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 サタン・ソウルの肉体はヒュペリオンの砲撃によって完全に消滅し、後には魔石だけが残される。

 体長2メートル程度のサタン・ソウルから、直径1メートルはある魔石がどうやって出てきたのか、あの砲火の中でどうして無事だったのかとか、いろいろと疑問は残るけど、とりあえず・・・・・・。


「・・・・・・勝ったのか?」


 サタン・ソウルの魔力反応は完全に消滅している。ラグナメヒルのレーダーにも反応はない。

 つまり、撃破したと言う事。


「勝った!!。勝ったんだ」


 気が付けば叫んでいた。こんなに勝利に歓喜したのは初めてかも知れない。

 それはユリィも他のみんなも同じで、グリモハウトやヒュペリオンから歓喜の声が通信で流れてくる。


「アベルやったよ。勝ったよ」

「ああ、どうにか切り抜けられたな」


 突然起こった、ありえない異変であり、こうして生きているのが奇跡に近い危機だったけれども、本当にどうにか切り抜けられた。

 その証拠に、既に魔域は何時も通りの姿に戻っている。

 剥き出しになって晒されていたゲートは再びその姿を消し。エリアマスターのドラゴンも姿を消している。

 さっきの戦いの影響で、魔域でありながら今は魔物の姿1つないけれども、それ以外は何時も通りの変わらない魔域の姿に戻っている。


「とりあえず、異変も収まったようだし戻ろう。すぐにでも今回の事を国に報告するべきだし」

「そうね。魔域の調査はレイザラムに任せた方が良いし」


 こんな異変ははじめてだけども、間違いなく、これもカグヤの封印が解け掛かっている証拠なんだろう。つまり、これからは同じ事がいつ起こってもおかしくないかも知れない訳で・・・・・・。


「今回の教訓は、何かあった時にすぐに対応できる様に、ヒュペリオンで行動するべきて事だよね」

「少なくても、次の試練の時には絶対に、ヒュペリオンを横に置いておこうか」


 同じような事が起こるとしたら、一番可能性が高いのは、次に誰かがレジェンドクラスに至る試練を受ける時だろう。その時には、ヒュペリオンとラグナメヒル、それにグリモハウトとこの後系の専用機になるのも合わせて、臨戦態勢で待機させた置くとしよう。


「なにはともかく、戻ろう。流石に疲れたよ」

「それは私も・・・・・・」


 だろうね。ケイは試練で魔力を使い果たした後も、ヒュペリオンの砲撃手として戦い続けていた訳だからね。しかも、サタン・ソウルを捉えるためには高度な予測演算が必要になるからね。その消耗は半端ないよ。ついでに、俺もだけどお腹が減って死にそうだと思う。エネルギーを消費しまくっているからね。体がご飯を、エネルギの補給を催促しっぱなしなんだよ。

 そんな訳で、疲労困憊の上に腹ペコな俺たちはさっさと休もうと魔域を後にした。



「こちらでも状況は把握しているが、残念ながらいくら調査したところで、大した結果は得られないであろうな」

「でしょうね。それより問題なのは、これから同様の事態がまた、起きる可能性がある事ですよよ」


 魔域から戻った俺たちは、休む前にまずは食事と、只今エネルギー補給中。

 ついでに、ケイの試練の直後に起こった異変について話し合っているんだけども、王としても今回の件は頭が痛いらしい。


「だがそうなると、正直、現状ではキミたち以外に対抗出来る者がいない。我々では、10万年前の遺産で完全武装したとしても、ジエンドクラスの魔物には対抗できないだろう」

「確かに」


 問題はソコなんだよな。

 今回の件。俺たちだからこそ対応できたけど、残念だけどレイザラムの全戦力を投入しても、サタン・ソウルには手も足も出ない。それこそ、ベルハウゼル級の遺産を投入しても勝てないだろう。

 実際問題として、現状ではジエンドクラスの魔物に対抗する為には、10万年前の遺産で完全武装したレジェンドクラスが複数いなければ話にならない。

 ゲヘナの魔域の活性化の戦いで、俺たちがベルハウゼルでジエンドクラスの魔物に対抗出来たのは、俺とミランダがレジェンドクラスだったから、Sクラスの者が使ったんじゃあ、あのトンデモ兵器でもジエンドクラスの魔物には対抗できない。


