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「やあはじめまして、俺はアベル・ユーリア・レイベストだ」


 目の前には五十人に上る鬼人の転生者がいる。

 うん。多いね。それと明らかに俺より若い子が多い。と言うか、最年長の子でも20歳には届いてないみたい。

 あの、それと出来ればこちらを怯えた目で見るのは止めて欲しい。明らかに恐怖でふるえている子もいるし、地味にというか、確実に傷付くんですけど。

 名乗ったのに全く返事がないし・・・・・・。


「あのサクラさん。どうしてみんなこんなに怯えているんです?」

「それは当然です。自分たちがこれから、アベルさんたちと共に死地に向かうと思っているのですから。そして、残念ながらそれは決して誤りとは言い切れないでしょう?」


 成程ね。基本的に俺たちは力がシッカリと身に付くまで危険な事をやらせたりしないんだけど、イヤ、俺以外のハーティーメンバーに言わさたら、これからこの子たちがこなす事になる修行こそが何よりも危険で拷問みたいなものか・・・・・・。


「ある意味では仕方がありませんね。アベルさんの修行が、命に係わる程に過酷で危険だと言う話は、既にかなり流出してしまっていますから」

「確かにね。これまでに合流した転生者の中から、死者が出なかったのが不思議なくらいだよ。と言うか、ボクたちも死にかけたし」


 シオン。それにキリアもそこでしみじみと呟くのは如何なものかな?

 鬼人の転生者の子たちが更に怯えてしまっているじゃないか。


「あのね2人とも、ここでワザワザさらに怯えさせるような事を言わなくても、良いんじゃないかな?」

「でも、アベルも否定できないでしょ?」

「もし否定すると言うのなら、胸に手を当てて今までの事を良く思い出してください」


 はい。否定はできません。

 だけど、自分自身にかした修行より厳しい修行を強いるような真似はしていないんだよ。


「否定はしないど、これでも、自分がこなした修行を基に、耐えられるように厳しさを大分落としてやっているんだよ」

「それは理解しています」

「でも、アベルが実際にやり遂げた修行を、乗り越えられたのはそれがアベルだからに他ならないんだよ。他の誰かが同じ事を出来るなんて思わない方が良い」

「アベルさんの認識では、死なない程度の加減しているつもりでも、やらされている当人にしたら何時死んでもおかしくない限界を超えています」

「本当に、アレでどうして死ななかったのか本気で不思議だよね」

「「「「「「「確かに」」」」」」」


 キリアの心の底からの言葉に、俺の指導を受けた全員が本気で同意している。


「確かにね、私でする死を覚悟したし事があるし」

「ミランダさんもですか?」

「ええ、元々ES+ランクだった私ですらアベルと一緒に修行する事になった時には死を覚悟したわ・・・・・・」

 

 そんな不穏な暴露話をここでしなくても良いと思うんだけど・・・・・・。

 なにかの嫌がらせか?


「というかキミ、死んでも蘇生魔法で生き返らせられるから大丈夫って、考えてる節があるよね?」

「それは、まあ否定しないかな。戦闘で跡形もなく消し飛んでしまったりしない限り、生き返らせることができるから」

「あのアベルさん、その発想はアスカ氏と同じだっわかってます?」


 え? いや、俺はアスカ氏みたいに問答無用で殺したりしないよ。模擬戦で不通に殺してきながら、死にたくなかったら何とかしてみせろとか理不尽なことを言ったりしないからね。


「死んでも大丈夫と思っている時点で、アスカ氏と変わりません」


 必死に否定しようとする俺を問答無用でシオンが切り捨てる。


「アベルさんはいい加減、自分があり得ないほどに規格外なのだと自覚するべきです」

「いや、規格外ってことはないだろ。転生者だからある程度のチートはあるにしても」

「そうかな? だってすでに200人を超える転生者がそろっているけど、君みたいな規格外は1人もいないよ?」

「それは、俺が10万年前の転生者たちの残した修行法で、もう10年以上も修行しているからだろ。同じだけの修業を積めばみんな俺と同じか、それ以上に強くなるよ」

「だからそれがあり得ないのです。だって、アベルさんと同じだけの修行なんて、誰にも耐えられないのですから」


 え? アレ? 否定できない・・・・・・。

 実は言うと、レイとかの元々レジェンドクラスだった4人にも修行法を伝えて、試してみてもらっていたんだけども、その4人をして俺がやっていたレベルの修業は無理だと断言されていたりするんだよね。


「そもそもアベルさんは、私たちと違って、自力でジエンドクラス目前にまで力をつけたことの意味を自覚してますか?」

「そうですよ。これで転住様達のいずれかからか加護を頂こうものなら、あっと言う間にΩランクにだって至って、次はさらにその先を目指すことになりますよ」

「アベルは自分が、10万年前の転生者たちと同様のチートで、規格外なんだっていい加減自覚したほうがいいと思う」


 とユリィにクリスにケイが続けてくる。


「そもそも、転生者だからと言うだけで、龍神様方が興味を持たれる訳がないし」

「すべてアベルさんだからですよね」


 さらにヒルデとシャクティが続いてくる。

 だけど待ってよ。何か話がおかしな方向に向かっていない?

 俺がチート? 転生者の中でもあり得ない規格外?

 ないない。だって10万年前の転生者たちは当たり前のようにジエンドクラスに、さらにその上の頂に至っていたんだよ。

 つまりは、今の時代の転生者も、当然、彼らと同じ頂に至るってことだよ。

 今の俺のジエンドクラス目前のレジェンドクラスなんてここにいる転生者のほぼ全員にとって、単なる通過点でしかないんだよ。たまたま、俺が今は先行しているだけで、ここにいる誰かがすぐに追いつき、追い越していく可能性だって十分にあるし、すでに俺より強くなっている天性者が隠れている可能性も、

 ・・・・・・いや、それについては絶対にないな。アスカ氏みたいにコールドスリープで今は眠っている転生者でもいない限り、今のところ俺より強い転生者はアスカ氏だけだ。


「力だけではなく。神龍様をもお認めになるだけの何かが、アベルにはあるということです」

「俺が認められた?」


 ルシリスが続けた言葉に俺は思わず呆然となる。

 天獣や龍神、あの頂上の存在に認められるだけの何かが俺にはある?

 いやいや、そんな自惚れは身の破滅を呼ぶだけだ。


「アベルさんに自分を見詰め直して頂こうと、こうして手を打ったのですが、どうやらまだ時期不相応だったのかも知れませんね。ですが、今回のことをよく考えてみてくださいね」


 困ったものだとばかりにサンラさん。

 どうやら、根幹の一軒はすべてサクラさんが仕込んだみたいだ。

 それは良いんだけども、転生者子たちが怯えたままなんだけど・・・・・・。


「仕方がありませんから、今回はこれで終わりです。その代わり、転生者の子たちはシッカリとお願いしますよ」


 どうやら、サクラさんは転生者の子たちが怯えているのをどうにかしてくれるつもりはないみたいだ。

 しおんたちにしてもそれが当然といった感じで、気が付いたら全員が早くこの子たちを安心させてやれとばかりに俺を見ている。

 つまり、俺に何とかしろってことね。


「はあ・・・・・・。まずはキミたちの誤解を解いておこうか」


 できるかどうか判らないけど、まずはおびえる必要はないからと説明して安心させないと。


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