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「それで、アスカさんはこれからどうするんですか?」

「俺は暫くは此処に留まって、眠っていた6万年の間の歴史をまず調べるつもりだよ。その後は、しばらくは気楽に打をさせてもらうつもりだ」


 フム。どうやら彼は俺たちと一緒に来るつもりはないみたいだ。

 正直助かるよ。どうもこのアスカ氏は俺にとって天敵みたいだし。

 それに、下手に一緒に居ると彼が巻き起こす騒動に巻き込まれそうな気がするし・・・・・・。

 アスカ氏には是非とも、1人で気楽に旅をしてあっちこっちで騒動を引き起こして、俺の知らない所で注目の的になってもらいたい。


「あの遺跡の品はどうするんですか?」

「アレは元々、10万年前の転生者がキミたちに残した物だからな。キミたちの好きにすればいいさ」


 当然だけども、戻って来る前にあの遺跡に集められている10万年前の遺産を確認して来たけど、うん。凶悪過ぎる兵器のオンパレードだったよ。

 出来れば、使わずに済むと嬉しいんだけども、多分、これからの戦いに確実に必要になって来るんだろうな。

 まあ、それでも余程の事がない限り封印でと、集められているモノの凶悪さにドン引きしていたみんなと満場一致で決定したよ。


「それなら、しばらくは今のまま封印で、今はまだ外に出すのは早過ぎますから」

「そうか? どの道いずれは必要になるんだし、今の内に慣れといた方が良いと思うがな」 


 それはある意味で正論なんだけどね、いくらなんでもアレは衝撃が強過ぎるからね。もう少しマシなのから徐々に慣れて行く感じで。


 と言うか、やっぱりこの人、目的のためには手段を択ばないタイプだよ。


 人工冬眠で6万年も生き永らえた時点で判っていた事だけどね。

 ある意味で一番シャレにならないタイプだよねこの人。

 多分、この人の目的は10万年周期の戦いに参加する事ではなく、10万年周期の戦いを終わらせる事。

 そのためならどんな犠牲も、どんな事も躊躇わない。

 自分の行動が社会にどんな混乱を与えても、一切気にしないし、むしろ必要と思ったらどんな混乱も進んで引く起こすよねこの人。

 ・・・・・・なんだろう。とんでもない人の眠りを覚ましてしまった気がするよ。

 

「何か、失礼なこと考えてないか?」

「いや別に、ただ、目的のためには手段を択ばなそうな人だなと」

 

 こういうタイプの人を、ストッパーも付けずに一人にするのはもの凄く危険な気もするけど、まあ、多分だけど目的の、10万年周期の戦いが始まるまではそんなにムチャもしないと思うというか、思いたい・・・・・・。


「それは間違いないね。同じ転生者仲間からのも良く言われたよ」

「他にも転生者がいたんですか?」

「ああ、6万年、俺と同じ時代には、他に11人の転生者がいたよ。因みに、その1人が俺の奥さんだ」

「「「「「「はいっ!!??」」」」」」


 これにはみんな驚いたよ。

 でも、ティリアたち子孫が残っているんだから、当然だけど結婚していた訳だし、その相手が転生者でもおかしくないか。


「アメリア・ティル・ラント・ベルゼリア。本当に良い女だったよ。そして、今なおアイツの名が残っているのは嬉しい限りだ」

「アメリア様ですか・・・・・・」


 なんと、ベルゼリアの国名のルーツは建国王の妃。国母に由来していたとは驚きだ。


「アスカ様、もっとアメリア様の事をお聞かせ願えませんか?」

「構わないぜ。でもその前に、アベル、オマエたちはこれからどうするんだ?」

「俺たちは旅を続けますよ。まだ、全ての種族の国を回り終えていないですし」


 世界中を旅して周るんだから、時間がかかるのは当然なんだけども、行く先々で厄介事が待ち受けているのは、本気でどうにかして欲しい。


「おお、世界巡りの旅か。うん。懐かしいな。俺も200年くらいかけて世界中をくまなく回ったよ」


 200年かけたんかいと突っ込みたい。


「発掘済みの遺跡でも、まだ回り切れていないモノも多いですし、これからは発掘されていない遺跡も調査しないといけませんから」

「確かに、何処に何があるのか判らないんじゃ意味がないからな」


 今までに確認できただけども、とんでもない量の遺産が確認できているけど、それだけじゃあ全然足りないんだろう。

 正直、10万年前の転生者たちが残してくれた遺産に頼り切るんじゃなくて、少しは自分たちで用意できないのかとか思わなくもないけど、今のままじゃどうやってもムリだし。

 戦いが長引けば、いずれは遺産も底をついてきて、自分たちで新たに造らなければならなくなってくるんだろうけど、それまでに、例えばヒュペリオンクラスの兵器を造れる能力を取得できるかがかなりの問題だよね。

