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 さて、試練も無事に終わったので、妖法の国カイラスでの用事に取り掛かれる。

 額にクリスタルの様な結晶を持つのが特徴の妖法はどちらかと言うと魔法特化型の種族だ。なので、魔法関係の研究が盛んで、魔法科学や錬金術の研究機関も多く、最先端の研究がなされている。

 少なくてもヒューマンの国とは比較にならないくらい硬度で、姉なんかがこの国の研究を知ったら卒倒しかねない。

 それはともかく、遺跡の調査も順調に進んでいる中、俺としてもカイラスの魔法科学や錬金術の研究が気になるので、いくつかの研究機関にお邪魔させてもらう事にした。

 

「それじゃあ行きましょうか」


 そんな訳で早速行く事にしたその研究機関は、ミルカがトップを務める所だった。

 トップと言っても名前だけで、実際にはミルカよりも優れた研究員が多数所属していて、研究の中心は彼らによってなされているとの事だけどね。

 もっとも、ミルカ自身もかなり優秀な魔法科学や錬金術の研究者である事は、一緒に旅をしていて良く知っている。

 と言うか、間違いなく俺よりも研究者としての実力は上だよ。

 

「アウグス機関はこの国でも有数の研究機関ですよ」

「研究員たちもミルカのために頑張っているからね」


 どうでも良いけど、何故かミルカだけでなくその両親、つまりカイラスの王と王妃まで一緒だったりする。なんでこの2人まで一緒に居るんだよ?

 国王でミルカの父親のアーネスト・クレイス・カイラスに、王妃であり母親のミネーレ・ユリセート。カイラス。ミルカとも婚約しているので、将来の俺の義理の両親になる相手なんだけどね。


 因みに、ミルカはケイと同じロリッ子何だけども、ケイの場合は種族特性でもあるのに対して、ミルカの場合は完全なロリッ子になる。

 現に、150センチもないミルカに対して、両親の身長はともに180を超えている。

 この両親からどうしてこんなロリッ子が生まれたのかかなり謎ではあるのだけども、まあ、気にしても仕方がないだろう。

 因みに、現在の俺の身長は160センチ丁度で、ミルカよりは勝っているけど、同年代の男の平均身長を大きく下回っている。


 ・・・・・・と言うか、俺はこれ以上ちゃんと成長するんだろうか?

 何かここのところ身長が一向に伸びなくなってきている気がするんだけど・・・・・・。

 せめて170センチは欲しかったんだけども、それも望み薄かも知れないとか思ったりする今日この頃。


 まあその辺りのどうでも良い話は置いておいて、これから行く研究所で主に研究されているのは、外部操作式の装機竜人である。

 その名の通り、パイロットが直接機体に乗り込むのではなく、離れた場所から遠隔操作で動かすタイプの機体であり、戦場に直接出る訳ではないので生存率を飛躍的に高める事が出来るのが最大の利点だ。

 同時に、当然だけども欠点も数に存在する。まずは、遠隔操作のためどうしても動くに若干のタイムラグが出てしまう事。と言っても、コンマ以下のほんの僅かな差でしかないのだけども、100分の1以下のタイムラグが勝敗を左右しかねない戦いの中では致命的な欠陥と言って良い。

 次に問題なのが、パイロットと機体の接続が途切れてしまう可能性だ。特に次元断層などまで度々発生するレベルの戦場において、常にパイロットと機体の密接な接続を維持するのは極めてて困難だと言わざるおえない。

 そして、パイロットの魔力と機体の魔力の同調の問題もある。これについては、パイロットのまりを苦を込めて魔晶石によってカバーする事になっているが、決戦時の魔力コントロールが遠隔操作で瞬時に適切に行われるかの議題もある。


 とまあ、根本的な問題点だけでも既に致命的なくらいの欠点があるんだけども、それでも研究する価値はある訳だ。

 もっとも、この手の技術ならば10万年前の転生者たちが研究開発していてもおかしくないし、遺跡に残っている可能性もあるんだけどね。

 だからまあ、これから調べる遺跡からそのものが見付かったら全くの無駄になるとも言える技術だけども、研究すること自体は無駄にならない。 

 と言うかこの研究所、10万年前の遺産の装機竜人を基に、独自にレジェンドクラスの魔物に対抗し得る機体の開発に成功したらしい。

 えっ? もう? て聞いた時には本気で思った。

 そりゃあ、これから先戦いが激しくなっていけば、10万年前の転生者たちが残した遺産も次々と破壊されて行く事になるだろうから、自分たちで新たに造り出せる技術の確立は急務だった訳だけど、まさかこうも簡単に確立してみせるとは思いもしなかった。


