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「活性化が始まったみたい。A・Bランクの魔物が凡そ3000万。毎期外周に出現して侵攻を開始したって、更にSクラスの魔物も数万単位で進行してきているみたいだよ」

「先行部隊というわけだね。間をおかずに数百倍は溢れだしてくるだろうし」


 想定していた活性化がついに始まったみたいだ。

 アグニの部隊も即座に戦闘配備につき。俺たちも担当戦域に急行する。

 そして、進軍してくる魔物の大軍へと防衛都市から砲撃が始められる。ミサイルが驟雨のように撃ち出され、高出力の魔道砲があたりの大気を蒸発させながら敵を薙ぎ払う。

 溢れ出した3000万のA・Bランクの魔物はほんの数秒で殲滅させられるけれども、これはまだ前哨戦にすらならない。 

 次いで襲い来るSクラスの魔物に向けて、空中戦艦や空中要塞の主砲が放たれる。数十万の放火の一斉射によって魔物の半数以上が跡形もなく消え去り。残った魔物に向かって竜騎士団が戦列を組み突撃し、確実に仕留めていく。

 5分とかからずに全ての魔物が殲滅されるけれども、その5分の間に既に新たな魔物が進軍してきている。

 まずは有象無象のD・Cランクの魔物が50億。更にA・Bランクの魔物が4億。そして本命のSクラスの魔物が8000万。


「またゾロゾロと来たけど、流石に序盤からレジェンドクラスやジエンドクラスの魔物が出て来たりはしないみたいだね」

「それは流石にね。それよりアスカ氏が出撃するみたいだよ。肩慣らしに広域殲滅用兵装を使って殲滅してみるって」


 アシャが言うと同時にその巨体を現したヨツンクヘイムは一気に魔物の群への元へと迫り、次の瞬間には全ての魔物を一掃する。


「うん。なかなか使い勝手が良いなコレは」

「そうですか、それじゃあ好きにしてくださって構いませんので、やり過ぎない程度に戦ってください」

「紹介。やり過ぎるとフレイムシードのみんなのを鍛えられないからな」


 圧倒的な力、敵味方識別式の広域殲滅兵装を使ったアスカ氏の気楽な通信に呆れながら、やり過ぎないように戦ってくれるようにお願いする。

 するとアスカ氏は判っていると答えて魔域の中心部付近に進んでいくけど、本当に大丈夫なんだろうか?

 いや、やりすぎないかなと言う方の意味でね・・・・・・。

 まあ、魔域の中心部近くで戦っているのなら、やりすぎてフレイムシードの舞台まで殲滅してしまうとか、アグニそのものを壊滅どころか、物理的に消滅させてしまう心配もそんなにないだろうけどね。


「まあ、気にしても仕方がいし俺たちも戦うとしようか、今回も間違いなく相当数のレジェンドクラスやジエンドクラスの魔物が現れるだろうし」

「そうね。シッカリと気を引き締めないと。ところで、レイ様からもそろそろ出撃するって通信が入っているんだけど」

「ああそうなんだ・・・・・・」


 レイは今回ヒュペリオンを使う。

 レイが駆るヒュペリオンはこれまでとは比較にならない力を発揮することになる。

 俺のベルハウゼルもそれに負けない力を発揮できるといいんだけどね。


「アスカ氏も出たみたいだし、私もそろそろ出るよ」

「まだ戦いも始まったばかりだし、はじめから戦力を出し過ぎるのもどうかと思うんだけどね」

「確かに、私にキミ、それにアスカ氏だけでもあまりに過剰戦力過ぎるけど、すぐに魔物の侵攻も比較にならないくらい激しくなるから問題ないでしょ」


 確かにそうなのかな。

 それに、まあ、こちらの戦力が全部一気に開放される訳じゃないからね。最高戦力の半数はまだ待機したままになる訳だし、開戦と同時に過剰戦力の投入になるけど問題ないのかね?


