表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
372/398

362

「コレはいったい?」

「10万年前の遺跡にあった。活性化の戦いに使うのにちょうど良いと思ってね」


 見付けたのは全長10キロを超える巨体の人型兵器。

 戦艦どころか要塞よりも巨大な人型兵器があるとは思いもしなかった。

 しかもコレ、地球と言うか日本のロボットアニメにあったような巨大戦艦や要塞から人型に変身するんじゃなくて純粋な人型決戦兵器。

 うん。ある意味本気で理解不能な物体。

 因みに付属の専用兵装として機体の全長と同じ長さの剣身の大剣まである。

 本気でなにを考えて造ったんだって不思議な代物だよ。

 ただし、強力な兵器である事に変わりはない。


「と言うか、アスカ氏が気に入ったみたいでね。自分が使うの一点張りだよ」

「あの人も良く判らないんだけど」


 いや、俺としてはアスカ氏の気持ちも判るんだけどね。

 俺自身も使ってみたいかもと思わなくもないしね。ただ、この機体が真価を発揮するのは間違いなく宇宙での戦いでだよね。だから、俺が使う時はカグヤに至る時かな・


「それにしても、戦艦や要塞じゃなくてこんなのが見付かるとは思わなかったよ」

「いや、戦艦や要塞がなかった訳じゃないんだけどね」


 それよりもこの人型兵器“ヨツンクヘイム”の衝撃が大きかったのと、アスカ氏が運用する場合コレの方がはるかに強力だと言うのがある。

 ぶっちゃけ、アスカ氏がヨツンクヘイムを駆使すれば、その戦力はベルハウゼルを軽く超えるだろう。


「今回はコレを使うのが最適かなと」

「何をどうやったら、そう言う結論に達するのかスッゴク気になるんだけど」


 単純にアスカ氏に思いッり戦ってもらうのに、コレを使ってもらうのが一番効率的だからだよ。

 余りにもバカバカしいくらいに巨大な人型決戦兵器。元日本人としてはロマンみたいなものだからね。中二病を擽ると言うかさ。


「まあ大きさから言って、対レジェンドクラス、ジエンドクラスの魔物用の機体なのは間違いないからね。これからのためにも一度使っておこうかと」

「コレがジエンドクラスの魔物と衝突するなんて、大災害にしかならない気がするけど」 

「どうかな。むしろ戦艦や要塞で戦うよりも効率的だと思うけどね」


 大きすぎるけれどもその分動きが鈍いなんて事もあり得ないだろうしね。と言うか、ジエンドクラスの魔物を相手にするのを想定しておきながら動きが鈍いんじゃあ話にならない。

 一方的にフルボッコにされてお終いだから、んなアホみたいな大きさの機体でも下手をしたら俺のラグナメヒルよりも動きが速かったりするかもしれないんだよね。

 まあ、その辺は実際に使うアスカ氏次第だと思うけどね。アスカ氏なら問題なくこの機体の性能を完全に引き出せると思うし。


「それより、フレイムシードの転生者たちはどうなっている?」

「まあ順調かな。とりあえずは装機竜人の操縦に慣れてもらっているし」

「余り無茶をさせないようにな」

「だから、それをキミが言う?」


 そこまで呆れられるほどの事だろうか?

 とりあえず、フレイムシードの転生者たちはアシャに任せている。今は戦いまでに時間がないので無理に力を上げる様な事はしないで、純粋に装機竜人の操縦に慣れてもらうカタチらしい。

