表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/398

27

アリア視点です。

 大変な事になりました。

 アベルくんは私たちに遺跡調査が出来るだけの実力があるかの試験だと言って、私たちだけで遺跡までたどり着くようにと言って、一人で先に遺跡に行ってしまいました。

 考えてみれば当然の事だけど、遺跡は魔域の中にありますし、当時の防犯設備などが残っていたりもして調査はそれなり以上の危険を伴います。

 いくらアベルくんでも、自分の身くらいは守れない、全くの足手まといを連れていては調査のままならないのですから、私たちもそれなりの事が出来なければ、一緒に遺跡探索など出来るハズがありません。


 それは解るのですが、いきなり置いて行かないても良いとも思う。

 アベルくん曰く、私たちはマリージアを発つ時には既にB-にランクアップしていて、アスタートについてからの訓練でBランクにまでなっているから、実力的にはここに集まっている魔物を倒して魔域に入ってすぐの遺跡まで来るくらいなら問題ないとの事。

 自分の魔力と闘気が一気に膨れ上がった事は知っていたけれども、B-にランクアップしていたとは思わなかった。どうして教えてくれなかったのかと尋ねたら、魔力や闘気はB-レベルにまで上がったけれども、飛行魔法の習得など、B-ランクとして戦っていくのに必要な技術がまだ身についていなかったからとの事でしだ。


 確かに、超一流と言われるA・Bランクは戦いも苛烈を極めて、生き残るために、戦いに勝つために必要な、求められるモノのレベルが違います。

 パワードスーツやアベルくんのエンチェントなしで、自分たちの力だけで戦うために必要な要素がどれ程あるのか、想像もつきません。

 アベルくんがもう大丈夫だと判断したのだから、私たちにはもうそれだけの実力と技術が身についているのは確かだけど、正直、少し不安です。


「アベルくんは何時も突然で、私たちを驚かせるだから」


 思わず、小さく文句を言ってしまいます。

 アベルくんと知り合ってまだ二ヶ月にもならないけど、これまでに何度驚かされた数える気にもなりません。いちいち気にしていたら付き合っていられないとそうそうに学びましたよ。本当・・・。

 だから、私たちはそうそう滅多な事では驚かないように鍛え上げられたけれども、それでもアベルくんの行動は私たちの想像を上回っていて、この前のデートの時や今回の様に、私たちを驚きと混乱の真っただ中に突き落としてくれる。

 

 ・・・本当に、あのデートの時はビックリしましたよ。

 何なんですかアベルくん。

 女の子の相手に慣れていないのか、プレイボーイ並みに手慣れているのかハッキリしてください。

 何時もは鈍感キングで、私たちの気持ちなんてカケラも気付いていない様なのに、時々、ドッキとするような、心を鷲掴みにするようなことを平然として来るし、言ってくる。

 ・・・しかも、多分、それも無自覚なんだから始末に悪い。

 

 輝くような黒地に純白のフリルがふんだんにあしらわれた珍しい、可愛らしいドレス。

 私に絶対に似合うとアベルくんに押し切られて、内心でアタフタしている内に着替えていました。

 何ですか、お嬢様に、可憐な妖精さんて・・・。

 結局、その後のデートはアベルくんのペースに乗せられたままでした。それはそれで嬉しいのでいいんですけど・・・。

 ドレスはメリアちゃんたちにも好評でした。自分でも似合っているとは思いますけど、こんなドレス着る機会がないと思うんですけど、そんな疑問には、アベルくんが平然と、これからは私たちも国のトップと会う機会も増えて来るんだから、正装もある程度必要だよと言うありがたくない助言をしてくれました。

 後日、みんなで一緒にデートに行った時に全員分のドレスをアベルくんが選ぶことになって、四苦八苦していましたが、それぞれの特徴にあった、一番似合うドレスをチョイスしていました。みんな感歎しながら自分用に選ばれたドレスを見ていて、やっぱり、アベルくんは女心が解っていないのに、女の子を喜ばせるのが上手過ぎると実感したよ。