「でこれがその機体か」


 研究所に着くと挨拶もそこそこに、まずは開発した機体を見せてもらう。

 と言うか、研究員たちにしても自分たちが開発した機体を早く見せたくて仕方がなかったみたいだ。

 まあ気持ちは判る。これは世界的な大偉業なのだから。


「シルバレーン。それがこの機体の名称になります。私たちとしては、この機体を遠隔操作できる様にしたいと思っています」

「ほう。この機体をか?」

「報告は聞いていたけど、主任たちは相変わらず滅茶苦茶ね」


 ここの開発主任を務める人物が意気揚々と説明すると、国王は興味深そうに、ミルカは頭が痛いとばかりにそれぞれ反応する。

 俺としてはミルカには悪いけど興味津々の話題だよ。


 シルバレーンはその名の通り銀に輝く機体で、別に伊達や酔狂でそんな目立つ色をしているのではなく、新機軸の特殊装甲を採用した結果として銀色の機体になったらしい。

 基本兵装は機体の全長を超える長剣とランス。それに高インパルス砲などの複数の火器を搭載している。

 近接戦闘にも砲撃戦にも優れ、機体の機動性も高い、極めてバランスの良い汎用性の高い機体と言える。

 そして、この機体を遠隔操作で戦える様にしたいと言う事は、そもそもがこの機体がパイロットを搭乗させない事を前提として開発されていると言う事でもある。


「まさかレジェンドクラスの魔物を相手に遠隔操作での戦いを考えているなんてね」

「当然ですよ。これから先戦闘が激しさを増すのであれば、より安全性を確保した戦い方が求められますからね。それに、求めるのならより高きを、これこそが研究の基本ですよ」


 それについては正しくその通りだと思う。強くなるためには必要不可欠とは言え、命かけの戦場の最前列で戦い続けていたのでは命がいくつあっても足らないし、そんな無謀な戦い方を続けていたんじゃあ本当に強くなる前に大半の人が死んでしまう。

 これから先の真の戦いを乗り越えるためには、そんな非効率的なやり方をしていたのではとてもじゃないが不可能だ。

 どれだけ効率的に戦力を確保できるようにするかがこれからの課題と言って良いだろう。

 その意味では、死のリスクがない遠隔操作式の装機竜人は極めて有用な戦力と言える。


「早速この機体の動いている所を見たいんだけど。まずは有人で、続いて現段階での遠隔操作での動きを」

「勿論すでに準備は出来てすよ。パイロットはミルカ様にお願いします」

「はいはい。判ってるわよ。私もこの機体には興味あるしね」


 出来れば俺が操縦してみたい所なのだけども、流石にジエンドクラスの魔力に耐えられないと断られた。

 まあそれはそうだろう。と言うか俺の場合この機体に乗っても弱体化するだけだから意味がないし。

 それに対して、既にレジェンドクラスのミルカの場合、シルバレーンが彼女の力をとこまで引き上げられるかを確認できる。

 既にレジェンドクラスの力を持っているとはいえ、ミルカが倒せるのはまだレジェンドクラスでも下位の魔物だけだ。それがシルバレーンを駆る事でどこまで力を伸ばせるか、或いは伸ばせないのか?

 その結果次第で、シルバレーン自体の性能自体も明らかになる事になる。

 レジェンドクラスの魔物に対抗できると言っても、辛うじてかいの魔物を倒せる程度の性能なのか、パイロット次第で高位の魔物すら倒せる程の性能を持っているのか、ミルカの操縦テストで明らかになると言う訳だ。


「果たしてどれ程のものなのかな。このシルバレーンは」


 流石にこの時代で初の対レジェンドクラス装機竜人として完成したばかりの機体で、レジェンドクラスでも高位の魔物を相手にできる性能を持っているってのはないだろうけどねと思いながらも、ひょっとしたらと期待しながら、ミルカによる機体テストを食い入る様に見守る事にした。


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