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「よくぞ我がアグニに、歓迎しようアベル殿。そしてお久しぶりですレイ殿。我が国はあなた方を心から歓迎しますぞ」

「父上、何をしているのかな?」

 

 こちらを歓迎する炎王イフリシアスに対して、背後に火の神アグニを纏ったかのようなアシャ。

 うん。初っ端からどうしてこうなったのかな?

 因みに、この炎王イフリシアスだけども、フレイムシードの国アグニの正当な王は女帝である、アシャの母でありこのイフリシアスの妻である女王であり、実はこの炎王にはほとんど政治的な実権はなかったりする。

 ・・・・・・本人の実力が伴っていればまた別だったんだけどね。このイフリシアスは何とかSクラスの実力があるだけで、ES+ランクの実力を持つ女王やアシャなんかよりはるかに格下だからね。

 と言うか、アシャはこの後にレジェンドクラスに、それもジエンドクラス候補に至るのが確定だし、比較対象にすらならないんだよね。

 恐らく、女王と王太子とかのアシャの兄弟とか姉妹とかも、俺たちがアグニに居る期間、修行を付ける事になると思うから一気にレジェンドクラス候補にまでなるだろうし。

 これから先炎王の発言力はただ下がりするのが確定しているんだけど、そんな中でこの人はいきなり何をしているんだろうね?


「何をしているも何も、我妻がどうしても外せぬ用事により、アベル殿たちの歓迎が出来ない故、我が変わりに来ただけだが」

「外せない用事ですか?」

「うむ。魔域の活性化の兆候が起き始めておる」


 はい? 到着したと思ったらイキナリですか?

 と言うか、そんな情報は聞いていないんだけど?

 どういう事かとアシャの方を見てみると、アシャも初耳だと驚いた顔で首を横に振っている。どうやらアシャも事前に連絡した時に何も聞いていないみたいだ。

 まさか、俺たちがアシュラからアグニに向かって移動し始めた瞬間に魔域の活性化の兆候が起こり始めたとか言わないよね?

 もし本当にそうなら、俺たちの行く先で騒動が起こるのが確定している様なモノだよ。まさかの主人公フラグとか言わないよね。


「本当ですか?」

「うむ。1週間ほど前から魔域に異変が見られたので調査をしたところ、活性化の兆候であると断定された」


 なんともまあ・・・・・・。

 何故にこのタイミングと思わなくもないけど、都合が良かったのも確か。もし、アシュラの次にアグニでなく別の国を選んでいたとしたら、訪れて間もない段階でアグニの活性化の戦いに参加する為にはなれないといけなくなっていたからね。

 このタイミングでアグニを行き先に選んだのは運が良かったとも言える。

 そうとでも思わないとやってられないってだけだけどね・・・・・・。


 とりあえず、そういう事なら女王がこの場に居ないのも納得だよ。

 ただいま活性化の戦いの戦闘配備などを決める重要な戦略会議の真っ最中だね。

 と言うか、そんな国の存亡に係わる大切な会議に参加しないで、俺たちの出迎えをしている所が、炎王の立場がどんなモノかを物語っているよね。


「そうなると、俺たちも出向かないと」

「活性化の戦いには主力として参戦する事になるからね。私たちがどこに配置されるかは最重要課題になるね」

「確かに。じゃあボクが案内します。とりあえずアベルとレイ様を」


 全員で会議に乱入する訳にもいかないし。確かに俺とレイ。それにアシャが居れば問題ないね。

 他のみんなにはベルハウゼルで戦闘準備を進めておいてもらおうかな。


「アシャよ。アベル殿たちを何処に連れて行くつもりか? 歓迎の用意が出来ておるのでまずはそこにお迎えしたいのだが」

「そんな暇はありません父上。急いで母上の元に向かわなければ」


 なんかバカの事を言い出した炎王をアシャがバッサリと切り捨てて、そのまま放置して俺たちを連れて城の中を進む。

 しかし、本当に何がしたかったんだ炎王?

 まあ、炎王の事なんてどうでも良いので、アシャについて城の軍事区画を歩きながら、この後の事を考える。

 と言うか、何故にこんなに魔域の活性化が連続して起こる?

 数百年から長ければ数千年に1度起こるんじゃなかったのか?

