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パソコンの調子が悪くて遅れました。

前に使っていたパソコンも夏の暑さで壊れたので、このパソコンも同じ運命をたどるのかもとビクビクしてます。

「そうだクリス嬢。神獣様と会われるが良い」

「神獣様にですか?」


 レジェンドクラス全員に専用機が行き渡った所で、レオシリスがクリスに神獣に会うように告げる。因みに神獣とは、天人の国アークセイヴァーに居る天獣の事。獣人たちは天獣ではなく神獣と呼ぶ。

 告げられた本人は思いっ切り困惑しているけどね。

 まあ当然だろう。神獣はクリスたち獣人にとって神聖な存在。王族であっても早々簡単に会える存在じゃない。


「この前神獣様にお会いしてな。その時にアベル殿とクリス嬢、ヒルデ上の3人に会いに来るように伝えるように頼まれたのだ」

「俺も一緒なの?」

「うむ。3人に何やら話があるらしい」


 このタイミングで神獣からの呼び出しね。いったいなんだろう?

 まあ、これで次の行き先は決まった。会いに来いと言うのだから行かない訳にはいかない。


「そういう事でしたら、すぐにでも行かせていただきます」

「そうだね。今からでも行こうか」


 相手が相手なので、待たせる訳にはいかない。正装をして一刻も早く会いに行くべきだ。

 そんな訳で、次の行き先は天人の国アークセイヴァーと決まり、俺たちは神獣に会うために獣王たちに事情を説明したら、急いで出発した。



「では、天獣様にお会いしに行くとしよう」


 アークセイヴァーについたと思ったら、今度はレイストリアが俺たちを連れていくという。

 まあ、天神のレジェンドクラスのレイストリアが案内するのも当然なのかもしれないんだけど、何この展開?

 どうしてかレオシリスも一緒に居るし。ひょっとして彼も一緒に天獣に会いに行くの?

 他のみんなには待っているように言って、クリスとヒルデと一緒にレイストリアに付いて行くと、当然のように天獣が待ち受けているし・・・・・・。

 

「来たな。獣人と天人の姫。そして転生者よ」


 それにしても、天獣の姿は何度見ても本当に美しい。同時に、その力に凄まじさがハッキリと判る。

 俺たちが必死になって、辛うじて倒せたサタン・ソウルなんて、天獣に比べたら格下どころじゃない。と言うか、今の俺じゃあ力の差がありすぎて、どれくらいの差があるのも図り切れない。

 案内役のレイストリアも、天獣の前ではカチカチだ。神聖な、自分たちの創造主たる存在を前にして緊張しているのもあるだろうし、存在としての圧倒的なまでの格の違いを理解しているからでもあると思う。


「其方らを呼んだのはほかでもない、其方ら自身が遭遇した魔物の脅威があったからだ」

「魔物の脅威。ゲヘナの戦いやサタン・ソウルの出現の事ですね」

 

 実際アレは脅威としか言いようがない。どちらの戦いも勝てたのが奇跡みたいなものだし。

 まあ、恐らくだけども、本当に危機的状況になったら彼らが出て来たんだと思うけど・・・・・・。


「さよう。どちらの戦いも其方らは我らが助けを必要とせずに勝ち抜いてみせた。しかし、それが奇跡に近い程にギリギリの戦いであったことも事実。魔物の脅威が加速度的に増している中で、其方らの力はまだまだ小さい」

「その通りですね」

「判っています。己の未熟さを悔やまずにはいられません」

「今の私たちでは、アベルの足手まといにしかならないのですから」


 クリスとヒルデはともにES+ランク、Sクラスの最高峰ではあるけれども、俺が旅に出た当時ならともかく、僅か数年で激変した今の戦いの中では、力不足である事は否めない。

 だからこそ、彼女たちもユリィやケイの様にレジェンドクラスに至ろうと日々努力しているんだけどもレジェンドクラスの壁はそう簡単に超えられない。

 ・・・・・・それは俺自身が良く知っている。


「だからこそだ。獣人と天人の姫君よ。そして、自らの力と努力でレジェンドクラスへと至った者よ。汝ら4人に我が加護を与えん。さすれば、そなたらはさらなる力を得られよう」

「神獣様の加護を・・・・・・」


 神獣は獣人と天人の二つの種族をつくりし創造主。自らが生み出した種族である彼女たちに加護を与えるか、なにすテンプレっぽい展開になってきたな。

 これって、次は龍神のところでシャクティたちが加護をもらうってことになるのかな?

 今の所、各種族の創造主と呼ばれている者には、獣人と天人の祖たる天獣。竜人と魔人の祖たる龍神。エルフとドワーフの祖である世界樹としか遭遇してないけど、他の創造主たちとも会う事になるのかな?

