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すいません。風邪で遅れました。

「つまり、戦いに参加するつもりはないと?」

「当然だよ。それに、私は既に冒険者を引退して、今はただの研究者に過ぎないのだからね。戦力として期待されても困るよ。それに、私はキミと違って、この本に書かれている修行法でレジェンドクラスに至れなかったんだしね」


 それは少し気になっていた。あの本を持っているのに、どうして彼女はES+ランクのままなんだろうって。


「要するに、私の才能じゃレジェンドクラスには至れないって事さ。そんな私に、これから激しさを増し続けて行く戦いで、出来る事があると思うかい? それこそ、キミなんか、いずれはジエンドクラスにまで至るのにさ」

「俺がジエンドクラスに至る確証はないよ」

「確かに確証はないかもね。でも、至るのは確実だろうさ。既にレジェンドクラスに至っているのがある意味、その証拠だよ」


 そう言われると反論の余地がないね。

 今の所、レジェンドクラスの中で俺だけが圧倒的に年下だから。ユリィがレジェンドクラスに至ってくれると話は変わるんだけどね。

 後少しと言う所でどうも、何かキッカケがあればすぐだと思うんだけどね。

 とそうじゃなくて・・・・・・。


「だから、私は研究に専念させてもらうよ。その方が役に立つだろうしね」

「そう言われると、反論できないね」


 もっとも、重力制御による空間跳躍システムの開発が何の役に立つかは未知数だけどね。完成に300年はかかるらしいし。


「場合によっては、これを使って別の星に避難する事できるしね。そうなれば、万が一、魔物との戦いに敗れてこの世界が滅んでしまったとしても、人類は生き残る事が出来る」


 成程ね。そういう事か・・・・・・。

 でも、リリアーナさんは知らないのかな?、宇宙の中心部に存在する高位次元生命体。神の思惑次第ではそれも難しいと思んだけど。

 そもそも、冷静になって考えてみると、この宇宙で魔物の侵攻を受けているのがこの星、ネーゼリアだけとは限らないから。

 知らないのなら、キチンと説明しておくべきかな・・・・・・。


「リリアーナさんの話は判ったけど、宇宙が平和だと言う保証はないよ」

「うん? どういう事?」


 この様子だと、彼女は宇宙の中心部を観測するあの遺跡には行ってないみたいだね。


「実はこの前、宇宙の中心部を観測する遺跡を調べて、神の存在を確認したんだ」

「神?」


 うん。イキナリ神の存在を確認したなんて言われても信じられないよね。

 だけど、間違いなく存在するんだよ。この世界の創造者かも知れない存在がさ。



「本当なの・・・・・・?」

「間違いなく」


 遺跡で知った神の存在を説明すると、流石にリリアーナさんも頭を抱えた。

 レーゼ少年は既に知っていたから良いけど、ベルナデットちゃんははじめて聞く真実はまたまた動揺しっぱなしだよ。


「それに、宇宙進出ならば、10万年前の転生者たちも間違いなくしてるよ」

「カグヤの製造とかだけじゃなくて?」

「戦いが終わった後、外宇宙に確認された有人性に向かったらしい痕跡があるね」


 その後どうなったかの情報は、当然だけど全くないけどね。まあ、間違いなく辿り着いただろうし、辿り着いた先でどんな危険があったとしても、余裕綽々で解決してみせただろうけどね。


「それは羨ましいじゃなくて、宇宙に出て、他の星に辿り着いても、その星でもココと同じような戦いが繰り広げられている可能性があるのね」

「絶対じゃないけどね」


 それこそ、何処かの星では魔物の侵攻を完全に遮断できている可能性もあるし。

 逆に、魔物に滅ぼされてしまった星もいくつかあるかも知れない。

 実際の所は判らないと言うのが正しい。


「なにそれ、せっかくの私の夢が・・・・・・」

「まあ、全てを終わらせるために、外宇宙に行かなければいけない可能性もあるけどね」


 その準備も、既に10万年前に終わっている可能性もあるんだよね。


「どういう意味?」

「本当の意味で、魔物との果てない戦いを終わらせるには、宇宙の中心部で神と相対する必要があるだろうから」


 神か、本当に一体どんな存在なんだろう・・・・・・。

 その目的も何も全部が不明なんだよな。

 可能性としては、神がこの魔物との戦いを仕組んでいると確率が一番高いのだけども、本当にそうなのかも今のところ判らない。

 恐らく、10万年前の転生者たちは答に辿り着いているし、龍神なども知っている。


「神と相対するって、正気?」

「まあ、出来たらの話だけどね。10万年前の転生者たちも結局は果たせなかったみたいだし」


 どうして果たせなかったのかが謎なんだけどね。

 神の元に至るための手段も、既に確立していただろうに、どうして辿り着けなかったのか? とか、まだまだ謎が多いんだよね。


「まあその話はともかく、このまま重力制御による空間跳躍システムの開発をしていても、宇宙に行くのは難しいと思うけど?」

「それは判ったわよ。でも、だからって・・・・・・」


 諦めきれるモノじゃないと、気持ちは判るよ。


「それじゃあ、俺たちの専属技師になる気はない?」

「キミたちの専属技師?」

「そう。知っていると思うけど、俺たちはヒュペリオンと言う10万年前の空中戦艦を拠点にしている。その整備や、同様に所有している装機竜人などのメンテナンスを専門に行ってくれるメンバーとして同行して欲しい」

