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 シルバレーンは亜光速に匹敵する最高速度を誇り、機体の機動性も極めて高い、操縦するミルカの技量によるものも大きいだろうけれども、実際に見てもその動きは10万年前の転生者たちが残した装機竜人と比べても遜色ない。

 また、砲撃戦用の主兵装である高インパルス砲は最大射程が1万キロを超え、更に精密射撃も可能と武装面の汎用性も極めて高く、あらゆる戦闘に対応可能なその汎用性の高さは驚くほどだ。


「これはスゴイな」


 ミルカがマッハ10を超える速度で不規則に動き回る的に百発百中のスナイピングをしているのを見て思わず感嘆する。

 1万キロ離れた場所でマッハ10の速度で不規則に動く的に的確に狙撃が出来るのは、ミルカ自身の狙撃能力もあるけれども、機体そのもののセンサーなどの狙撃能力が極めて高い事と、予測演算機能の高さによるものだ。

 

 当たり前ではあるけれども、止まっている標的を撃つのと動く標的を撃つのでは、後者の方がはるかに難易度が高い。

 その難易度の差はそれこそ比較にならないとすら言って良い程だ。

 なのだけども、このネーゼリアにおいては未来予測との組み合わせによって超一流のスナイパーのみが可能な神業の事きスナイピングをど素人ですら可能にする事が出来たりする。

 

 そして、ミルカが続けている神業の如き狙撃を可能にしているのが、シルバレーンに搭載された予測演算機関と言う訳だ。

 この予測演算機関は、元々はシルバレーンの最終開発目的とする運用法、遠隔操作での戦闘を可能にするために搭載されているモノだ。

 遠隔操作で機体を動かす場合、どうしても直接操縦するのと比べてほんの僅かだけどもタイムラグが生じてしまうのは避けられない。そして、レジェンドクラスの魔物を相手にするとなれば、そのほんの僅かなタイムラグが致命的な隙となる。

 現実問題として、この機体は確かにレジェンドクラスの魔物を相手に対抗しうる性能を誇ってはいるが、それはあくまでもパイロットが直接機体に乗り込んでいる場合に限ると断言できるくらいにその差は、その隙は大きく致命的な物だ。

 それが判っていて、なお、遠隔操作での戦いを可能にするためにと搭載されたのが新機軸の予測演算機関“フレアデス”。つまりは今、百発百中の射撃を可能にしているソレだ。

 要するに、この機体は遠隔操作ゆえに機体を動かすのに若干のタイムラグが出る事をあらかじめ想定した上で、それならば、はじめからそのタイムラグの分を予め想定した操縦をすれば良いと考えて、未来予測による操縦を前提としているのだ。

 詰まる所、タイムラグの分の影響を予め予測してその上で操縦すればいいと言うなかなかムチャな発想な訳だよ。


 うん。はじめに聞いた時にはさすがに呆れたよ。

 ただ、パイロットの負担にならない機体搭載型の予測演算システムを開発したのには正直驚いた。


 うん。レジェンドクラスの魔物を相手を相手にした戦いではそもそも、未来予測による戦闘が初めから前提なんだけどね、

 これまた当然だけども、格上のレジェンドクラスの魔物を相手への予測演算による未来予測は、格下のSクラスが行うのはかなり厳しい。

 それに更に遠隔操作用の未来予測まで合わさるとパイロットの負担が大きくなり過ぎてしまう。

 それを理解した上で、更に戦闘に必要不可欠な未来予測までをもカバーする予測演算機関を開発する。

 その発想力と実現させてしま得た技術力には称賛しかない。

 実際、この予測演算機関フレアデスを持ってシルバレーンは10万年前の転生者たちの残した装機竜人を超える性能を誇るとすら言えるのだから。


「スゴイ。スゴイ。正直ここまでとは思わなかった」


 直接操縦してその性能を誰よりも理解したミルカが興奮しながら戻ってくる。


「喜んでもらえてなによりですよ。さあお次は遠隔操作での操縦です。こちらが遠隔操作用のユニットになりますのでどうぞ」

「コレが遠隔操作用のユニットなの」


 遠隔操作用のユニット、外部コックピットとも言えるモノは3メートル程の球体で、何処かに何かケーブルなどで何かに繋がっている様子もないのでこれ1つで完結したユニットみたいだ。


