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 さて、蘇生魔法を教えて、活性化の戦死者のうち生き返らせる事が出来る人たちを生き返らせる事で、本来の目的も無事に終了した。

 本来の目的とは何かといえば、遺跡にあったさらに危険な魔法の存在の隠匿だ。

 あれはヤバイ。

 いったい何を考えてこんな魔法の術式を残したのか、完全に理解不能だ。

 死者蘇生魔法から派生する可能性のある生命創生魔法よりもさらに危険な魔法、その術式があの遺跡には溢れ返っていた。

 中には、縮退対消滅砲を魔法で再現する術式もあったくらいだ。

 いったい、そんな魔法をどこで使うというのだ?

 そんな魔法術式の中でも、特に頭を悩ませたのが次元転移魔法の術式だ。しかも、ご丁寧に地球の転移座標術式まであった。


 そう、つまりそれを使えば地球に行く事も可能なのだ。


 コレについては本気で頭を抱えたよ。

 一体どうしろと言うのだ本気で?

 俺がこの世界に転移して来たのであれば、この魔法の存在に狂喜乱舞しただろう。

 しかし、俺はこの世界に転生してきている。つまり、地球での俺は既に死んでいるのだ。

 勿論、地球に、元の家族などに未練がないかと言えばウソになる。だけども、既に死んでしまっている以上はどうしようもないのも事実だ。

 今更、地球に戻ってどうする?

 だけど、俺だけじゃなくサナやザッシュたち、他の転生者たちもこの魔法を知れば心を揺さぶられるだろう。

 地球に帰りたい、その想い、願いは潜在的に確実に彼らの中にあるのだから。


「それにしても次元転移か、これさえあれば根源的な問題の解決すら可能かも知れないんだよな」


 そして、なによりも問題なのは、この魔法は魔物の脅威からの解放も可能にしえる可能性がある事だ。

 別の次元の何処か、居住可能な惑星に入植してしまえば、魔物の脅威に晒される事はなくなる。

 魔物の侵攻と言う脅威に晒され続けているネーゼリアを捨て、新たな新天地を異世界に、別次元に求めれば、魔物に怯える事のない平和な日常が手に入る。

 勿論、それもあくまでも可能性としてはの話だ。

 魔物が何故、このネーゼリアに侵攻して来るのか、その理由も判らない以上、仮に異世界に逃げても、その世界にも魔物の侵攻が及ぶ可能性もゼロではない。


「それでも、可能性としては・・・・・・」


 もっとも、この魔法と異世界への入植を提案しても、それが受け入れられるかは判らない。

 或いは、いゅう職はと反対派に分かれての激しい対立を引き起こしてしまう可能性もある。


「考えるだけ無駄だ。止めだ。止め」


 ハッキリ言ってこれは俺の手に余る。

 なにか、俺ばかり非常に危険な秘密やら何やらを抱え込み続けている気がするが、俺にだってどうしようもないんだよホントに。

 コレについてはこのまま厳重に封印しておくとしよう。後になって文句は言わせない。責任を俺に押し付けたのは皆なのだから、俺がどう判断したかに文句を言われる筋合いはない。

 魔法の事を黙っていたのが許せないと言うのなら、はじめから俺に任せないで自分で遺跡の調査をしていれば良かったのだ。

 

 そんな訳で危険極まりない魔法の事は忘れて、次の遺跡の調査をするとしよう。

 次は次で厄介なモノが出て来そうな気もするが、調査をしない訳にもいかないのだから仕方がない。

 次の遺跡は海底にある。

 うん。毎度おなじみの海の底に沈んだパターンだよ。

 因みにだけど、ゲヘナの海に面している部分はかなり小さい。まあそれでも、海岸線が3000キロくらいは続くんだけどもね。それといくつかの島もゲヘナの領土になっている。 

 島の大きさは小さい物でも日本の本州くらいあったりするんだけどね。 

 そんな島の中に、10万年前に何らかの施設が造られていたのだけども、これまた何時もの如く島ごと沈んだ訳だ。

 沈んだと言うか、10万年前の転生者が沈めたんじゃないかと思うけどね。

 だっていくら何でもどれもこれも都合良く沈み過ぎだ。

 10万年も経っているとは言え、何故に遺跡のある島ばかりそう都合良く沈むよ?

 まあ、その辺りの真偽はどうでも良いけどね。

 とりあえず、何時もの様に海底探査。

 なのだけども、珍しい魚に目が移ってしまう。

 特に目を引くのが10メートル近い巨大なアンコウ。アレは確かゲヘナでも特に珍重されている魚では?

