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 終わった。どうにか無事に切り抜けた。

 それは良いんだけども、最後のは一体なんだったのだろう?

 最後に現れた魔物。アレが現れた瞬間。魔域内に居た全ての魔物が姿を消した。正確に言えば、最後に現れた魔物に他の魔物がすべて吸収された。

 アレが一体なんだったのかは判らない。

 ただ、余りの事に一瞬動きを止めてしまったのは本当に失敗だった。

 他の魔物を全て吸収したなにかが、次の行動に移ろうとしているのを見て慌てて攻撃して、何とか倒しきれたのは本当に幸いだった。

 もし、倒しきれずに次の攻撃を許してしまっていたら、間違いなく俺たちは全滅していただろうと今になって思う。

 あの瞬間、魔物が次の行動に移ろうとこちを開き始めた瞬間。これまで感じた事もない恐怖と共に無意識の内に最大火力を叩き込んでいた。

 それは俺だけじゃない。アスカ氏やレイたちもだ。ベルハウゼル九戦闘要塞3基の最大火力、縮退対消滅砲を3発同時に放つのと同じ破壊の集中は、相手に次の行動を許さずに消し去る事が出来た。

 もし、攻撃が間に合わなかったなら、或いは3基の攻撃が揃わず、倒しきる事が出来なかったのなら、俺たち、魔域に居る全員が死滅していたのは確実だろう。

 何故かは判らないけれどもそう確信している。

 恐らく、要塞3基の多重防御障壁すらも意味をなさず、ベルハウゼルですらも完全に消滅させられていたハズだよ。

 そうなると、俺たちは完全に消し飛ばされてしまい。生き返る事も不可能だった。

 現実問題として、俺やアスカ氏たちジエンドクラスを生き返らせること自体がまず不可能だ。

 それにユリィたちジエンドクラス候補を含めたレジェンドクラスもほぼ集結しているので、全滅したらレジェンドクラスも生き返らせる事が出来ずに全滅状態。

 うん。本当に今更だけど首の皮1枚繋がったて感じだよね。

 まあそれでも、


「勝てたのか・・・・・・」

「勝った。スゴイ勝ったんだ」


 こうして勝てたのだから問題ないよね。


「それにしてもあの魔物、ベルハウゼルのデータバンクにも情報がなかったんだけど・・・・・・」

「ひょっとして新種?」

「その可能性もあるかもね」


 だけども、さっきの魔物の情報がベルハウゼルのデータにすら全く存在しないのが問題だよ。

 10万年前の転生者たちは魔物の情報についてはそれこそ過剰とも言えるほどに残している。それこそ弱点属性から、何処がどんな素材に仕えるか間で万全を期した情報量。そのデータバンクの中になんの情報もない魔物となると新種くらいしか考えられない。

 これはかなりマズい。情報がない以上は、こちらも被害が出る前に最大火力で殲滅するしか取る道がないのだけども、下手をしたら倒しきれない可能性も、攻撃をそのまま跳ね返されてしまう可能性も情報がない以上存在する。

 特に一番困るのは、特定属性を吸収する場合。

 その中でも更にアストラル系魔法を吸収し無効化するどころか力に変えるタイプの魔物だった本気でシャレにならない。

 実際、そのタイプの魔物も数はそれ程ではないけれども存在する。

 当然と言えば当然だけども、強力なアストラル系魔法が無効な魔物は、最悪な事にジエンドクラスの魔物

ばかりで、今回の戦いでも現れている。

 ぶっちゃけ、その素材を使えばこちらもアストラル系の魔法を無効化できる装備をつくれるので、できる事なら手に入れたいんだけども、現状跡形もなく消し飛ばす以外に確実に倒しきる手段がないのでムリ。