「こうなると、明日会う転生者たちには修行を頑張ってもらわないと、勿論、キミたちもこれまで以上にね」

「あのそれって、Sクラスじゃなくて、レジェンドクラスを目指して頑張れって事ですか?」


 おっレーゼ少年鋭い。そうだよ。頑張ってレジェンドクラスを目指すんだじゃなくて、なんとしても至るんだ。それとね。そのレジェンドクラスも単なる通過点に過ぎないから。


「違うよ。俺も含めて全員ジエンドクラスを目指すんだよ」

「今の所、アベルと私とユリィが、後少しなんだけど、その後少しが果てしなく遠そう」


 確かにね。一体どうやったらジエンドクラスに成れるのか見当もつかないし。これまで通りの修行をしていればなれるとは思えないんだよね。10万年前の転生者たちは、それで余裕でジエンドクラスまで至ったみたいだけど・・・・・・。


「でも、これ以上厳しい修行を続けたら、みんなついて行けなくなってしまうと思う」

「確かにね。その可能性もあるけど」


 ユリィの言葉に、みんな必死な様子でウンウン頷いているけど。


「だけど、これから先死なない為には必要だよ。今回の件でハッキリしたでしょ。これから先はどんな危険が待っているか判らないって」

「ひっょっとしたら、あの怪物が複数同時に現れるなんて事もあり得るとか?」

「起きないとは言い切れないよ」


 現実問題として、もし本当にそんな事になったら、今の俺たちじゃあ対抗できないんだけどね。

 今回、なんとか勝てたのは相手が一匹だけだったのと、はじめの内は飽きに敵相手が油断してくれていたから。もしも、あのサタン・ソウルが初めから全力で挑んできていたなら、俺たちに勝機はなかった。と言うか、少なくても俺は確実に死んでいた。


「今回俺たちが勝てたのだって、ほとんど奇跡に近いからね。それに、更に強力な魔物が現れる可能性だってある」


 サタン・ソウルのランクはα。つまり、最高ランクのΩじゃない。そして、Ωランクの魔物は、当然だけどもサタン・ソウルなど比べ物にならない程に強い。

 そして、これまた当然のように、俺たちはいずれそのΩランクの魔物と相対する事も視野に入れないといけない訳で、そうすると現状では全く力不足なのは明らか・・・・・・。


「そんな訳で、死にたくなければ強くなるしかないんだよ」

「それはまさしく至言ですけど・・・・・・」


 まあ、途方に暮れるのも当然だと思うよ。

 何の因果でそんな命懸けの戦いに強制参加しないといけないんだって話だけど、こればかりは、この世界に転生してしまったのが運の尽きとしか言いようがない。

 正確には、今この都にこの世界に転生してしまったのが、本当に運の尽き。

 まあ、これから先何万人と転生者が出て来る事になるし、自分だけが不幸とかそんな事言ってられない状況になるんだけどね・・・・・・。

 と言うか、転生者全員が自分の不幸を嘆いていたりしたら、それこそこの世界は終わりだし・・・・・・。


「俺はもう、転生したのが運の尽きと諦めて、素直にこの世界を楽しむ事に決めたからね」

「それが一番建設的なんだと思うけど・・・・・・」

「そう簡単に納得できないと言うか・・・・・・」

「あんな戦いを見せられて、怖気ずくなって方がムリだと思う」


 成程ね。確かにアレは少し刺激が強過ぎたかもね。

 でもまあ、それも慣れだよ。その内当たり前の様にキミたちもあんな戦いをしているようになるからさ。

 いや、出来ればそんな事態になって欲しくないっていうのが、俺としても本音なんだけどね。そんなの期待しても無駄だとそろそろ諦めているからさ・・・・・・。

 それに、この時代に生まれて時点で、転生者でもそうでなくても、結局立場は同じなんだよね。

 死なない為には、世界を滅ぼされたくなければ、強くなって魔物を打ち倒すしかないんだから。



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