 まあ、元々Bランク以上でなかったメンバーについては、強制ブードキャンプをしているらしいけどね。


「まあ、俺としては彼らにSクラスの魔物とまで戦ってもらうつもりはないけどね」

「そうなの?」

「活性化の戦いでSクラスの魔物と戦うには、彼らは経験が足らなすぎるからね。1対1ならともかく、多数対多数の戦いになったら確実にやられてしまうよ」


 当然と言えば当然だけども、ソロで戦うよりもパーティー戦の方がよっぽど難しい。

 慣れていないと互いに足を引っ張り合ってしまって、逆に全然力を発揮できないなんてザラだしね。

 特に装機竜人を勝手の高速機動戦闘になると、連携が取れてないと味方同士で衝突してしまったりとかの大参事になりかねないんだよ。

 そうでなくても、装機竜人を動かすのも、実際に使って戦うのも初めてなのだから、イキナリSクラスの魔物との戦いは厳しすぎる。

 まあ、今回はA・Bランクの魔物の群れとでも戦ってもらって、経験を積んでもらえばいいだろう。


「それなら良かったアベルがあの子たちにどんな無理難題をかすのかってヒヤヒヤしてたんだ」

「それこそひどい言い掛かりだよ」


 なんて話しながら、ベルハウゼルの格納庫から、アシャの指揮でフレイムシードの転生者たちが装機竜人の操縦訓練をしているところに移動する。

 どうでも良いけどベルハウゼルの格納庫にヨツンクヘイムが入るのは明らかにおかしいんだけどね。それこそ今更と言えば今更。

 ただ、ベルハウゼルからヨツンクヘイムが発進する様はありえないほどシュール。実際のところあまりにもおかしすぎて正気を疑うレベル。

 それはともかくそう言えば、ここのところ装機竜人の操縦訓練をしていない。

 まあ、今更シュミレーション訓練をする必要もないんだけどね。と言うか、俺の使っているラグナメヒルとかの完全な機体情報を組み込めるシュミレーターとかないし。

 さて、場所を変えてきたのはベルハウゼルの戦闘シュミレーション訓練場。此処には1000機近い装機竜人の操縦シュミレーションがある。

 さっきから言っている様に現在それを使ってフレイムシードの転生者たちは装機竜人の操縦訓練の真っ最中。

 それと、当然だけども操縦訓練をしているのはフレイムシードの転生者だけじゃない。現在鬼人の転生者たちとかも絶賛訓練中。

 当然だけど彼らも今回の戦いには参加する事になるからね。想像を絶する規模の魔域の活性化。その戦いを生き延びるために本気で必死だよ。

 とりあえず、今現在このシュミレーション訓練嬢では各転生者たちが必死になって訓練をしているのは確かだね。

 うん。みんな必死だね。特にゲヘナの活性化の戦いを切り抜けたメンバーの本気度がスゴイ。

 何が何でも生き抜くんだと言う決意が漲っているね。

 まあ、彼らは実際に戦いに参加してその恐怖を身をもって味わっているからね。今回の戦いもどれだけ危険なモノになるか理解しているんだろうね。


「みんなガンバっているな」

「それは命がかかっているから」

「そうですね。正直、彼らの今の実力で活性化の戦いに臨むのは本来厳しいですし」


 良く頑張っているなと感心したらアシャに突っ込まれて、シオンに冷静に説明された。 

 でもそうかな? ミリアたちなんて今の彼らより実力も下で、装機竜人なんかない状態で活性化の戦いにに臨んだりしてるけど。ああ、でも今回の戦いとは規模も脅威度も全然違うか・・・・・・。


「そうかな? 実力的には全然問題ないと思うけど」

「言い方を間違えましたね。実力ではなく経験です。彼らは実力に対してあまりにも経験が不足していますから」

「強制的に一気に強くなったは良いけど、自分の今のレベルの魔物との戦闘経験すらほとんどなかったりするし」


 それは確かにある。要するに超人並みの力を持っていても戦いは素人みたいなものなんだよね。

 ワンパンで敵を倒すパワーがあっても、そのパンチを敵に当てる技術がないって感じ。流石に力を暴走させる事はないけど、全然力を使いこなせていない。

 まあ、戦闘技術なんて一朝一夕に身に付くモノじゃないしね。それに、魔力や闘気を扱う才能はあっても戦う才能はからっきしって場合もあるからね。

 ・・・・・・コレが一番厄介なんだけどね。

 要するに戦車を持ったずぶの素人みたいなもの。強力な力を持っているけどそれを全く使えないとか、下手したら自滅したり仲間を巻き込んでしまいかねないパターン。

 まあ、核兵器の発射ボタンが赤ん坊の手にあるような状態よりはマシなんだけどね。

 問題はこれらから先、鍛えた転生者の中からそんなパターンの人物が出て来るかも知れない事なんだよね。

 元々が戦いに不慣れな日本人な訳だし、むしろ、俺を含めて普通に戦えているほうがおかしいと思うし。


「まあそのあたりは仕方がないよ。現状の状況の変化から考えても、いちいち経験を積ませながら強くしていく余裕はないし。それに、本人の資質として戦いのセンスがないこともあるからね」

「ああ、チイ兄みたいな人だね」


 チイ兄。アシャのひとつ上の兄らしい人物は、ES+ランクの実力を持っていながら戦闘センスが壊滅的らしい。

 幼年期、剣を振るう練習をしていたら剣がすっぽ抜け、槍を突く練習をしていたら何故か自分の足を突いてしまうほどの壊滅ぶりで、それはどうやっても治らず。結局戦闘方法は他に誰も仲間のいない状態で、最大出力で全方位魔法を放って周囲の敵を一掃するくらいしかないらしい。

 ぶっちゃけねその方法を確立するまでにも相当な惨劇と苦労があったらしいのだけども、話があまりにも長くなりそうだったので遠慮させてもらったんだよね。


「そうあの人みたいなタイプの人。ぶっちゃけ実力と戦うセンスは別物だからね。まあ技術は訓練を続ければある程度身についたりもするけど」

「アヘルみたいに個人戦はともかく、集団戦は苦手なタイプとかもいる訳だしね」

「そう言う事だね。因みに、俺は別に集団戦ができない訳じゃないよ。ただ、俺の場合は集団戦に場合どうしても力を抑えないといけないからね。実質集団戦のメリットがないんだよ」


 個人では無類の強さを誇るけど、集団先頭になると全く役に立たないタイプの人とか前世のオンラインゲームとかでもよくいたよ。

 まあ、基本的には本人もそれを理解しているからそういう人は基本的にソロでプレーするんだけどね。

 それと、俺は別に集団のレギオンバトルができない訳じゃないよ。ただ、実質問題として俺が一緒に戦えるメンバーは今のところアスカ氏とかレイとかに限られているんだよね。彼らとなら俺も全力を出して戦えるけど、ほかのメンバーだと俺は力を抑えないといけないし、むしろ一緒に戦うメリットがないんだよね。

 だから基本集団での戦いをしないだけで、まあ、得意とは言えないし苦手かもしれないけど、できない訳じゃないからその辺を勘違いしないでねアシャ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