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 さて、只今ドワーフの転生者との対面中なんだけど、なにかみんなもの凄くビクビクしいるんだよね。

 どうも、昨日の戦いの事を知ったらしくて、そんな命懸けの、しかも勝ち目がないような戦いに駆り出されるのかって怯えてしまっているらしい。

 

「そんなに怯える事はないと思うんだけどね」

「でも、ジエンドクラスの魔物と戦うなんてムリです」

「別に今すぐ戦え何て言わないよ。この前の戦いも、戦ったのは俺とケイ、ユリィとミランダの4人だけだし」


 と言うか、普通に10万年前の遺産を使っても、最低レジェンドクラスに至ってないとジエンドクラスの魔物を相手になんかできない。

 本気でその殺気と魔力の重圧だけで死んでしまいかねないし。


「ただ、既にこの世界はジエンドクラスの魔物が現れるのが当然となってしまった以上、それに対抗する手段を得る以外ないのも事実だからね。世界規模で、早急に戦力の増強を図らないといけない。そして、最も確実なのが転生者を鍛える事なんだよ」

「どうして私たちなんですか?」

「転生者は、別に転生特典でチートな力をはじめから持っている訳じゃないけど、それでも、全魔法属性と、多少なりとも地魔力や闘気の成長速度が速いくらいの特典は持っているんだよ。そして、ここで重要なのは全魔法属性だね」


 実際の所、こんな危険な世界の存続を賭けた戦いに駆り出されるために転生したんだから、もっとバリバリの転生チートの特典があってしかるべきなんだけど、これまでこの世界に転生した誰もがそんなモノを持って生まれていないみたいなので、これについてはもう諦めるしかない。


「何故、全魔法属性が? 話を聞くと、魔力や闘気の成長速度が速い。つまり強くなりやすい方が重要だと思いますけど・・・・・・」

「まあ、普通はそう思うよね。でも、成長速度がはやくても、成長限界が低ければ意味がないんだよ」


 これはまあ当り前の話で、今必要とされているのはジエンドクラスにまで至れる可能性を、才能を持った人物だ。


「転生者でも、全員がジエンドクラスに至れる訳じゃない。現に、10万年前の戦いの時の転生者たちも、全員がジエンドクラスに至れた訳じゃないらしいからね」


 なにか、本に前世でやっていたゲームのキャラクターの到達レベルのランクにまでしかならなかったみたいなことが書かれていたんだけど、流石にそれは偶然だと思いたい。


「つまり、私たちもどれだけ努力しても、ジエンドクラスにもレジェンドクラスにも至れないかも知れないって事ですね」

「まあ、実際に転生者だからってだけで、ジエンドクラスに至れる才能があるっていうのもおかしいし、実際の所俺たちのパーティーでも、今の所、転生者でジエンドクラス候補なのは俺だけだし」

「それなら、どうして転生者を鍛えるのが、一番効率の良い戦力増強になるんですか?」

「だから、その理由が全魔法属性だよ」


 実際の所、ユリィもケイもジエンドクラス候補にまで成った今でも、全属性の魔法を使う事は出来ない。レジェンドクラスに至った事で、使える魔法属性も増えた様だし、ジエンドクラスに至れば術斗の属性魔法が使えるようになるかも知れないけど、今の所はそれも未知数だ。

 さて、話を戻すが、転生者は全魔法属性を持っていて、全ての属性魔法が使える。これは、実は相当なチートだったりする。


「戦力的な事で言えば、全魔法属性を持つ転生者は、それを持たない人たちよりもワンランク上の実力を持つと考えて良い」


 実際の所、Sランクの転生者はS+ランクからSS-ランクに近い実力を持っていると考えて良いと言う事。

 これは、大袈裟な話ではなくて、全魔法属性は使いこなせ歳すればそれだけの力を持ち得るチートだと言う事だ。

 本当に今更ではあるけどね・・・・・・。

 と言うか、ついさっきもっとチャンとしたチートがあっても良いのにとか言ってただろうって思うだろうけど、これについて言い訳させてもらうと、実際に全魔法属性は確かに協力ではあるけれども、チートとはまた違うからだ。何が違うかの説明はまた今度にさせてもらう。

 今はまず、全魔法属性を持つ転生者の実力が、通常よりもワンランク高いということについてだ。

 実際の所、これには全魔法属性を完全に使いこなせればとつく。

 完全に使いこなせた場合、全魔法属性は非常識なまでな戦術の幅と、圧倒的な攻撃力を生み出す。

 これまた本当に今更だけども、俺が今まで同ランクの魔物数体を同時に相手をしながら、勝利をおさめられてきたのはこれのお陰だ。流石に、ES+ランクの時点で、レジェンドクラスのEXランクに匹敵するとか、そんなデタラメなまでの力は発揮しないけれども、全魔法属性はそれだけ圧倒的な可能性を秘めている。