「中は機体のコックピットと同じなのね」 

「正式採用機には機体のコックピットは取り除いて、別のシステムを搭載したいと思っているのですよ」

「ほう。どのようなシステムを搭載するつもりなのだ?」


 ミルカに説明する主任の言葉に聞いていた王が反応する。

 と言うか俺も気になる。その新たなシステム次第では、シルバレーンは更なる性能を発揮し得るのだから。


「現在研究中の新型重力制御システムを搭載したいと思っています。これによって機体の機動性と防御能力を高められるハズです」

「成程」


 なんとまあ、これでまだ完成形ではないとは驚きだ。

 こうなると、残る問題は生産費用と必要な素材の確保だけだね・・・・・・。


 それが一番の問題なんだけどね。

 

 この試作機はミルカから送られた10万年前の転生者たちが残した素材から作られているんだろうけど、まあぶっちゃけ、使われた素材だけで兆の単位になるハズだしね。

 試作機の開発に莫大な費用が掛かるのは当然だけども、本気でどれだけの費用をかけて開発したのか怖くて聞けないくらいの状況になっているのは確実だよ。

 その上で、正式採用機を量産するとして、1機当たりの値段がどれだけのモノになるか・・・・・・。

 現状の主力機の装機竜人の100倍じゃ効かないコストがかかるのは確定だね。

 故に現状、10万年前の遺産の装機竜人が十分な数ある状況で、それだけのコストのかかる新型機の量産日が承認されるかという問題が発生する。


 そして量産するとして、その為の材料の確保が問題。

 そちらも今のところ10万年前の転生者たちが残してくれた素材が山のようにあるけれども、シルバレーンの量産に使えば当然、一気に消費されることになる。

 さらに言えば、カグヤの10万年前の転生者たちの試練を乗り越えたことで、魔物の振興の脅威を一時的の抑えることができたのが逆に問題となって、遺産以外に素材を得られる機会が激減した。

 うんまあ、造るためにはレジェンドクラスの魔物の素材が山のように必要だからこそ、実は彼らにとっては必要な素材が手に入る状況はむしろありがたかったらしいんだけど、それが終わってしまったからね。 

 あの状況が続いていたなら、彼にはこの試作機のシルバレーンでレジェンドクラスの魔物を狩りまくって研究開発に必要な素材を自分たちで手に入れていたんだろうけど、それができない状況に俺たちがしてしまったからね・・・・・・。


 なんと言うか、微妙に気まずい・・・・・・。


 シルバレーンや、それに続く期待はこれから先の戦いに必要不可欠なのは確定だから、ここの研究機関には引き続き研究開発を続けて欲しいのだけど、そのためには10万年前の遺産の素材を使うしかなくなってしまった訳だよ。


「スゴイ。直接乗った時と全く同じ動きができるよ」

「はい。実際に私たちがレジェンドクラスの魔物を相手に確認した結果としても、問題なく戦うことができました」


 という過去の人たち、既にシルバレーンでレジェンドクラスの魔物を狩って素材集めしてたみたいだね。

 超アクティブだよ。

 うーん。これは10万年前の遺産の素材を優先的に回すとかのゆうぐゅ処置が必要かな。

 他からクレームが出るだろうけど、十分すぎる実績をすでに出しているからそれを理由に黙殺もできるしね。

 それと、これまで俺たちが倒したレジェンドクラスの魔物の素材の一部を見るかを通して渡すかな?

 ミルカはココのの責任者なんだし、ミルカが倒した魔物の素材なら研究のために提供してもおかしくないし問題もないからね。

 とりあえずそのあたりのことをもう少し考えないといけないな。

 

 と言うか、今更だけど研究対象として10万年前の装機竜人があって、それを徹底的に研究することでその技術などを理解し、同等、あるいは超える性能の機体を造り出せるようになるのはむしろ当たり前かもしれないけど、それにしたってココの人たち、よくもまあこんな短期間でシルバレーンを開発できたよね。

 世界中のどこの研究機関でも、ほかに開発に成功したって話はまだ聞かないし、ココが特別ってことなんだろうけど、その情熱と執念には恐ろしいものを感じるよ・・・・・・。

 研究を続けるための素材がこれから先、自分たちで調達できないと知ったときにどんな反応をするか本気で怖いと思うくらいにね・・・・・・。


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