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エピローグ~願いを叶える花~

「……迎えに来てくれたんだね、リッカ」

 弱々しく、宙に伸びたリクの手を、妾が握りしめる。すでに、リクの意識は朦朧としていた。夢と現の狭間で、リッカに出会っているのだろう。

「リク、リク……ありがとう。安らかに眠るがいい」

 瑠璃色の美しい瞳から、急速に光が失われていく。……リクは最期、幸せの中で、逝けたのじゃな。


 ぱたりと、手から力が抜けた。妾はリクの両手を、胸の上で静かに組んだ。最早何も映さない瞳をそっと閉じてやる。

「……本当に、酷い男だね。無理難題、押し付けて行ったよ」

 憎まれ口を叩きながらも、魔道士は泣いていた。王子も同様で、目を押さえている。


「……なあ、リク。お主はルリの花なぞ迷信だと、常々言うておったな。でも、妾達にとっては、お主こそが願いを叶えるルリの花(奇跡)であったよ」

 妾は、結局妹を助け出せなかったが……マグノリアの遺体を取り戻す事は出来た。バラバラの妾達を、お主がまとめ上げた。お主無くして、復讐は果たせなかったのじゃ。


「リクは偽悪ぶって、妾達を利用したというておったが、無為に歳を重ねていた妾を見出し、自信と誇りを取り戻してくれた。マグノリアを信じてくれた。天空城から逃げたがっていた魔道士を、何だかんだと受け入れ、居場所を作った。憎いはずの王子にさえ、王冠を取り戻してやった……皆皆、感謝しているのだぞ?」

 妾から止めどなく溢れる涙が、リクの顔を濡らす。


「……だから、妾もお主の最期の願いを叶える。お主が望んだ通り、妾は幸せになる。マグノリアの分も、お主ら兄妹の分も、妾は生きて、生き抜くぞ?」リクの若返りの秘薬を飲んだおかげで、時間は沢山あるのだから。


「お主の望んだ最期の復讐劇は、必ずやり遂げる。……だがのう、妾は、リクを愛していた。ずっと、ずっと傍にいて欲しかったよ……」




───妾の嗚咽は、途切れる事無く続いた。





          リッカ~瑠璃色の復讐劇~ 完



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