 余りの巨大さに魔物の様に思われるけど、実はこの世界の普通の魚だ。しかし、その身の美味さは高位の魔物の肉に比べて遜色ないどころか、勝るとも劣らない。特にアンキモは絶品で、Sクラスの魔物のモノをも上回ると言う。また、肝醤油で食べる刺身も絶品と聞く。

 うん。何か常軌を逸した魔法術式の所為でモヤモヤしてたところだし、ココは美味しく食べて気分転換させてもらいますか。 

 そんな訳で捕獲。

 頭に高圧電流を流し込んで感電死させてそのままアイテムボックスの中に、後でシッカリ解体して捌いてもらいましょう。

 当然だけど、電流は頭の部分だけにしか流してない。美味しい身を焼いてしまうような真似はしないよ。 続いて目に映るは巨大なハリセンボン。 

 うんデカいね。全身を覆うトゲトゲがまるで槍のようだよ。実際、ひとつ2メートル近くあるんじゃないかな?

 しかもあれは名刀の気配がするね。鉄板どころか戦車の装甲でも余裕で貫きそうだよ。

 ただ、あれも美味いらしい。極上のフグと思って良いそうだ。刺身にしても鍋にしても極上だとの事。

 そんな訳でであれも当然捕獲。 

 

 それにしても、魔物じゃないこの世界の魚なんだけども、どれもこれも物騒だな。

 まあ、魔物の脅威にさらされているのは何も人間だけじゃない。この世界に住むゆらゅる生命が、その脅威にさらされているのだから、対抗できるように強くなっていくのも当然なのだけど、さっきのハリセンボンなんてガチでAクラスの魔物くらい瞬殺しそうなんだけど。

 実際、俺が狙っているのを察知したと思ったら、いきなり超スピードで突っ込んできたし。

 アレは確実に時速800キロは出てたな。水中であの速度はないと思うんだが。

 因みに、試しに1本針を引き抜いてみたんだけども、予想通り見事な業物だったよ。あれなら余裕で戦車の装甲貫けるね。強度も相当なものだし、下手したら戦車どころか重装甲車の10センチ特殊複合装甲体すらも貫くかも。

 これまた因みに、補足情報だけども、10センチ特殊複合装甲体を貫くには、戦艦大和の主砲による一斉射くらいの火力が必要。


 いや、それにしても大漁だよ。美味しい魚料理を楽しめそうだ。


 てっ、まあ寄り道はここまでにして、そろそろ遺跡に向かうとしよう。

 遺跡があったのは海底5000メートル。本気で海の底だよ。

 見た感じは何かのドーム?

 野球のドーム球場みたいに見えるんだけどコレはいったい何の施設だ?

 とりあえずは中に入ってみれば分かるかということで正面入り口に行く。さすがに天井に入口があるなんてそんな事はないだろう。

 うん。来てみるとまさしく球場の正面入り口。観客の入場口みたいだね。これは本当に何の施設だったんだ?

 当然のようにそこにロックの解除のための端末もある。

 で、ロックの暗唱は日本人で初めてメジャーリーグのマウンドに立った投手は?

 何故にこの問?

 外観も併せてますます、野球のドームにしか思えなくなってきたんだけど・・・・・・。

 さすがにそれはあり得ないよな。ドーム球場をワザワザ封印する理由がないし。


「本気でなんなんだココは・・・・・・」


 疑問に思いながらも中に入る。

 中に入ると、いきなり売店があったりなんてことはない。

 科にあったのは巨大な半球体だ。ドームの中にもうひとつドームがあるような感じ。ただし、こっちは完全な球体型。

 なんだコレはと思いながら、とりあえず球体に沿って歩いてみる。

 どこかなこれについての情報があればいいのだけどと思っていると、入り口から反対側まで回ったところに情報端末というよりは制御パネルと思われるものがある。

 早速調べてみればこの遺跡のことがすぐに判った。


「地熱発電所?」


 どうやらここは地熱発電の施設らしい。

 それは判ったが、逆に判らない。ワザワザ地熱発電のための施設を封印する理由がない。勿論、それだけの施設だったらの話だけども。

 問題は、地熱で発電して何をていたかだろう。そもそも、このドームの周辺には送電設備らしいものはない。つまりは、此処で作られた電力は全て此処で消費されていた訳だ。しかもこの発電所、発電量がとんでもない。詳しく知っているわけじゃないけど、これは原発10基分の発電量に相当するぞ。

 それだけの電力を使っていったい何をしていたと?

 との答えはすぐに見つかった。


「タイムトラベルかよ・・・・・・」


 そう言えば、タイムトラベルのために核を使うとかの話もあったな。

 なんて現実逃避をしている場合じゃなさそうだ。いったい何のためにそんな研究をしていたのやら・・・・・・。

 この遺跡も本気でヤバイのは確定かな・・・・・・。


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