 いざ必要となった時に、用意できないんじゅ意味がないし・・・・・・。

 詰る所、これからはジエンドクラスを目指して力をつけていく傍ら、魔工学や錬金術の高度な技術も取得していかないといけない訳だ。

 正直、かなりメンドクサイというか、死ぬほど大変だと思うんだけど・・・・・・。

 俺としては、出来れば魔工学や錬金術の修行に専念したいところだよ。

 だけど、それを極めるためにはまずはジエンドクラスに至らないと話にならないんだよな・・・・・・。

 生産職を極めるためには強くならければならない、個の不条理は本気でどうにかにならないモノかね。

 最高の生産職になるためには、最強の戦闘職にならないといけないのは本気でどうかと思うよ。

 しかも、そこまでの実力があるのに生産職として引き籠っているとか、周りが許さないからまず無理だし。


「とりあえず、オマエたちは暫くは世界中を旅して、戦いの準備をしながら、旅を楽しむって所か」

「そうなりますね。世界の命運を賭けた戦い何かに巻き込まれてしまった以上は、自分たちのためにもやれるだけはやりますけど、その前にまずは存分に楽しませてもらいますよ」


 これについては、何を遊んでいるんだとか文句を言われる筋合いはない、この世界を目一杯楽しめば、それだけこの世界への愛着も出て来る。

 要するに、俺たちは今、戦いに向けてモチベーションを上げている訳だよ。

 この世界の事をどうでも良いと思っていたんじゃあ戦いに身も入らないからね。

 どうやっても命懸けの戦いを避けられないなら、少しでも戦う意思を高めておいた方が良いに決まっているってね。


「それが良い。因みに、俺は鬼人の国が一番気に入ったよ。ヤッパリ元日本人だからだろうけど、あの国には結局600年近く滞在したよ」

「600年ですか・・・・・・」

「まあ通算でだけどな。国をつくった後、300年くらい王として国を治めて、ある程度統治が安定してから息子に王位を譲って、引退した後の夫婦の隠居先にさせてもらったんだよ」


 成程。そこでしばらくゆっくりと夫婦水入らずの暮らしを楽しんだ訳だね。

 外見が20代半ばにしか見えないから、隠居生活と言うには違和感があるけど、それこそ、この世界じゃ今更だし。

 そもそも、アスカ氏の場合、ジエンドクラスにまで至っている訳だから、寿命は1万年近くとかになっている訳だよね?

 ふと気になったんだけど、彼って今何歳なんだろう?


「あの、アスカ様は今おいくつなのですか?」

「俺か? 大体2000歳てところだな、正確な年齢忘れた」


 2000歳か、すると人生の4分の1以上を、鬼人の国アシュラで過ごしたんだな彼は。そこまで気にいったのか、これは、行くのが今から楽しみだな。


「てっ俺の話は良いんだよ。それよりアベル。まだしばらくは気楽な旅を続けると良いけど、その前に、俺と模擬戦をするぞ」

「はい?」


 何故にそうなるかね?

 出来ればじゃなくて、全力でゴメンこうむりたいんだけど。



「さあ行くぞ」

「胸をお借りします」


 何故にこうなるかね?

 俺としては絶対にイヤだったんだけども、有無も言わさず強制的に戦う羽目になってしまったよ。

 しかも、戦うのは何故か俺だけ。他にも転生者はザッシュとか沢山いるんだから、彼等とも模擬戦をしてみたらと言ったら、「こいつらはまだ力不足だから」の一言で却下されたし。

 

 本気で勘弁して欲しいんだけど・・・・・・。

 模擬戦と言いながら、相対するアスカ氏の殺気と重圧が本気でシャレになってないし・・・・・。

 ジエンドクラスの魔物とは、ベルハウゼルを駆ってだけどもかなりの回数戦っているけど、生身で感じるその重圧は比較にならない程に激烈だよ。

 と言うかアスカ氏、まさかとは思うけど本気じゃないよね?

 いや、レジェンドクラスに至る前の修行で、俺と相対した時のミランダたちとかがまさに同じ思いだったんだろうけどさ。


「思ったよりも余裕だな」

「ベルハウゼル。空中要塞越しではあっても、相当数のジエンドクラスの魔物と相対しましたから」


 本来な倒せるハズもない相手に、遺産の力で何とか勝利をもぎ取り続けたんだよ。

 あの時のギリギリさに比べれば、今はまだマシかな?


「そうか、なら俺も遠慮なく行くぞ」


 出来れば遠慮してください。

 なんて思う間もなくアスカ氏の姿が消える。

 瞬間、感じた悪寒に防御障壁を最大出力で展開しつつ、右に全力で飛ぶ。


「良い反応だ」


 その言葉と共に、気が付いたら防御障壁が粉々に砕かれている。

 それだけじゃない。もしも瞬時に右に動いていなかったら、今の攻撃は防御障壁を砕いただけでなく、そのまま俺の首を斬り裂いていた。


「だけど、防御障壁を砕かれてしまったのは減点だな。避けるのなら完全に避けないと」


 冗談はよして欲しい。今の攻撃を避けられたのは完全に偶然だ。あんなものを運や偶然でも無く完璧に避けきって見せるなんて絶対にムリだよ。


「ほら、次を行くぞ」


 だから待って欲しい。そんな制止の言葉を紡ぐ暇もなく、次々と放たれる攻撃を辛うじて避け続けて行く。

 避けるしかなんだよ!!!。

 防御障壁で防ぐなんて絶対に不可能。全魔力を込めた防御障壁が、まるで紙切れの様にアッサリと切り裂かれてしまう。

 つまり、死にたくなければ避けるしかない。 

 避けられなければ、真っ二つに切り裂かれて即死だよ。


 だから止めて、俺の必死の願いは届く事なく、アベル氏による模擬戦は永遠と続いた・・・・・・。




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