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「あのリリアーナ氏が転生者だったとは」


 修行を終えたベルゼスたちに、新しく仲間に入ったリリアーナさんの事を話してみたら、当然だけども驚いている。

 それにしても、修行を終えてもこうして普通に会話が出来るまでになったのだから、本当に大した進歩だよ。前は、終わった後はほとんど気を失っているような感じだったのに。

 

「それにしても、重力制御による空間跳躍システムですか? それは余りに危険すぎるのでは?」

「やっぱりそう思う。俺もそう思ったから、近くで監視する事にしたんだよね。あの人は、研究以外に興味のないタイプで、しかも、研究のためならどんな危険な実験も躊躇わない人だから」

「それは・・・・・・」

「確かに・・・・・・」

「あの人は、そう言う方ですね・・・・・・」


 どうやら、思い当たる節があるみたいだね。この様子だと、これまでにも相当な事をやらかしているねあの人。


「まあそれは置いておいて、キミたちもこの短期間で、一気に逞しくなってね」

「確かに、こうしてアベル殿の修行について行けるようになるには、もっと時間がかかると思っていましたが」

「私は、ついて行けるようになるのか不安でしたが、殺人的なまでの過酷さでしたから・・・・・・」

「それが、きつくはあるがごく普通にこなせる様になるとは・・・・・・」


 それについては、完全にこいつらの才能によるものだよ。

 正直、才能があるのは判っていたけどここまでだとは思いもしなかった。


「この調子だと、ユリィより先にレジェンドクラスに至りそうだな。ユリィも、何時レジェンドクラスに至ってもおかしくないのに」


 どうしてこいつらがユリィより先にレジェンドクラスに至るかね?

 予想では、ミランダがレジェンドクラスに至った後、そう間をおかずにユリィもレジェンドクラスに至ると思ったんだけどね。それが、実力的には何時至ってもおかしくない状況のままが続いている。


「ユリィか、確かに彼女の実力は今の我らとほぼ同じ、我らが何時レジェンドクラスに至ってもおかしくないのなら、彼女も何時至ってもおかしくないハズ」


 そうなんだよね。こいつら予想以上に早く、レジェンドクラスに至れるだけの力を身に付けやがったけど、同等の力を既にユリィも持っているんだよ。なのに、何でユリィはレジェンドクラスに至らないのかね?


「何かキッカケが必要なのかな? 一度ユグドラシルに行ってみるかな?」

「と言うか、元々、次はユグドラシルに行く事になるハズだけど?」


 どうしたものかねと考えて思わず出た言葉に、当たり前の様にこたえを返されて驚いたよ。

 と言うかユリィ。何時の間にココに来たのかな?


「アベル忘れてる? もうすぐ世界所の実がなる時期よ」

「ああそうか」


 うん。完全に忘れていたよ。と言うか、あれからもうすぐ1年たつんだね。


「アレ? そうすると、俺ももうすぐ15歳になるのか・・・・・・」

「そう。キミも成人して私たちと結婚できるようになるね」


 いや、それはまだね。色々と問題が山済みだし、そんな状況じゃないと思うんだすよ・・・・・・。


「冗談よ。アベルはヘタレだから、成人してすぐに結婚とかムリって判っていたからね」

「反論の余地が一切ございません・・・・・・」


 本当に、全く反論できないよ。でも、これについてはシッカリと責任を取らないといけないよな。ユリィたちからのプロポーズを受けて、俺からもしっかりプロポーズしたんだからね。

 別に、そのクセ付き合ってもいないような中途半端な状況を続けている訳では断じてない事だけはハッキリ言っておくよ。


「それじゃあ、次はユグドラシルか。そこでシッカリ、ユリィをレジェンドクラスにしないとな」

「私は別に、レジェンドクラスに至れなくても良いけど」

「それはダメ。ケイに遠慮しているんだろうけど、俺の予想じゃあ、ケイもその内レジェンドクラスになるし、気にするだけムダだよ」


 本当に、ユリィとケイの2人は仲が良すぎるんだよね。多分、間違いなくユリィがレジェンドクラスに至れないのは、ケイへの遠慮が原因だよ。自分1人だけ、レジェンドクラスになるのを躊躇っているんだろうね。

