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 心の底からどうでも良い情報ではあるけれども、ミミールは別に百合ではないらしい。

 ただ、アシャやキリアの様なボーイッシュな女の子が可愛くて仕方がないらしい。

 それだけなら好みの問題ですむのだけども、ミミールの場合は可愛いモノを思いっ切り愛で倒すので、アシャやキリアなどは迂闊に彼女にあったりすると、下手をすると気を失うまで愛でられる事になるらしい。

 どうして気を失うのかは考えてはいけない。思いっきり抱き締められて苦しくてとか、胸で抱擁されて顔が埋まって息が出来なく手とかが理由ではない。

 ・・・・・・アシャの様子を見れば一目瞭然の理由だけど考えてはいけない。


「それと、実はアベルも好みのタイプだよミミールは」

「俺は男だけど・・・・・・?」


 その追加情報は本気でいらないんだけどレイ。


「だから男の子のような女の子が可愛くて好きなのと同じように、女の子の様な男の子もミミールは好きなの」

「それはつまり・・・・・・」

「今まで手を出さなかったのが不思議なくらいね。ホントは初めて会った時にすぐにでも抱き締めてしまいたかったでしょうから」

 

 俺がさっきのアシャと同じ状態になっていない方が奇跡だと・・・・・・。

 まさか、これまで会う度にミミールは俺の事を抱きしめて撫で回したいと思っていたたと?


「それで終わらないと思うけどね。多分、ミミールもキミのことを異性として見ているから」

「異性って・・・・・・」

「別に驚くほどの事じゃないよ。私と同じなだけ」


 そうなのか?

 いや、愛玩動物のように見られるより絶対マシなハズなんだけどね。なんだろう、言いようのない不安が全身を襲うんだけど・・・・・・。


 とりあえず不安を紛らわせるためにエビの蒸し餃子をつついてみる。

 うん美味しい。粗微塵にしたエビと大きめに切ったエビの2つの食感がまた絶妙だよ。エキレスていう名の薫り高くて辛味のある香草がエビの味をさらに引き立てているんだよね。

 中の餡にしっかりと味付けがされているので、特に何もつけずにそのまま食べても美味しいし。


「特に驚くことでもないけど、現実と逃避していないで、しっかりとどうするか考えておかないと後で後悔することになると思う」

「忠告はありがたく受け取っておくよ」


 俺としてもミミールがキライな訳じゃないけど、苦手なタイプではあるんだよね。

 彼女は唯我独尊と言うか自由奔放と言うか、自分の気の向くまま思う釜に生きているタイプなんだよね。ある意味でミランダと同じタイプなんだけど、ミランダが演技でやっている部分もあるのに対して、ミミールは完全に地だからね。

 しかも人生経験を含むあらゆる面で勝てる要素がないから、こっちは振り回されるだけだし。


「本音を言えば、私たちもキミとミミールがどうなるか非常に気になっているのだよ」

「アベルには悪いけど、昔から彼女を知る身としてな」

「そんな訳だから、悪いけど私たちは生暖かく見守らせてもらうから」


 しかもタチの悪い事に、レイたちミミール古くからの仲間である3人は完全に興味本位の傍観者を決め込むつもりだし。

 ・・・・・・俺も同じ立場だったら、絶対に傍観者に徹するから文句も言えないんだけど。


「私としてはミミール様とアベルがどうなるか非常に気になりますけど」

「ミミール様はユリィの御先祖様だしね」


 そうだったね。しかもそれを言うと、レイもシオンの御先祖様になるし。

 うん。何か俺って人からどう言われても反論のしようがない状況に居るよね。本当に今更だけどさ・・・・・・。


「俺としてはミミールが俺のこと、本当はどう思っているのか次第だろうとしか言えないよ」

「それは確かにな。気に入っているのは確かだけども、恋愛対象として見ているかまでは判らないし」


 本当にどうなんだろうね?

 俺としては、今までのミミールの接し方からして、恋愛対象として見ているとか、そういった気配はないと思うんだけど、俺の恋愛面の感性なんて全く役に立たないからね、


「それより。これからの事はどうするんです? 一応、その名目で集まっているんですし」

「どうすると言ってもな。どうしようもないとしか言えなんだろう。やれて俺たちでレジェンドクラスのメンバーを鍛えるくらいか」

「確かに、現状早急に戦力の増強が必要なのは事実でも、その手段がないのもまた事実故な」


 戦力の増強。確かにそれを早急に成す事が大前提なのを今回の戦いで思い知らされた。

 だけども、そんなに簡単にレジェンドクラスやジエンドクラスを増やせられるのなら苦労はしない。

 苦労はしないのだけど、解決する手段が無い訳じゃない。だけど、それは容易にして良いような事じゃない。


「戦力については、エイルと同じヴァルキュリアシリーズの凍結を解除すればレジェンドクラスの、そして、ベルセルクシリーズの凍結を解除すればジエンドクラスの戦力を確保する事が出来ますよ」


