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「縮退対消滅砲発射」
2つのブラックホールを互いに対消滅させる兵器。縮退対消滅砲。間違っても地上で使う様な兵器ではないハズのモノを連射して溢れ出す魔物を根こそぎ虚無に帰す。
活性化が始まって15日目になるけれども、今の所はまだ封印した危険物に頼ることなく何とか魔物の侵攻を食い止められている。
その代わり、ベルハウゼルと同等の戦力を持つ要塞を2つ導入した。
圧倒的な戦闘力、殲滅力を誇る戦闘要塞が3基。戦線を支えている事になる。
そして、現在俺やアスカ氏、レイたちのジエンドクラス6人はその要塞の性能を最大限引き出すために要塞の指揮に専念している。
そして縮退対消滅砲やブラックホールキャノンの様な本来なに地上で、惑星上で使う様なモノではない兵装を連発して放つ事で、それこそ溢れんばかりに湧いて来るジエンドクラスの魔物を尽く殲滅する事に何とか成功している。
ユリィたちジエンドクラス候補にはヒュペリオンと同等の戦艦を駆ってもらっている。
残りのレジェンドクラスのメンバーは10万年前の装機竜人を駆って戦っている。
本気で、この世界の最高戦力を集中し尽した総戦力を持て戦線を維持している。
「続いて事象崩壊連鎖砲をポイントF3に発射」
それでも現状ギリギリなので、何時、封印した危険物を使う事になるか判らない。
もっとも、縮退対消滅砲なんて星はおろか次元そのものを崩壊させかねない兵器を連発している時点で、封印した危険物がどうとかなんて話じゃない気もするけどね。
まあ、縮退対消滅砲については、確かに使い方を誤れば星どころか次元そのものを崩壊させてしまいかねない兵器ではあるけれども、ゲヘナの戦いで既に使っていた事もあり、更にあのとくよりも俺の力が飛躍的に増大している事もあって暴走させる心配は一切ない。
完全に使いこなせているので問題はない。
問題はないのだけども、流石に使い過ぎの気もしないでもない。
余りにも短時間に繰り返される事象崩壊、特異点の対消滅の影響が魔域内部に現れ始めている気がする。
「主砲斉射」
うん。当然だけど地上の限られた狭い領域で繰り返し使う様なモノじゃないよね。
流石に今の俺たちじゃあその影響を無効化する魔法とかムリだし。
いや、活性化の戦いが終わった後なら可能かも知れないよ?
どんな状況になっているのかを正確に調べ上げて状況を修復する魔法を構築する。うん。多分早くても半日はかかるだろうけどもそれに集中できるのならやれない事はないと思う。
だけど今はムリだからね。だからこれ以上空間の、と言うか時空の状況が悪化して取り返しのつかない事になる前に縮退対消滅砲とかを使うのは止めた方が良いよね。
そうなると通常兵器の主砲とだけで応戦する事になるから、かなり厳しい戦いになると思うけどね。
ついでに、この主砲の出力を考えるとこれも本来、間違っても地上で使って良いようなモノじゃないよね。
それこそ、本当に今更だけどね・・・・・・。
「多重障壁展開。ポイントH47に最大戦速」
となると主砲よりも効果的で回りへの影響が少ない攻撃。つまりは要塞そのものを質量兵器とした体当たり。
実際には防蟻障壁を攻撃に転用するカタチだけどね。
うん。前世の日本のロボットアニメでもお馴染みだったね、バリアを拳に集中させてパンチとか要塞の突撃も。
今のベルハウゼルなら光速の10倍以上の速度を出せる。それに展開した多重障壁の出力とベルハウゼルそのものの質量が合わさって突撃による破壊力はジエンドクラスの魔物すら吹き飛ばす。
ただ、この攻撃はベルハウゼルが通過した空間の魔物にしか成り立たない。なので攻撃を続けるために絶えず動き続けていなければならないし、最も効果的に魔物を殲滅するルートを算出しその通りに動くのも至難の業だったりする。
と言うか、地上で光速の10倍以上で何十兆トンもある物体が動き回ってい時点でヤバイよね。普通に星が崩壊するよ。
まあその程度ならば、影響を無効化する術式がそもそもベルハウゼルに搭載されているから問題ないんだけどね。
と言うか、光速を超える速度を出す機体や戦艦にその影響を無効化する術式は基本だよね。
物理法則とか一切無視して魔法を使える訳じゃあないんだし。
そもそも魔法事態がエネルギー保存の法則を完全に無視している気がするけどね。
気がするじゃなくて完全にエネルギー保存の法則も物理法則もぶっちぎっているよね。
まあそうでないと魔物なんて理不尽な存在に対抗できないしね。
「ポイントR48に到達と同時に転移。転移座標はG4」
それは良いんだけど、なんとか戦線を維持できているのは良いけど、10万年前に遺産を食い尽くすばかりで、全く魔物の素材、特に魔石を回収できていないのが問題。
この5日間で倒したジエンドクラスの魔物は4万を超えているのに、それに引き換え回収できた魔石や素材は4000匹分にも満たない。
10分の1以下しか確保できていないのが現状で、それに対してこちらは半端じゃないペースで遺産を消費している。
ベルハウゼルとかは魔素吸収変換式の魔力機関があるから、それでも消費は抑えられているんだけどね。
と言うか、ベルハウゼル級の3基の戦闘要塞に、ヒュペリオン級の戦艦10艦ぶんもの魔力に変換されるだけの魔素を奪われ続けていながら、魔域の魔素が尽きる様子がないのが驚きだよ。
これまでにジエンドクラスの魔物10万匹分に相当するくらいの魔力を魔素から変換しているんだけどね。
普通に考えてそれだけの魔素がなくなったなら、魔域の活動自体がほとんど停止状態にまで至って良いハズなんだけど・・・・・・。
この魔域、活性化が終わった後どうなるんだろう?