 因みに、私がみんなの事を内心でまだちゃん付けで呼んでいるのは内緒です。もう子供じゃないのだからと呼び捨てでお互いに呼び合うようになったけれど、私たちの関係はずっと変わっていないのだから、呼び方も変わらなくていいと思うのに・・・。

 あと、この前、お酒を飲んだ時にみんなの事を普通にちゃん付けでなんでしまいました。余り良く覚えていないけれども、その翌日からユリィさんとケイさんともこれまでよく仲良くなれた気がします。

 だけど、全員からお酒は程々にした方が良いと言われました。

 一体、私は何をしたのでしょう?

 覚えていませんが、何か非常に恥ずかしい気がします。お酒は危険です。


 あっと、そんな事より今は目の前の敵に集中しないと、まずはエンチェントをかけて自分を強化していく。

 アベルくんの魔法とは比べ物にならないくらい貧弱だけど、スピードや動体視力などの強化は必須で、これまでの実戦訓練で、ほんの少しの差が命に係わるのは嫌と言うほど実感しています。

 極限まで高めた集中力を持続させるのにも魔力と闘気を使います。魔法そのもので集中力を高めたり持続させるのは逆に危険なので、この方法が生み出されたそうです。

 一振りの刃のように自らを研ぎ澄まし、同時にメリアちゃんたちと意識を共有します。

 一にして全。

 それがパーティーを組んで戦う上での理想であり、最終形態です。

 メリアちゃんたちやアレッサさんとはもう阿吽の呼吸で連携できるし、ユリィさんとケイさんも私たちに合わせてくれるので問題なく一緒に戦えます。

 

「来るわね」


 アベルくんが遺跡に向かってしまってもうすぐ五分。私たちの準備も整って、もうすぐ結界が消えて魔物たちとの戦いが始まる。

 頑張らないといけません。

 アベルくんは私たちならできると信じてくれたのです。その期待を裏切る訳にはいかない。みんなそう思っているハズです。

 結界が消えるまであと十秒。

 結界が消えると同時に放つ魔法の準備をします。

 剣を、槍を、それぞれの武器を構え、臨戦態勢に入り、緊張感と集中力を高めて行きます。


「ランス・ボルト」「ホーリー・レイン」「アイシクル・バースト」「カッター・トルネード」


 結界が消え、遮るものがなくなると同時に八人全員が一斉に、唱えていた魔法を放ち、一気に数十匹を殲滅する。素材の事なんて考えている余裕も暇もない。今はまず生き延びる事、数百匹に上る魔物を殲滅する事を考えないといけません。

 魔法の先制攻撃で魔物たちが一瞬怯んだ隙を逃さず、次の行動に移ります。

 まずは、距離が詰まる前に出来る限り数を減らす。

 魔物と私たちの間に実力差はそうありません。圧倒的な力の差があるのならともかく、実力が拮抗しているのならが数の差は致命的な脅威です。

 結界によって、こちらに手出しできないのと同じように、こちらからも手出しできないと油断していた魔物たちが、体制を整えて一気に襲ってくる前に、少しでも多くを倒して数を減らさなければいけない。

 みんな自分のやるべき事を判っていますから、確実に魔物の数を撃ち減らせるように、最も効率の良い魔法を放ち続けます。

 先に倒した魔物の死体に当たってしまって、せっかく放った魔法が無駄にならない様に、飛空魔法で高度を取り、同時に空から襲い来る魔物にも注意します。

 何度目かの魔法の集中砲火の後、ついに私たちの元まで魔物が迫ってきました。瞬時に魔法による遠距離殲滅戦から乱戦に切り替え、まだ魔法に意識が向いている魔物に襲い掛かります。

 先頭のヘル・ハウンドの首をケイさんが切り落とし、返す刃でフレイム・タイガーの首を狩る。一撃必殺、確実に仕留める的確な攻撃です。

 ユリィさんは無数の氷の刃を周りに展開して、襲い来る魔物をカウンターで確実に仕留めて行きます。

 

