が少ない、貴重なものだった。


「では、行くとしよう」

「うん」


 竜馬車が、ゆっくりと動き出す。

 見送りは馬車に荷物を載せた兵士だけ。

 しかし颯斗は、その兵士達もまた、心が読めない事に気づいていた。


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