 会わないハズがないよね・・・・・・。


「さあ、受け取るが良い」


 なんて現実逃避していると、天獣の翼から4枚の羽根が舞い落ち、輝きながらヒルデたちの元に向かう。

 自らの眼前ら浮かぶ天獣の羽根をヒルデたちは恐る恐る手にする。すると、手にした瞬間彼女たちの体を輝く光が包み込む。ユリィやケイの時と同じだ。

 そして、光が収まるとこれまでとは比較にならない程の力を宿した4人の姿がある。


「これは・・・・・・」

「こんな、圧倒的な・・・・・・」

「信じられない、これが私なの・・・・・・?」

「これが、天獣様の加護・・・・・・」


 4人とも呆然自失と言った様子だ。イヤ、むしろ意識を保てているだけで凄い。普通なら、自分の身に起きた余りにも絶大な変化に、耐えられずに気を失ってしまうはずだ。


「力は授けた。それを使いこなせるかどうかは其方ら次第だ。」

「「「「感謝いたします。そして、天獣様のご厚意に恥じぬよう。頂いた力は必ずや使いこなしてみせます」」」」


 膝を突き深々と頭を下げて誓いを立てる4人。その様子に天獣は満足そうに頷く。

 まあ、この4人なら間違いなく力を使いこなすだろうけど、問題は彼女たちが得た力だ。

 ヒルデとクリスは間違いなく、俺やユリィたちと同じ、ジエンドクラスに限りなく近いレジェンドクラスの力を得た。そして、レオシリスとレイストリアの2人は間違いなくジエンドクラスの力を得ている。

 問題は、ジエンドクラスの力を得たものが現れた時、何が起こるかだ?


 アスカ氏に聞いた話では、彼がジエンドクラスに至った時には、レジェンドクラスに至った時の様な試練はなかったとの事だけども、全く信用できない。

 と言うか、これは確実にアスカ氏を引きずり出して来るべきだな。

 それでもって、レオシリスとレイストリアの元に張り付いていて貰おう。何かあった時にはアスカ氏に丸投げで。


 だって仕方がないんだ。これから俺たちはヒルデとクリスのレジェンドクラスに至るための試練に立ち会わないといけない。

 そこで何か起きない様に、ヒュペリオンに各装機竜人で戦闘配備で待機していないといけないんだから。


「うむ。其方らならばこの世界の守り手と慣れよう」

「「「「ありがたき御言葉」」」」

「ライオルではダメなのですか?」


 感極まった4人を余所に、俺はひとつ気になった事を聞いてみる事にした。


「あのもの名もいずれ我が加護を与える日も来よう。しかし、今はまだその時ではない。それは、他の天人や獣人の王族たちにも言える」

「今は、アナタの加護を受ける資格があるのはこの4人だけだったと?」

「そういう事だ」


 成程ね。しかし、これはユリィとケイに次いで、ヒルデとクリスの立場もヤバくなって来たんじゃないかな?

 天獣に直々に加護を貰ってレジェンドクラスに至ったなんて成ったら、ごく自然に王位継承権に一気に関わってきそうだけどね。コレ、確実にヒルデとクリスを次期王にって勢力が出て来ると思うけど。


「ではまた会おう。さらばだ」


 天獣はそう言い残すと翼をはばたかせ、次の瞬間には姿が消えていた。

 転移したんじゃない。単純にこの場から動いて移動しただけなのに、その姿を全く捉える事が出来なかった、しかも、それ程の超高速で動いたにも拘らず、ほんの少しの空気の揺らぎすら起きていない。

 ごく自然に動きを見ただけで、その圧倒的な力カケラを垣間見る事が出来る。少なくても、俺にはこんなマネはどうやっても出来ない。


「とりあえず、みんなの所に戻ろうか。クリスたちの試練の準備もしないといけないし、今回はアスカ氏も捕まえておきたいから」

「アスカ氏を・・・・・・。あっレオシリス様とレイストリア様の件ですね?」

「確かに、ジエンドクラスに至る時に何が起こるか判りませんし、何かあった時に対応できるのはアスカ氏だけですね」

「アスカ氏とは確か、この世界でただ1人のジエンドクラスたるお方だったな」

「ほう、そのようなお方と会えるとは楽しみだな」


 いや、2人は楽しんでる場合じゃないんだって、判ってないのかな?


「御2人は間違いなくジエンドクラスに至ります。その時に何が起こるか判りませんし、残念ながら私たちではそれに対抗出来るとは思えません。だから、御2人の事はアスカ氏と、ミミール殿たちに任せます。それに、俺たちは俺たちで、クリスとヒルデの試練に備えなければいけませんし」

「確かにな」

「何事もなければいいのだか、そう希望通りにはいかないものだ」


 そうなんだよね。何事もなく無事に終わるなんて希望通りにはまず行かないんだろうね。

 まあ良いよ、と言うか、2人の試練が終わったら、今度は間をおかずにシャクティたちの試練をあるのも確定みたいなものだし、腹を括って備えるとしよう。

 その為にも、まずは何としてもアスカ氏を捕獲しないといけない。

 どうやって確保するかなって頭を悩ませながら、俺たちはみんなの元に戻る事にした。




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