 そう。恐らく10万年前の転生者たちは、この事態をはじめから想定していたからこそエイルたちをあえて残した。

 彼女たちが10万年後のこの世界で、再び兵器として力を振るえる様に・・・・・・。

 だけども、それしか方法がないと判っていても、その選択をするのは躊躇われる。


「エイルの姉妹たちか。成程な」

「そして、キミが何を躊躇っているか判ったが、あえて言うのなら、それを決めるのはキミ自身だよ」

「どういう意味ですか?」

「10万年前と同じように、彼女たちを戦いのためだけの兵器にしてしまうかどうかを決めるのはキミ自身と言う事さ。キミがそう望まないのなら、そうしなければ良いだけの事」

「どうして俺次第なんです?」

「決まっているだろう。キミがヴァルキュリアシリーズとベルセルクシリーズの行動を決めるのだから」


 はい?


「彼女たちは10万年前の転生者たちがキミたちに残したモノだ。故に、彼女たちを統べるのはキミだろう」

「キミ以外に、エイルの姉妹を統率できるのなんていないしね」


 何故にそうなると言いたいけど、確かにその通りだわ。

 俺以外の転生者たちは未だにSクラスが、ザッシュたちのES+ランクが最高で、そのザッシュたち3人も今のところはレジェンドクラスに至れそうにないまま。

 普通、そう簡単になれるハズもないから仕方がないんだけど、現状で俺と他の転生者たちとの実力差があり過ぎなんだよ。

 とは言っても、俺だって世界樹の力を借りられたから、祝福を受けたからこそレジェンドクラスに至れた訳で、それがなければ今でもES+ランクのまま名可能性だってある訳だから、なんのキッカケもなくザッシュたちにレジェンドクラスに至れっていうのがどれだけムチャなことかくらいならい判っている。

 

 判ってはいるんだけど、その所為で俺にばかり重責が集中し過ぎている状況は本気でどうにかして欲しいと本気で思うよ。

 しかも、今回のは特別に重すぎる。ヴァルキュリアシリーズとベルセルクシリーズ。その総数がどれだけの数に及ぶかは知らないけれども、それこそ何万人を超えるかも知れない彼女ら、彼らの命を背負えとか勘弁して欲しい。

 しかも命だけじゃない。彼女たちの在り方、生き方そのものすら俺が背負えと言うのか・・・・・・。


「確かに、アベルにばかり重責を背負わせる事になるけどね」

「だけど、今回の件はアベル以外に適任者がいないのも事実だよ。私たちの誰かがとなるとこれも問題になるし、転生者ではあるけどアスカがって訳にもいかないからね」

「確かに俺がエイルの姉妹を統率する訳にはいかないな。と言うか、エイルを起こした時点で彼女の姉妹の面倒も見るのが決まっていただろ」


 イヤイヤ、アスカ氏がやれば良いじゃない。

 そもそも、10万年周期の真の戦いに参加する為に、6万年もの時をコールドスリープで超えて来たと言うのに、どうして微妙に消極的なのかな?

 ぶっちゃけ、俺じゃなくてアスカ氏が転生者を束ねれば良いよね。一番強いんだし。


「いや、俺とオマエの力はもうほとんど同じだぞ」

「そんな訳ないでしょう」

「アレ? 気付いてなかったの? 今のアベルの力はひょっとしたら私たちの中で一番強いよ」


 はい? 俺の認識ではジエンドクラスの6人の中で最弱のハズだったんですけど・・・・・・。


「そもそも俺がジエンドクラスに至るのに2000年かかったのに、オマエは前世の記憶を取り戻して僅か10年と少しでもうジエンドクラスだろ」


 確かに異常な速さで強くなっている気はするけどね、それはユリィたちだって同じだし。


「ユリィたちも同じだと言うならそれは違うよ」

「そうです。流石にアベルと一緒にされては困ります」

「それに、私たちが強くなれたのはアベルのおかげだから」


 揃って否定されてしまったのは何故なのだろう?


「まあ、ヴァルキュリアシリーズもベルセルクシリーズも今すぐに必要な訳じゃない。だけども、次の活性化の兆候があった時には必要不可欠だろう」

「アベル。その時までにキミは覚悟を決める必要がある。本当に、キミにばかり任せて悪いけどね」


 本当にカンベンして欲しいのだけども、確かに次の活性化が起きた時には、確実にエイルの姉妹の力が必要になる。

 10万年の時を超えて再びこの世界に目覚める彼女たち。その全てを背負い、支える事なんて本当に出来るのだろうか?


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