話が逸れた。
ベルハウゼルとかは魔域内にありえないくらい溢れている魔素を魔力に変えられるから、動力に魔石を消耗する事はないんだけども、魔素を魔力に変換する期間を持たない装機竜人なんかは、フル稼働する為にバンバン動力に魔石を使っている。
アグニの竜騎士団が使っている1000機の10万年前の装機竜人。これによってSクラスの操者たちがレジェンドクラスの魔物を殲滅する事が可能になっているんだけども、当然だけどもその為には動力としてレジェンドクラスの魔石が必要になる。
今回の戦いで倒した魔物を回収して、相当量の魔石も確保しているらしいけれども、当然だけども消費量に比べたら微々たるもの。
ついでに言うと、こちらもベルハウゼルとかの動力としては使っていないけれども、他に色々な用途でジエンドクラスの魔石を相当量消費している。
結果、やっぱり遺産の消費量の方が回収できている分を上回ってしまっているんだよね。
コレって結構危険だと思うんだけど・・・・・・。
まあ、多分だけど10万年前の転生者たちもこうなるのを予想して大量の魔石を残してくれたんだと思うけどね。
それでも、出来る限り倒した魔物の魔石だけでも確保しておきたいんだけども、現状ではそんな余裕は一切ない。
と言うか、真の戦いに至る前、10万年前の転生者が戦った時とは比べ物にならないくらい脅威の低い戦いのハズなのに、この惨状は一体何なんだろう?
そもそも、カグヤで封印される前のこの世界って、それこそ1年中、何処からでもジエンドクラスの魔物が溢れ出していたんだよね?
少なくても、今の状況とは比較にならないペースで侵攻して来ていたんだよね?
なんでこの世界無事なんだろう?
と言うか一体どうやって倒しきっていた訳?
普通に考えて休む暇がないと思うんだけど・・・・・・。
正直言ってこれから先、どうなるのか考えると不安しかないんだけど・・・・・・。
「転移完了」
「ポイントG9へ主砲斉射」
とりあえず今は先の事を心配している場合じゃないね。
刹那の遅れが命取りになる激戦のただ中だし。
「続けて重力子破砕砲掃射」
因みに、本当に今更だけども、さっきからのやり取りは言葉で直接してたりはしないよ。
そんな事をしている時間はないしね。
これまでのやり取りはベルハウゼルに精神をダイレクト・リンクさせて、その中でしているからやり取りにかかる時間はほぼ皆無。実際、縮退対消滅砲を撃ってから今までの間に実はまだ10秒とかかってないからね。
刹那に遅れが命取りになるっていうのはそういう事。
1秒が何百倍にも感じられる戦い。そんなのを続けていれば当然だけども消耗も激しい。魔力や闘気の消耗もだけども、精神的な、集中力の消耗が本気でキツイ。
今の俺じゃあどうやっても半日が限界。アスカ氏とかはまだ余裕があるみたいなんだけどね。
それでも、アスカ氏でも丸1日戦い続けるのはムリだと断言するレベルだから。
まあ、普通に考えて1秒が何百倍にも感じられると言う事は、1日で何百日も戦い続けているのと同じ感覚になるんだから、ムリってのは判ってもらえると思うけど。
「要塞上部へ主砲斉射。その後最大戦速」
それにしても予測演算を駆使して未来予測までして確実に殲滅できるルートを算出しているのに、それでも特攻攻撃を避けるのが居るんだからジエンドクラスの魔物は恐ろしいよ。
そんな魔物に対しては、避けられたと判った瞬間に主砲で一斉攻撃をして倒しているけどね。
光速の10倍以上の速度で移動している中で正確に砲撃をするのって本気で難しいんだよ。
砲撃を外したりしたら大惨事になるのが確定しているからね。下手をしたらアグニの国を丸々消滅させてしまいましたなんて事態になりかねないから、砲撃には絶対の確実性が求められるんだよ。
何が言いたいかっていうと避けられるとその分集中力を更に使ってしまう事になるから勘弁して欲しいって事。
敵である魔物にそんな事言っても意味はないのは判っているんだけどね。
自分を殺しに来ている攻撃を避けるなとか不条理な事だしさ。
でも、キミたちがこの世界に侵攻して来るから殺し合わないといけないんだからね。
キミたちが来なければ殺し合う必要なんてないんだから、だから、諦めて凝らされてくれると嬉しいな。
本気で、俺は死ぬつもりもこの世界を滅ぼさせるつもりも無いからさ。