 この二人は問題なく遺跡探査に同行できる力を持っています。ここにいるのは間違いなく私たちの助っ人としてです。

 判っているからには、お二人に助けられて、守られてはいられません。

 私たちにも、自分たちの力でこの状況を切り値けて、魔域の中にある遺跡まで辿り着けることを証明しなければいけない。


 私もユリィさんと同じように魔法で無数の冷気の塊を生み出し、自分の周辺に展開して乱戦の中に飛び込みます。

 すぐにこちらに気付き、巨大な爪を振り下ろしてくるロック・グリズリーの咆哮をあげるために大きく開いた口に冷気の塊を撃ち込み、食道と気管を完全に凍り付かせます。

 さらに私に喰らい付こうとして来るフレイム・ウルフにも同じように冷気を撃ち込み、同様に仕留める。

 乱戦の中で一番気をつけなければいけないのは、当たり前ですが同士討ちです。

 味方の位置を常に把握して、自分と敵、味方の位置関係を計算して最適な攻撃を続ける。

 また、他の仲間の意図に気付いて、敵をうまく誘導して攻撃が最大限の効果を発揮できるようにする。

 連携であり、コンビネーションであり、意思の疎通である。

 互いに信頼し、命を預け合いながら共に戦う意思がなければ実現できない領域。

 ですが、戦いに身を置く身である以上、其処へ辿り着かなければいけません。少なくても同士討ちなんて以ての外です。

 それに、敵の攻撃にどう対応するかもよく考えて動かないといけません。

 Sクラスには遠く及ばなくても、A・Bランクの魔物の攻撃はどれも強力です。状況に応じて避けるか防御障壁で受けるかを見極めなければ、大変な事になってしまいます。

 魔域にほど近いここでは問題ないけれども、場所によっては外れた攻撃が周辺に深刻な被害を与えてしまいかねないし、仲間の位置を正確に把握していないと、避けた敵の攻撃がほかのみんなに当たったりしたら目も当てられませんし、そこまでいかなくても、戦いの邪魔になってしまう可能性もあります。

 ランクが上がれば上がるほど、吹きも自分たちも攻撃が強力になっていくのだから、一撃一撃に細心の注意を払わないといけません。

 それが、ランクが上がるごとに増していく、戦いの難しさです。

 ただ圧倒的な力を持っているからだけでは戦い続けて行けない。強くなれば強くなるほど、繊細さと精密さを求められるのが、魔物との戦いの本当の厳しさです。

 

 ・・・今はそんな事を考えている場合じゃありません。

 魔法による援護がメインの私は、こちらに来る魔物をカウンターで迎撃しながら、全たちの戦況を把握していく。近接しての前衛を得意とするメリアちゃんとリリアちゃんが、他界に連携しながら剣を振るい、槍を付き魔物の群の中心に突っ込んで行き、後呂や横から襲い掛かろうとする魔物を、シャリアちゃんの魔法が確実に仕留めている。砲台としてメリアちゃんとリリアちゃんのサポートに徹しているシャリアちゃんをエイシャちゃんが守っている。

 正確には、メリアちゃんとリリアちゃんが囮となって引き付けて、シャリアちゃんの魔法で確実に仕留めている。私も、展開していた冷気を一気に放って、二人にシャリアちゃんからは死角になる位置から襲い掛かろうとしていた魔物を殲滅し、すぐに新たな冷気の塊を展開します。

