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「転生者の方たちとなら、3日後には対面できるハズですよ」


 まずは鬼人の転生者との対面と思ったら、サクラさんが3日後には会えるとの事。


「3日後か、それじゃ遺跡の調査は後回しにして、歓迎用の新作料理でも用意しようかな」

「あっ、それ楽しみ」

「出来ればスイーツが良いです」


 俺の言葉にキリアとシオンがニコニコ、ついでにリクエストも出してくる。イヤ、2人だけじゃないね。全員がもの凄い期待しているよ。後サクラさんもスゴイ良い笑顔になってるね。


「スイーツね。和菓子じゃサクラさんに敵いそうもないから、アシュラの特産品を使った新作で和菓子以外か、結構むずかしそうだな」

「アシュラの特産と言えばお米? 果物なら柿とか?」


 ああ、米を使ったスイーツと言うのも良いな。小麦粉のかわりに米粉を使うとかやりようは色々とある。それに餅を使っても良い。あと柿か、火器を使ったスイーツも確かに良いね。


「アベルがどんなスイーツをつくってくれるか楽しみ」

「アベルの料理はどれも最高だからね」

「あのね。俺は料理人じゃないんだから、そんなに期待されても困るよ?」


 そこはシッカリと釘を刺しておきたいんだけど、全員に何を言っているんだって顔をされてしまった。

 おかしい。俺は何一つ間違った事を言ってないハズなんだが・・・・・・。


「キミたちはまさか、俺を料理人と勘違いしていたりする? 俺はあくまでも冒険者だよ。料理は趣味でつくる程度だからね。ついでに言うと、うちには専属の料理人が居るの忘れてない?」

「専属の料理人?」

「クマーラだよ。拠点のひとつの管理を任せている」


 実の所、クマーラは俺たちに同行してこそいないが、俺たちの活動にかなり貢献していたりする。

 と言うか、普段俺たちが食べる毎日の料理、いったい誰がつくっていると思う?

 俺? いやいや、毎日の料理まで俺が用意していたらいくら時間があっても足りやしないよ。

 そもそも、今の俺たちのメンバー数は既に200を超えている。しかも、1人1人が毎食10人前以上を当り前のように食べるんだよ?

 つまり、毎食に2000人前以上の料理を用意しないといけないんだよ。

 そんなの俺1人で賄うなんて不可能に決まっているだろう。

 じゃあ、どうやって毎食用意しているかと言えば、まあこれは単純に料理の出来るメンバーの持ち回りでつくったりもしているんだけども、実はクマーラたちが用意してくれていたりもするんだよ。

 拠点でもある店に務めるクマーラ率いる料理人たちが料理を用意してくれているからこそ、俺たちの糧食は持っているとも言える。

 因みに、どうやってヒューマンの国に居るクマーラたちから料理を受け取っているのかと言うと、いちいち俺が転移して取りに行っている訳ではなくて、自動的に料理が送られて来る便利な魔道具を使っている。

 距離が一切関係ない個の魔道具は、ある意味でチート中のチートだと思う。 


「そう言えばそんな人いたね」

「キミたちね。俺たちが毎日食べていのご飯の大半は、彼らがつくってくれているんだよ」

「アレそうだったの?」

「アベルがつくってくれてたんじゃないの?」

「いくらなんでも、毎食俺がつくってたんじゃ、時間が足りないっての・・・・・・」


 料理というものはなんだかんだで時間のかかるものなのだ。

 それも1回につき最低でも2000食は用意しないともなれば尚更だよ。アレだな、学校給食をつくる大変さとかを想像してもらえると良いかも知れない。


「いや、時間以前に毎食俺がつくってたら、いくら何でも過労で死ぬし」

「そんな大げさな」


 全然大袈裟じゃないよ。本気で死ぬから。

 と言うか、クマーラたち本職の料理人ですら、魅せの料理と一緒に俺たちの分もつくるのは大変らしく、人員を増強したんだし。間違っても、2000人分もの料理は1人でつくるものじゃないよ。

 

「まあ良いけどね。と言うか、キミたちもいい加減料理を覚えたら?」

「えっとあの、努力は体居るんですけど・・・・・・」

「なかなか成果が上がらなくて・・・・・・」

「多少は美味くなってきたんだけど・・・・・・」

「アベルと比べたら全然だし」

「正直、まだまだ食事当番をするには程当為感じかな」


 なんて言い訳をし始めるのはユリィたち各種族のお姫様方。

 彼女たちはこれまで料理なんてした事もなかったので、現在修行中なんだけど、まだまだ戦力にはならない模様。

 まあ、実際に料理がキチンと出来るようになっていたら、さっきの毎食2000食以上を俺がつくっているなんて勘違いと言うか誤解なんてありえなかった訳だし、判っていた事なんだけどね。