「成程ね」


 正直、魔工学や錬金術の研究に時間を費やしている暇がなくて困ってたんだよ。なので、専門のメンバーがいてくれると助かるんだよね。


「勿論、そっちにもメリットがあるよ。そもそも、ヒュペリオンは宇宙船だし。俺たちはいずれカグヤに買う事が確定している。つまり、俺たちと一緒に居れば確実に宇宙に行ける訳だよ。それに、整備をシッカリしてくれるのなら、それ以外の時間は、自分の研究に費やしてくれて構わないし」

「つまり、キミたちの元で重力制御による空間跳躍システムの開発を続けても、構わないって事?」

「そういう事。と言うか、俺としてはその研究と言うか開発、かなり危険な気がするから、やるなら目の届くところでして欲しいんだよね」


 正直、こんな所で1人で研究に没頭させていたら、何か起こるか判ったものじゃないよ。

 もの凄く危険な気配がする。このリリアーナさんは間違いなく研究バカ。マッドサイエンティストだ。興味を持ったらどんな危険な研究だって躊躇わない。開発に必要だと思ったら、どんな危険な実験だって平気で実行するタイプだ。


「随分な言い草だね」

「当然だと思うけど、開発のためにはブラック・ホールの一部常駐展開も必要になるだろうし、その為にどんな実験をするか、考えただけで恐ろしいんだけど」

「それは、その・・・・・・」


 具体的にどんな実験をしそうか言ってみせたら、明らかに狼狽えてみせるし。ああ、やっぱりその手の実験をやるつもりだったんだな。

 言っとくけど、流石にその手の実験を都市内にあるこの研究所でやるのはムリだよ。失敗した場合、最悪都市そのものが跡形もなく消え去る、程度の被害で済むかも判らないんだから。


「俺たちなら、その危険な実験が出来る環境を提供できるけど?」

「それは・・・・・・。是非ともお願いするわ」


 はい即決。


「それじゃあ、早速行きましょうか」

「いや、まずは必要な荷物を揃えないといけないだろうに・・・・・・。荷物を纏めて、城に来てくれれば良いよ。俺たちは先に戻ってみんなに話しておくから、準備が出来たら何時でも来てくれていいから」


 なにか、相手をしていて疲れるタイプの人だよ。これから仲間に加わるとなると、少し不安があるけど、目を話しておくと危険な人っぽいから、諦めるしかないね。


「なにか、想いもしない展開になりましたね・・・・・・」

「確かにね」


 本当に想定外だよ。冒険者ギルドに行ったら、イキナリ指名依頼なんて珍しいモノが出てて、受けてみたら依頼主が転生者だったとか、どんな確率だよ。


「まあでも、今回は助かったよ。あの手のタイプのマッドサイエンティストは、放っておくと何をやらかすか判らないから」

「そうなんですか?」


 そうなんですよ。ある意味、一番危険なタイプの人種なんだよ。自分の興味のあること以外には全く関心を持たないし、堅強のためならどんな危険も厭わないからね。

 実験に失敗して研究棟が爆発しても、気にも留めずに何がいけなかったのかとか、失敗の原因を調べて、次の実験は失敗しない様にしなけゃいけないなくらいにしか思わないんだよ。


「まあそれはともかく、早くも戻ってみんなに説明しよう」


 かなり強烈に人物だし、何気にミランダを超えて最年長になる訳だしねあの人。上手くやってくれるといいんだけど。


「あら、何処に行っていたの?」


 なんて思いながら転移して戻ったら、ちょうどシオンが居た。どうやら、修行を終えて一休みしている途中みたいだ。


「チョット冒険者ギルドにね。そこで指名依頼が出てたから、オモシロそうだから受けて見て来たところだよ」

「指名依頼? 誰から?」

「リリアーナさん。知ってよね」

「あのリリアーナさん。うんこの国じゃあ有名人よ」

「彼女の研究に、グランデューユの天核が必要らしくてね。俺なら持っているんじゃないかった思ったらしい」

「成程ね。それにしても、グランデューユの天核が必要な研究なんて、どんなモノかしら?」

「それも聞いて来たよ。その結果、彼女が転生者なのが判った」

「・・・・・・・はい?」


 ここで会話が途切れる。流石に想定外だったのか、シオンは完全に止まってしまっている。


「それ本当?」

「本当。彼女も俺たちの仲間になったから、これからは一緒に旅する事になるよ」

「研究以外に興味を持たないあの人が、良く承知したね?」

「だからこそ、無理やりにでも仲間になってもらったて言えるんだけどね。あの人は、1人にしておくには危険すぎるよ」

「ああ、それはそうかも・・・・・・」


 傍から見たら、俺たちも危険人物の集まりみたいなものだろうけどね。だからこそ、ある意味じゃあ毒を以て毒を制す?

 どうでも良いけど、これからは更に騒がしくなりそうだよ。


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