 その辺りの気持ちは判るような気もするし、同時に、気にするだけムダだと思う。

 その辺りは、気持ちの問題だからいくら言っても、本人次第なんだけどね。


「別にケイに遠慮してる訳じゃ・・・・・・」

「それに、キミたちは俺と同じで、ジエンドクラスまで全員なるだろうから、レジェンドクラスくらいで躊躇ってても仕方ないと思うし」


 なにか言い訳がましく言おうとしているのを遮って、爆弾投下。


「はい? えっと、ジエンドクラス? 私たちが?」

「うん。ほぼ間違いなくね。と言うか、俺がジエンドクラスになったら、それが証拠みたいなものだと思うよ」

「どうしてアベルがジエンドクラスに至るのが、私たちも至る証拠になるのよ・・・・・・」


 そんなモノは決まっているだろう。お約束だよ。俺の仲間になるメンバーは、誰かに操作されているんじゃないかってくらいの才能の持ち主ばかりだし。

 正直、今の所、メリアたちがジエンドクラスに至れるかは判らないけど、ユリィたちは間違いなく至る事になると思う。

 10万年前の戦いは、転生者たちだけでなく、ネーゼリアの住人の中から多くのジエンドクラスが誕生し、彼等にもまた激しい戦いに身を投じたらしいけど。

 今回、戦いの中核を担う事を押し付けられそうな俺の元に、転生者が集まり、ジエンドクラスにいたりうる才能を持った者が集まっているのも、決して偶然ではないだろう。


「それに、言うまでもないけど強くなっておくに越した事はないからね。そんな訳で、ユグドラシルに戻ったら覚悟しておくと良いよ」

「そう言われると、本気で遠慮したくなってくるんだけど・・・・・・」

「それなら、ミミールに任せようか?」

「それだけは絶対に止めて」


 冗談だからそんなに必死にならない。

 まあ、本当にミミールに任せたりしたら、一体どんな事になるか、俺よりもユリィの方が彼女の事は詳しいんだし、ある意味、必死になるのも当然かな。


「まあ、今はユリィより先に、ベルゼスたちだけどね。キミたちは何かこのまま、一気にレジェンドクラスに至りそうだから、これからはそれに合わせた実戦的な修行に移行するから」

「はっ? 実戦的ですか?」


 意味が判らないって感じだけど、すぐに判るよ。

 これからは、俺とミランダを相手に、模擬戦を繰り返して、レジェンドクラスの魔物を相手にするための感覚を掴んでもらうからね。大丈夫。模擬戦だから死にはしないよ。確証は出来ないけどね。


「ご愁傷さま・・・・・・」

「なんなら、ユリィも参加するか?」

「私は良いよ。装機竜人を駆ってだけど、レジェンドクラスの魔物との戦闘経験もあるし」


 うん。上手く逃げたね。でも確かに、ユリィはゲヘナでの活性化の戦いで、100匹を超えるレジェンドクラスの魔物を討伐しているからね。経験としては十分なんだよね。


「何やら不穏な気配がするのですが。我らはこれから何をするのですかな?」

「俺やミランダとの実戦訓練だよ。レジェンドクラスの魔物との戦いの感覚を掴んでもらわないと」


 実戦訓練。その言葉に明らかにベルゼスたちの頬が引き攣る。訓練。修行の激しさ、厳しさを感じ取っているみたいだね。機器察知能力が優れているようでなにより。


「大丈夫。実際に初めてレジェンドクラスの魔物と相対した時、その殺気と重圧に負けてしまうようじゃ話にならないからね。そうならない為に、慣れてもらうのが目的だから」


 俺自身、最初は本気で死ぬかと思ったし・・・・・・。

 アレは本気でシャレにならないよ。今じゃあもう慣れてしまったけどね。と言うか、今となっては怖いと感じるものがあるかどうかも怪しくなってきちゃったし・・・・・・。

 ジエンドクラスの魔物の殺気と重圧も既に体験してしまったから、もう取り乱す事もないし。

 突然辺りを囲まれて、死ねと銃で一斉攻撃されても、無傷で逆に相手を制圧できるから、いきなり攻撃されたのにムカつきはしても、怖いと思う事もないし。

 気が付けば、恐怖を感じる感情がマヒしてきている気がするけど、気の所為かな?

 まあ、ホントに間近に死が迫った時には、怖いと思うんだろうけど。

 アレ? でも、アスカ氏に殺された時、怖かったっけ・・・・・・?


「とりあえず。これから俺と1対1で戦おうか。大丈夫。俺はアスカ氏と違って、訓練で殺したりしないから」


 今の所はだけどとは言わないでおく。


「それじゃあ、まずはベルゼスからだよ」

「イキナリ、今からでありますか?」

「当然」


 だってキミ。もうやる気満々だし。

 どうやって戦うかを頭の中で必死に組み上げているね。完全に闘志が剥き出しだよ。

 それじゃあ始めようかと言う前に仕掛けて来るし、本当にバトルジャンキーだよねキミ。


「しっ!!」


 強力な雷魔法を両手両足に纏わせて接近戦を挑んでくる。それ、飛び道具としても使えるね?

 でも、その程度じゃまだまだだよ。さてと、まずは軽くいなしてあげるとしようかな。これからが本番だからね。





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