「ジエンドクラスの新型か、脅威以外のなにものでもないよ」


 だけども、弱点属性とかの情報がシッカリあるので、アストラル魔法以外で、跡形もなく消し飛ばす事になるけど確実に相手の先手を打って殲滅できる。

 それが新型となるとその確実に殲滅できる保証がない。

 とりあえず、今回の攻撃が有効だったのは幸いだろう。ただし、放たれた攻撃は3つ。その内の1つは無効化されていたと言う可能性もある。

 うん。本当に面倒臭い。


「とは言っても、次にいつ出て来るかも判らないし、気にしても仕方がないと思うよ」

「それもそうだね。今は無事に活性化を終わらせたことを喜んで、しばらくぶりにシッカリと休むとしようか」


 半日交代で戦っていたんだから、毎日、半日は休んでいたんだろと突っ込まれそうだけど、戦場に居る以上は常に気が抜けない状態なんだよ。

 それにその半日の戦いでの消耗が半端じゃないしね。


「イヤそれはムリでしょ。すぐに戦勝パーティーが開かれるし、アベルは当然主賓になるんだから」

「イヤ、主賓なら他にもいくらでも居るだろ、アスカ氏とかレイとか」

「それでも、鳳凰様に加護を貰ったボクの伴侶でもあるアベルが主賓なのは当然だよ」

「ああ、そっちの意味もあるんだった・・・・・・」


 むしろソッチの意味が大きいか・・・・・・。

 そうだよな、創造主たる鳳凰の加護を得た姫君の婚約者、しかも既成事実済みなんだからパーティの主賓以外なにものでもないよね。


「流石はアシャ様がお選びになられたお方ですな」

「ボクたちの目に狂いはないよ。アベルはこれからもっと強くなっていくからね」


 パーティーは盛大に行われている。

 ただし、俺たちに、俺とアシャにそれを楽しむ暇はない。

 途絶える事無くあいさつに訪れるモノを相手にする以外にやれる事はない。と言うかそれ以外に何も出来ない。

 前世からこういうパーティーなどの場は基本的に顔つなぎなどのためにあると聞いてはいた。

 だけども、実際に自分がどうにかして顔を繋ぎたいと願う人たちに絶え間なく挨拶をされる立場になると本気でメンドウクサイ。

 それとアシャ、流石にコレ以上強くなるのはかなり厳しいんだけど?

 多分俺、既にΩランクに到達しているよね?


「アベル、気持ちは判るけどそんなに不機嫌そうにしない」

「だけど料理が・・・・・・」


 このパーティーには討伐されたジエンドクラスやレジェンドクラスの魔物の素材を使った至高の料理が溢れている。その味わいは間違いなく、この前の火神全席を超えるモノなのに、俺はそれを食べる事が出来ない。

 ザッシャなんかが本気で美味しそうに食べ散らかしているのを見ると殺気が溢れてくる。

 フレイムシードの転生者たちなんかは、余りにも盛大なパーティーのオロオロしていて和むんだけどね。

 ザッシュとかの場合はなまじパーティー事態になれていたりするから始末に悪い。と言うか上手くパーティを楽しむ方法を元から知っているみたいだ。そんなのがあるなら俺に伝えろと言いたい。

 ああ、ヘビモスの筋肉煮込みがなくなってしまう。

 ああああ、リヴァイヤサンのオイスターソース炒めが・・・・・・。

 ああああああ、カオス・ウロボロスの唐揚げかあぁぁぁぁぁ。

 そしてザッシュ。神帝九尾のステーキはオマエにはまだ早い。それは食べずに俺に献上するように、何を食べようとしているのかなキミは?


「さて、パーティの途中だけど、これからの事もあるし少し場所を変えて話し合おうか」 

「そうですね。それじゃあボクたちはこれで、ほらアベルも早く行こう」


 俺の殺気が危険域を超えて、物理的に反応しかけて来たところでレイが助け舟を出してきてくれた。

 アシャがこれ幸いと俺を引きずってレイの後を追う。反応が遅れた俺は成す術なく引きずられていく。

 そして引きずられていった先は対談や個人の商談などに使われる20畳程度の小部屋。既にアスカ氏たちも来ていて、大量の料理を楽しんでいる。


「アベルも来たか、判っていた事だが、毎度の事ながら終わる事のない挨拶にはな」

「すいません。流石に今回母は上でも抑えきれず」

「それは判っているから大丈夫。それに一番大変なのは彼女だしね」


 圧倒的上位者から思わず漏れた愚痴にアシャが平謝りするけど、ミミールが気にしなくて良いと笑って宥めてそのままアシャを自分の所に連れ込む。

 何をするつもりだと思ったら、ワシャワシャと頭をなでたり頬を突いたりしてかわいがっている。

 それは良いけど、耳に息を吹きかけたり、胸を揉んだりするのは止めようか、もの凄く目のやり場に困るしアシャも顔を真っ赤にしているし・・・・・・。

 もの凄く熱い吐息を漏らして羞恥に耐え切れなくなってきているよ。


「アシャが可哀想だからそこまで。可愛がるなら男の目がないところでしなさい」

「はいはい。ゴメンねアシャ」


 レイが回収して阿智尽かせているけど、何か妙に手なれているのとやり取りが気になるんだけど?

 ひょっとしてミミールのさっきのって何時もの事なの?

 アシャってミミールに何時もあんな事されていたりするのかな?


「見ないでください・・・・・・」


 どうなんだろうとアシャを見たら、思いっ切り恥ずかしそうに耳の裏までもう一度真っ赤にして顔を背けられてしまった。

 この反応は間違いなさそうなんだけど・・・・・・。

 なんと言うか、ミミールを見る目を猛威とぢ買えた方が良さそうだね・・・・・・。



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