「それじゃあ、ミミールたちの事は任せたから」

「チョット待て・・・・・・」


 残念ながらレイはこちらに言葉を待たずに通信を切ってヒュペリオンを発艦させる。

 ヒュペリオンの純白の船体が煌めいたと思うと、次の瞬間にはその姿を消す。そして魔域の中心部から怒涛の戦果が届いてくる。

 張り切っていると言うか、判っていたけど本気で恐ろしい戦果だな・・・・・・。

 これまで俺たちが使っていた時とは比較にならないし、多分、今の俺じゃあ同じだけの戦果を出すことも出来ない。


「・・・・・・序盤戦は2人だけで殲滅し尽しそうな気もするけど、警戒を怠らずに第一戦闘配置。担当区域内の魔物を確実に仕留める。それと他の戦闘機域の情報収集も密に」


 今の所、他の戦闘区域に迎えている魔物もほぼ皆無だろうけどね。

 だけども、活性化中はどれだけの数を殲滅しても、魔物は途切れる事なく溢れ出し続けるからね。


「第3陣来ます」

「迎撃」


 なんて考えている内に来たし。アスカ氏やレイが広域殲滅兵器でいくら殲滅しても、その空洞を瞬く間に埋め尽くす勢いで魔物が溢れ出してくる。

 うん。2人だけで既に1000億以上殲滅しているね。それなのに魔物の数は増える一方。多分、魔域内に溢れる魔物の総数は現状で1兆を超えているよ。

 始まったばかりなのにイキナリこう来るかって感じだけどね。

 愚痴を言っても事態は好転しないからサッサと行動に移すのみ。

 こっちもベルハウゼルの広域殲滅兵器でまずは一気に数を減らす。D・Cランクの雑魚やA・Bランクの魔物は勿論、Sくらいの魔物も大半が一撃で消し飛ぶ。その後に残った、全魔力を防御に集中する事で辛うじて殲滅を免れたES+ランクの魔物を次の攻撃で一掃する。

 コレで凡そ100万平方キロメートル内の魔物を一掃出来たけれども、空いた空間は当然のように真玉クマに魔物に埋め尽くされて行く。 

 まあ、こちらも埋め尽される前に片っ端から殲滅して行くけどね。


「それにしても序盤からこの有り様とはね。当然のようにゲヘナの時より悪化しているよ。事前のアシャの試練の影響で、活性化が起こる前に魔域の魔素は大分消費されたハズなのに」

「ボクの試練がなかったら、もっと活性化の規模は凄かったのかな?」

「どうだろうね。鳳凰ならばそのくらいの事は計算に入れて当然だけど」


 それよりいったいどれだけの魔物が出て来るんだろう?  

 下手をしたら、活性化が始まってまだ30分も経っていないのに、既にヒューマンの大陸での活性化の、始まりから終わりまでの魔物の総量を上回る数を殲滅している気がするんだけど・・・・・・。


「それにしても、アスカ氏とレイの討伐数を合わせると、既に1兆近い魔物を討伐しているよね。どれだけの数で押し寄せてくるつもりなんだろう」

「さあ? ですがこの調子だと、事態の侵攻も想定より早いかも知れません」


 言わなくてもそんな気はしているよ。だからそんなに心配する必要もないよアレッサ。

 そうなってもどうにかなるだけの戦力があるからね。


「ES+ランクの10万。こちらに向かって転移してきます」

「敵味方識別型全周囲殲滅兵装“グランドクロス”発射用意。敵転移確認と同時に発射」


 因みにグランドクロスは俺がジエンドクラスになってようやく使えるようになった兵装のひとつ。

 つまりはゲヘナの戦いでは実力不足で使えなかったと言うか、存在自体知らなかった兵装で、レジェンドクラスの魔物も数万の単位で余裕で殲滅する。

 要するに、レジェンドクラスの魔物数万匹も殲滅できる程の超広域に効果を発揮する兵装と言う事。

 ぶっちゃけ、本来の効果範囲は宇宙での使用を前提にしているのでこのネーゼリウ全域をカバーして余りあるくらい広大らしい。

 今回はアグニの魔域のほぼ半分の領域にその効果を限定させて、エリアマスターまで屠ってしまわない様に効果範囲を限定する事にしているけど、まあそれでも地球の大陸全部を効果範囲にしても余りあるんだよね。