 アレッサさんは私と同じように全体を見ながら、的確にサポートをして、確実に危険を取り払っている。

 ユリィさんとケイさんは魔物の数がある程度減って、問題ないと判断したのだろう、既に私たちの戦いを観戦しながら、適当に魔物をいなしています。

 魔物の数は確かに減っていますが、油断はできません。ほんの僅かな、一瞬の気の緩みがそのまま市に直結する。そんな事は十分理解しています。


「今」


 メリアちゃんとリリアちゃんの足が止まった瞬間、アレッサさんが一言だけ叫びます。

 同時にアレッサさんの元に駆け出していた私は、足が止まった二人に襲い掛かろうとしていた魔物へ、アレッサさんと共に魔法を撃ち込みます。

 私のはなった氷の魔法を、アレッサさんの風魔法が収縮、増幅させて魔物の群を貫きます。同時に、別の群をシャリアちゃんとエイシャちゃんの魔法が貫き。突然の事に逆に動きが止まった残りの魔物をメリアちゃんとリリアちゃんが倒していき、一気に数を減らすのに成功します。

 

 これで残すはあと数十匹程度。

 一気に戦況を変えたのにユリィさんとケイさんも感心した様子です。

 でも、今のは完全にアレッサさんのおかげです。

 魔物の注意を引き付けていたメリアちゃんとリリアちゃんの足が止まったのは、これを狙ってではなく、魔物の圧力に耐えきれなくなってです。あのままでは、致命的とは言わないまでも、二人が危険だったのは間違いありません。

 そのピンチを、アレッサさんが瞬時に好機に変えたのです。

 抜群の状況判断力と、瞬時の指示はやっぱり私たちでは敵いません。

 何時か、私たちも出来るようになりたいです。


 残りの魔物との距離も取れて、乱戦からも脱しています。

 この好機を逃す手はありません。一気に魔法の集中砲火で残りの魔物を殲滅します。


「何とか無事に終わりましたね」

「ゴメンみんな、少し甘かったよ。アレッサさんのおかげで助かったよ。ありがとう」


 メリアちゃんがホッと息を吐き、リリアちゃんは少しバツが悪そうに謝ります。

 防御障壁を破られはしなかったでしょうが、アレッサさんの機転がなければ戦況を悪化させていただろう事は事実です。自分の実力と相手の実力を正確に把握しきれていなかったのは、確かに二人のミスです。

 初のBランク以上の魔物との生身での戦いなのですから、完璧にこなすのは無理だと判っていても、自分の力を過信したミスを犯したのが悔しいのでしょう。


「あの程度なら気にする程の事でもないよ。あのままでも致命的な事にはならない様には出来ていたしね。仲間がホローしてくれて、逆に戦況を有利に出来る程度のミスなら問題ないね」

「連携も見事だったし、状況判断も的確。これなら問題ないね」


 そんな二人に、ユリィさんとケイさんは笑って合格点を出してくれます。


「まあ、師匠が余りにも規格外すぎるから、自分への採点も辛くなるのも仕方ないけど、無理をし過ぎるのは危険だからね。気負い過ぎない事だよ」


 続けられたホローに私もハッとします。

 何時の間にか、アベルくんを基準に物事を見ていたのかも知れません。

 それは絶対にダメ。そんな事をしていたら取り返しのつかない事になってしまう。

 アベルくんには悪いけれども、気をつけなければいけません。私たちはアベルくんの様にはなれないのだから、自分たちの身の丈に合った尺度で物事を視たり、判断しなくてはいけません。

 

「そうだね。アベルくんは規格外なんだから、物事の判断基準にはならないのを忘れちゃいけないよね」


 すっごく失礼な事を言っている気もしますが、私はあえて言葉にして自分を戒めます。


「そうだね。逆に自惚れるなっていう話だね。今の私たちに完璧なんて出来るハズがないのは判りきっているんだから」


 リリアちゃんは違う意味でバツが悪そうに頭をかきます。

 出来るハズもない事を出来るなんて己惚れるの程、危険な事はありません。それは自分を過信して、正常な判断が出来なくなっているだけです。アベルくんの弟子になって、短期間のうちにみるみる強くなっていくので、私たちは自惚れていたのかも知れません。今回の事はいい教訓でした。