 因みに、メンバーの中で料理が上手いのはアレッサにミランダなどの年長組に多い。

 まあ当然だけどね。と言うか、ミランダの場合は明らかに俺より上手いと思うんだけどね。

 あと、レーゼ少年など転生者組の中にもかなりの料理の腕前のメンバーが居る。8人ほどいる前世に料理人だったメンバーなどは美味くて当然だけど、何故か彼らよりもレーゼ少年の方が料理が上手い気がするんだよね。

 そんな訳で、実はレーゼ少年は料理当番のエースだったりもするんだよ。


「あらあら、そんな事ではアベルさんの妻として失格ですよ。仕方ありませんね。私がミッチリと仕込んで差し上げましょう」

「「「「はい?」」」」

「母上?」


 何かいきなりサクラさんが本気モードに移行した感じがするんだけど・・・・・・。

 と言うか妻って何?

 ユリィとケイとはその婚約してるけど、シャクティたちとはそんな関係じゃないよ。おたくの娘のシオン手もそんな関係にはなっていないよ。


「あの、母上・・・・・・?」

「呆れましたよ。まさかアベルさんに料理を任せっきりにしているなんて。愛を込めた手料理でアベルさんを虜にするどころか、逆に胃袋を掴まれている始末ですか」


 ああ、そう言えば現状、俺がパーティーメンバーのイ胃袋を抑えている状況だよな。

 女性陣は完全に俺のスイーツに夢中だし。


「これは捨て置けません。私が徹底的に貴方たちを鍛え上げて、アベルさんの心を掴む料理をつくれるようにして見せます」

「あの母上、私たちにも色々とやらなければならない事が・・・・・・」

「これは緊急を要する議題です。これよりも優先すべき事があるとでもいうのですか?」


 ああ、完全にサクラさんのペースになっているな。これは抵抗するだけムダだね。

 と言うか、ここでシオンたちがシッカリ料理が出来るようになってくれると、俺としても大助かりなので是非ともよろしくお願いします。


「反論も拒否も許しません。貴方たちはキチンと料理が出来るようになるまで、この国を出る事は出来ないと覚悟してください」

「いや、それは流石に・・・・・・」

「母上に認められるほどの料理の腕を身に付けようと思ったら、何年かかるか判りません」


 アレ? ひょっとしてプロレベルの腕になるまで拘束される感じ? 

 それは流石に困るんだけどね。

 まあ、遺跡調査にどれだけかかるか判らないけど、それでも最低でも1ヶ月以上は確実に滞在する事になるんだから、とりあえずその間はサンラさんに料理の手ほどきをしてもらおう。

 次の国に行く段階になってまだと言われたら、その時に対応すればいい。少なくても今それは流石にとか口を挟むよりははるかに建設的だ。


「それは貴方たち次第です。まずは1ヶ月、私の元で徹底的に学んでいただきます」

「判りました。どうぞよろしくお願いします」

「「「「アベル?」」」」

「「「「アベルさん?」」」」


 俺がよろしくと頼むと裏切り者とばかりに叫ぶけど、この場合は仕方がないからね?、

 料理の修行をはじめてもう1年以上になるのに、上達しない自分たちが悪いんだから、ここは諦めてシッカリとプロに学んでくれ。

 いや、サクラさんは鬼人の国の王妃であって、決して料理人ではないんだけどね。


「まあ頑張って、新しいスイーツが出来たら差し入れに持って行くから」


 どの道、サクラさんが本気になってしまった以上、シオンたちに逃げ道はないので、とりあえずサクラさんの気が済むまでしごかれてくれ。

 俺はその間に、天性者たちを歓迎する為の新作づくりをさせてもらうから。

 まずはキミたちに差し入れに持って行く、新作スイーツ作りから始めるから恨まないでね。


「新作って何をつくるの?」

「アシュラ特産の果物を使ってだから、まずはどんな果物があるかの確認をしないと」


 我関せずで静観してたミランダが訊ねて来るけど、流石にまだ何をつくるかの具体的なイメージはないよ。

 ただ、話に出たか気を使って水菓子や氷菓子をつくりたいとは思っているけどね。


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