「そして、戦闘面だけでなく、生産面、サポート面でも、全魔法属性は高い成果を発揮する」


 と言うか、むしろコッチの方が本命。転生者である彼らは、レジェンドクラスやジエンドクラスに至れなかったとしても、Sクラスまでは確実になってくれるので、優秀なサポート要員が確実に確保できる。


「実際の戦いには10万年前の遺産である兵器を利用するとはいえ、当然ながら使っていけばどれだけ優れた兵器でも消耗し破損して行く。サレらの整備や補修などの面でも、全魔法属性は優れた効果を発揮するんだよ」


 それ以外にも更に色々とあるけどね。それに、今の内容はある意味で、彼等にとって希望ともなる。


「それじゃあ、私たちは戦わなくても良かったりもするんですか?」

「その辺りは個人の才能によるところが大きいけどね。実際の戦いでは、戦闘要員は確かに大切だけど、それを支えるサポート要員の重要性は計り知れないよ」


 と言うか、どんな超人でも誰のサポートも受けずに戦い続けるなんて不可能だ。

 初めての魔域の活性化の戦いで、俺がほぼ無双状態で戦う事が出来たのも、魔力の限界までの範囲の時間で戦った後は、安全な防衛都市に戻って、敵に襲われる心配をせずに休めたからでしかない。万全の態勢で戦えるサポート体制が整っていたからこそ、俺を含む甘魔域の活性化で戦った全員が、全力で戦い続ける事が出来た訳で、補給もなく、安心して休むことも出来ないまま戦いを強いられて、辛うじて逃げ出して生還するのならともかく、敵に勝つ事など不可能だ。

 まあ、こんなのはそもそも常識なんだけど。

 だからこそ、俺たちが万全の態勢で戦える様にサポートしてくれる要員の確保は、戦力の増強と同様に最重要課題な訳。


「勿論、最前線で戦うヒュペリオンなんかに搭乗する訳だから、サポート要員と言っても危険なのは変わらないんだけどね」


 と言うか、これから先は世界中の何処に至って危険なのは変わらなくなっていくと思うけど・・・・・・。


「いずれにしても、キミたちは身を護る術を身に付けた方が良いのは変わらないよ。これから先、この世界はどんどん危険を増していくんだからね」

「それは判っています」


 だろうね。と言うか、あんな戦いを見せ付けられて危機感を持たない方がおかしい。


「今あのバケモノを倒せるのはアベルさんたちしかいない。つまり、あのバケモノが複数の場所で同時に現れた場合。手が回らないって事だ・・・・・・」

「そうだね。それに、その場合、今の俺たちじゃあ全魔力を使い切って辛うじて1匹を倒すのが限界だから、戦いの後にすぐにもう1匹を討伐に行くのは不可能だ」

「つまり、現状アレが2匹同時に出た場合、その時点で世界は終わりって事ね」


 これは流石に大袈裟だけどね。最初からヒュペリオンやラグナメヒルなどを使っていれば、魔力を使い切る心配はない。ただし、それでも同時に2匹を相手にしたとなると勝てる確率は限りなく0に近いし。もしも、別々の場所に同時に現れたりでもした場合。1匹を倒している間に大陸の1つや2つが消滅するくらいの被害は不可避だ。

 要するに、次に同じ事が起きる前に早急に戦力を強化できないと、今度はどれだけの被害が出るか判らない危険な状況だって事。

 と言うか、戦力の増強が急務に状況で、迂闊にレジェンドクラスに至る者を出せなくなっているのがシャレにならない。

 もしも次の試練でも同じ事が起きたらどうするか・・・・・・。

 それはつまり、これから先は、レジェンドクラスに至る者が現れる度に、ジエンドクラスの魔物の侵攻を受けるって事だ。

 考えただけでも気が重い。しかも、相手は魔域の活性化での戦いの時に現れた魔物よりも、更に高ランクなのだから始末に悪い。

 それでも、戦力の増強は必要不可欠な訳で、


「結局ね。どうやってもキミたちを含む、この世界の全員が強くなるしかないんだよ。生き残るためには、死にたくなかったらね」


 結局死にたくなければ強くなるしかない。


「キミたちも色々と思う所はあるだろうけど、もうキミたちは俺たちの仲間になる事を拒否できないんだよ。だからこそ、俺たちはキミたちを歓迎するし、死なせないためにできる限りの事をするつもりだ」


 だから諦めてね。とりあえず、何時もの様に用意した歓迎の御馳走で出来る限り、陥落してくれるといいんだけどね。




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