 ひょっとしたら、この事に気付かせるのも目的として、アベルくんは今回の試験を用意したのかも知れません。


「・・・本当に、判っていましたけど、どこまでも遠いですね」


 私と同じ事を思ったのでしょう。シャリアちゃんがポツリとこぼします。

 私もまったくもって同意見です。

 年下なのですから、出来ればたまには、年下らしく甘えて欲しいモノです。頼りになる男性が魅力的なのも確かですけど、完璧すぎるのもこまりものです。


「彼としても、初めての弟子なんだから、年下だからと言って頼りない所を見せられないと思っているのかも知れないけどね」


 それはあるかも知れません。アベルくんも男の子なのだから、女の子にいいところを見せたいと思っているのかも知れません。

 私たちが少しはスキを見せて、甘えて欲しいと思うのと同じでしょうか?


「とりあえず、余り遅れると心配させてしまうから、早く行きましょう」


 アレッサさんの言う通りです。

 私たちは急いで倒した魔物を回収して、魔域の中に、アベルくんの待つ遺跡に向かいます。

 

 それにしても、これだけの数の魔物です。殲滅を第一に考えたので、素材としては大分傷付いていて値段が下がる物が多いとは言え、いったいどれだけの値が付くか想像も出来ません。

 一人当たりの取り分でも、私たちが冒険者になってからアベルくんに出会うまでの一年間で稼いだ金額の何倍にもなるハズです。

 なんだか眩暈がしてきそうです。 

 私たちが得るお金ですらこれなのだから、アベルくんがお金の使い道に困ると真剣に悩むのも判る気がします。


「一応、気を付けて行きましょう。Sクラスの魔物は仮にいたとしても、アベルくんに既に殲滅させられているだろうけど、A・Bランクの魔物はまだ残っている可能性があるし」


 ケイさんの言う通りですね。

 魔域の内部と言えども、活性化中でもなければ、Sクラスの魔物がそうそうゴロゴロしてはいませんし、いたとしてももっと奥のいるハズです。たまたま、奥の中心部から外え出ようとしていた不運なSクラスの魔物は、確実にアベルくんに瞬殺されますから、私たちに危険が及ぶことはありません。

 それでも魔域の中、遺跡までの道のりには、A・Bランクの魔物が相当数潜んでいるでしょうから、気を引き締めて行かなければいけません。


 ゴツゴツした岩山と枯れ木が立ち並ぶ中を進んでいきます。

 自ら姿をさらして魔物を引き付けるつもりはありませんので、空を飛びもしませんし、岩山の上を飛び跳ねてもいきません。

 岩山に沿って這うように駆け抜けていきます。

 アベルくんに教えてもらった探知魔法で魔物の位置を正確に把握して、向こうが気付く前に確実に仕留めながら進んでいきます。

 倒した音で魔物を引き付けてしまって意味がありませんから、完全な奇襲で、音を立てずに暗殺の様に倒していきます。

 勿論、倒した魔物は回収します。傷も少ないですから値段もいいのは決まっています。一匹で人家族が余裕で一年間暮らしていける額になるのですから、残して行くなんて勿体ないことしはません。

 それに、仮に売りに出さなくても、そのお肉はとても美味しいのですから、せっかくの美味しいお肉をみすみす見逃せません。

 一生懸命働いて、疲れてお腹が減った所に食べるご飯は最高です。

 アベルくんのおかげで、いえ、せいと言うべきですね、私たちも随分と食に貪欲になってしまいました。

 超一流のシェフの方のつくる食事は至福です。

 

 ・・・教えてもらえば、いずれ私もあんな美味しい物を作れるようになるのでしょうか?

 メリアちゃんたちみんなに、アベルくんに私の作った手料理を食べてもらいたいです。


 いけません。集中していなければいけない時に余計な事を考えてはだめです。そんな事を考えている間に着いてしまいました。

 一年中荒れ狂う火山地帯にありながら、僅かながら木々や草花が生い茂る。遺跡の入口になる泉。その畔でアベルくんに私たちを待っていました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