 そして、当然だけども発射すると効果範囲内の魔物を全て一掃する。

 うん。判っていたけど本気で凄いね。本当はこんな序盤で使う様な兵装じゃないんだけどね。いざという時、イキナリはじめてつかうのは躊躇うからね。

 レジェンドクラスの魔物が溢れ出て来た時に一気に殲滅する用意として、シッカリ確認しておかないといけないからね。


「そろそろSクラスの魔石の回収を始めようか。ある程度揃えばアレも試せるし」

「そうですね。素材は残らなくても魔石だけはかろうじて残っているでも、既に数百万に達しているハズですし」


 広域殲滅兵器でカケラも残さず消滅させた魔物の中でも、ES+ランクくらいの魔物になると辛うじて魔石だけは残っていたりする。その魔石を回収すればね天文学的な戦費がかかる今回の戦いの、まあ気休め程度の足しになるのもあるけど、今回はもうひとつ、新たに使えるようになったベルハウゼルの新兵装を試すのに使うつもり。

 この兵装については、使えるようになって出た説明文を読んでもイマイチ理解不能なんだよね。

 いや、多分そのままなんだろうけどね。

 魔物の魔石をそのまま対消滅爆弾に作り変えて、魔石の力と同等の魔物を対消滅させると。

 詰まる所、ES+ランクの魔石数百万個が、そのままES+ランクの魔物数百万匹を対消滅させる兵器になると言う訳だけど。

 どう考えてもそれだけの兵装じゃないんだよ。

 と言うか、魔石をそのまま爆弾に作り変えるだけの機関なら、俺がジエンドクラスにならなければ使えないなんて制約があるハズもないしね。


「それじゃあ、対消滅クラウス起動」


 対消滅クラウス。兵器の名前とも思えないシステムを起動すると、効果範囲内に残っていた全ての魔石が一斉に対消滅爆弾に作り変えられた。

 正確には作り変えられたみたいだ。

 システムを起動した瞬間。効果範囲内に特殊に力場が生成され、その範囲内にあった魔石が蒼い光を放ち輝きながらベルハウゼルの周辺に集まる。

 と言うかアレ?

 回収した魔石じゃなくて周辺に転がっている魔石が対象になるの?

 そんな感想を余所に、ベルハウゼルの周囲に漂う100万を超える蒼く輝く魔石、いや対消滅爆弾は、そのままオートで知被く魔物を殲滅して行く。

 いや、これはベルハウゼルを通じて俺が遠隔操作している事になるのか?

 ほんの僅かだけども、対消滅爆弾の稼働に俺の魔法領域が連動している感覚がある。

 しかし、これはほぼオートの攻防一体型兵装と言う事かな?

 効果範囲内に侵入した魔物を速やかに殲滅していき、更に殲滅した魔物の魔石から新たな対消滅爆弾を精製している。うん。これはつまり発動している限り永遠に敵を殲滅し続ける無限機関に等しいね。

 成程、ジエンドクラスの力がなければ使えない兵装なのも納得の凶悪さだよ。 

 まあ、流石にレジェンドクラス以上の魔物にまでは通用しないだろうけどね。

 

「魔域中心部に高魔力反応。凡そ700のレジェンドクラスの魔物が現れました」


 なんて考えていたらそのレジェンドクラスの魔物が出たよ。

 そうなるだろうとは思っていたけど、まさか初日から、しかも戦いが始まって1時間も経たない内にレジェンドクラスの魔物が現れるとはね。

 予想通り、活性化の規模はゲヘナの時とは比べ物にならない程に激しそうだよ。

 だからと言って、負けるつもりも無いけどね。


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