 まあ、今は10万年周期の真の戦いが迫っている状況なので、普通とは言えないのは確かなんだろうけどね。

 とりあえず、既にゲヘナの魔域の活性化の時とは比べ物にならない戦力が強化されているのは確か。


「活性化の戦いか、魔物の戦力が前回と同程度なら、そう脅威ではないのだけど」

「あの戦いを、そう振り返られるのだから恐ろしいよアベルは」

「だけど事実だよ。レイもいるし、俺もジエンドクラスに至って、戦力は飛躍的に増強されているからね」


 それでも油断できる訳じゃないんだけどね。

 と言うか、油断して足元をすくわれたんじゃ目も当てられない。


「それに、油断するつもりはカケラもないしね」

「どんな相手でも全力で叩き潰す。つまりはそれだけの事って意味ね」


 戦いである以上は仕方がない事とは言え、出来れば犠牲者を出したくないしね。特にアシュラで仲間になったばかりの転生者の中には、事実上これが初の実戦て人もいるだろうからね。

 正直、運が悪いとしかいいよヴないけど、どうか無事に戦いを生き延びて欲しい。

 なんて考えていると目的地に着いたらしい。会議室の前に立っていた警備兵が俺たちとアシャの姿を見るや、慌てて中に入って行く。

 うん。まあ気持ちは判る。ついでに作戦会議室の仲も大変な事になっていそう。


「母上。魔域の活性化が起ころうとしていると聞きましたが」


 そんなの関係なしにアシャは中に入って行く。

 ついでに俺とレイも気にせず中に入って行くんだけどね。


「アシャ。それにアベル殿と・・・・・・レイ様まで」

「当然だけども、戦いには私たちも参加させてもらうよ」

「感謝いたします」


 会議室に居るメンバー全員が安堵するのが良く分かる。

 これは俺たちよりもレイの実績の方が大きいだろう。まあそれも当然で、何千年も世界を護り続けて来たレジェンドクラスへの畏怖がまずあるんだしね。


「それで、活性化は何時ごろ始まりそうですか?」

「恐らくは1週間以内には始まるかと」


 1週間か、準備期間がかなり短いな。まあ、着いたと思ったらイキナリ始まるよりは何倍もマシだけどね。


「既に準備はおおよそ終わっていますが、アベル殿やレイ様が参加していただけるとなれば、戦力配置を大きく変更する必要があります」

「まあ、俺たちだけで戦闘領域の3文の1以上は確実にカバーできますからね」

「戦局の半分を任せてもらっても良いよ」


 これは大袈裟でもなんでもなくて、ゲヘナでの戦いの時と違って、ジエンドクラスになっている俺はヒュペリオンやベルハウゼルの力をこれまでとは比較にならない領域まで引き出せる様になっている。

 ぶっちゃけ、ゲヘナの戦いの時とは比較にならない殲滅力を発揮できる。

 どれだけの力を発揮できるかはまだ未知数だけども、俺やレイが動かしている限り、戦闘領域の全てを勝場する事すら、要するに魔域の戦いの全てを俺たちだけで切り抜ける事すら可能かも知れない。

 まあ、それだけ俺たちが強くなったんじゃなくて、本来のベルハウゼルの性能がそれだけ桁外れって事なんだけどね。

 と言うか、現状まだ本当の、真の性能を完全に引き出せてる訳じゃないし、もし本当の力を完全に引き出せたなら、どれだけの性能になるのか正直恐ろしかったりするんだよね。


「そうですか、では配置の様に」


 スクリーンに魔域に接する領域の地図が映し出され、それを3分割され、その中心に俺たちが配置される事になる。

 アグニの部隊が2分割される形になるけれども、どうやら、どちらが危機に陥っても俺たちがフォローに回れるようにと言う形らしい。


「まあ妥当だね。ゲヘナと同規模の戦いになるのなら、流石にアグニの戦力では総力を結集しても厳しい。それなら私たちがフォローに入れるようにしておくべきだから」

「残念ながら、今の私たちの戦力ではレジェンドクラス以上の魔物が現れた時には、対抗する手段すらありませんから」


 確かに、ゲヘナでの戦いでは途中からレジェンドクラスはおろか、ジエンドクラスの魔物まで当り前のように出て来てたからね。

 それなのに、それに対抗しえる戦力となると本気で限られているし。


「今からこの国の王族を鍛えて、レジェンドクラスにまで至らしめるのも無理があるしね」

「出来るのならば、活性化の戦いが終わった後、私たちを鍛えて頂きたいのですが、それも終わってからの話です」


 まあね。時間が限られてるから今からレジェンドクラスに他行できる様になるってのも・・・・・・。


「それなら、10万年前の転生者たちの遺産である装機竜人を使いますか?」

「どういう事ですか?」

「10万年前の転生者たちが残した装機竜人を駆れば、Sクラスの者でもレジェンドクラスの魔物に対抗する事が出来ます。そうなれば、アグニとしての戦力もかなりはね上げる事が出来るハズですよ」


 ついでに、レジェンドクラスの魔物との戦闘体験を積む事ができる点が大きい。

 あとで試練に望む時に大きなアドバンテージになる。


「確かに、それは大きな戦力になりますね。判りました。使わせていただきます」


 この戦いで使うだけじゃなくて、普通にアグニに常備してもらって構わないんだけどね。

 とりあえず、その後も色々と話し合いを進めて、俺たちは正式に魔域の活性化。その戦いに参加する事になった。

 


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