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「なんと、それは貴重な情報だ」

「そうですね。少なくてもこのゲヘナにおいては、あの遺跡のシステムを起動させれば、それだけで活性化の脅威をかなり低減できるハズです」


 魔域内部の遺跡から見つかった魔素吸収システムについて話を聞き、サタンは満足そうにしている。

 あの遺跡には、当然要塞としての兵装も十分に残されていて、魔素から変換した魔力エネルギーで強力な戦力として運用可能だ。

 魔素吸収システムも込みで考えれば、次回、活性化が起きた時にはベルハウゼルと同等以上の戦力として活用する事も可能だろう。


「ただし、あの遺跡に入るのには転生者の認証が必要ですが」

「そちらについては問題ない。むしろ、平時に不用意な混乱を起こす心配をしなくて助かる。それに、転生者についてはこの国にも幾人か確認できておるしな」

「ああ、やっぱり居ましたか」

「うむ。彼らにつしてもアベル殿にお任せして良いかな」

「構いませんよ。こちらからお願いするところでしたし」


 どうやら、魔人の転生者も既に何人か確認されているらしい。


「それにしても、転生者がいるなら、そちらで遺跡の調査をされても良かったのでは?」

「冗談は止してくれ。我は自分から爆弾に近付くほど愚かではないよ」


 なにかバッサリと言われてしまった。


「ベルハウゼルの戦いを見れば嫌でも判る。少なくても10万年前の遺産は、今の私たちの手には余るものだ。いずれは必要になるのは判っていても、迂闊に手を出すような愚を犯すつもりはない」

「いや、調査だけでもしていただけると、俺たちとしても楽なんですけど」


 別に手を出さなければ良いだけで、国内の何処に何があるのかの確認をしておくと思えば良いと思うんだけど。


「それこそ、そんな危険な事は出来んわ。どこでバカ共が暴走するとも限らんしな」


 どうしても、完全な一枚岩とはいかず、この国にもいくつかの派閥があるとの事。その中には下手に力を持つと暴走して、内乱を起こしかねない極端なバカも居るらしいので。気を付けないといけないらしい。


「本当なら、あんなバカどもはさっさと壊滅させてやりたいのだがな」


 今のところ特に問題らしい問題も起こしてないので、罰することも出来ないらしい。


「救いようのないバカと言うか、脳筋どもなのだが、今のところ力もないので大人しくしておるのでな、手出しも出来ぬのだよ。だが、逆に力を手にしたら何を仕出かすかも判らぬから始末に悪い」


 それならそれで、遺跡の情報をワザと流して、暴走させてしまえば良いのではとも思うが。


「それも良いかも知れんな」


 あらら、また、心の声が漏れてたよ。


「そもそも、そのバカたちは遺跡が転生者でなければ入れない事を知らないのでしょう。それなら、遺跡の場所だけをながしてしまえば良いのでわ」


 ベルハウゼルを元に戻した事だし、活性化で活躍して注目を浴びている空中要塞なのだから、それが眠っている場所を知ればすぐにでも動き出すと思う。


「成程、元に戻したばかりだからこそ、その場所について漏れても不自然ではないと言う事か」


 そういう事だな。

 こちらとしてもバカに下手に動かれると、余計な面倒事に巻き込まれそうだし、早々に始末してくれるとありがたかったりする。


「そうだな。かの者たちの事は早々に此方で始末をつけて置く事にしよう。アベル殿たちは遺跡の調査に集中してくれ。それと、転生者については1週間後に対面させようと思う」

「判りました。それではしばらくは調査に集中させてもらいます」


 ついでに1週間後のために、歓迎の料理も作っておかないとな。今回はスサノオの肉をメインで行くかな?

 勿論、ジエンドクラスの素材、食材も使う予定だけど。ドラゴンステーキとドラゴンシチューでもてなすかな。

 やっぱりドラゴンステーキはファンタジー系の定番メニューだし、喜ぶと思うしな。

 まあ、とりあえずは遺跡の調査が先だけど。

 さっさとしないと何時までかかるか判らないからな。まだ2つしか調べてない訳だし。

 

 そんな訳だからサッサと遺跡に行く。

 今回行くのは魔域の一歩手前にある。本当に魔域の淵ギリギリの所、後一歩で魔域に飲み込まれている場所だけど、辛うじて飲み込まれていない。

 のは良いんだけども、何か川が流れていて、その下らしいんだけど・・・・・・。

 因みに、川の幅は200メートル近くあって、水量もかなりのモノ。深さも大体30メートルくらいありそう。

 ただし、その下にある遺跡は更に500メートルくらい地下にありそうな感じ。

 これはまあ、普通に川のわきから地中に掘り進んで行って、そこから遺跡に向かって横のトンネルを掘って行くべきだ。

 そんな訳で、何時もの如く早速穴掘り。

 今回は500メートルと大した深さじゃないのでサクッと終わる。

 そんでもってロックを解除。

 魔法でゴリゴリ発掘しても、遺跡自体が強固な上、結界もあるから壊れる心配がないのは本当に助かる。

 これが地球の考古学の発掘みたいに、チマチマと少しずつ発掘して行く様なのだったらやってられないよ。


「でここは一体何の施設だったんだ? 防衛拠点だったにしては小さすぎるが・・・・・・」


 遺跡の地上部分は、1000平方メートル位の4階建て、ただし、地下の方はその10倍以上の広さがありそうだし、階数も多い。どうやら、地下25階まである模様。

 地下施設の広大さから考えると、ヤッパリ防衛拠点だったのかなとも思えるが、どうも違う様な気がする。

 なんだろう、軍事施設と言うよりは、役所の様な雰囲気がある遺跡なんだが・・・・・・。 

 例の10万年前の古文書には、この遺跡の場所は載っていても、何の施設だったかは書かれていないし、かつてこの遺跡を発掘した転生者も、此処がどんな施設だったかの情報は残していない。

 面倒だなと思いながらも、とりあえず正面入り口にすぐ傍にある端末から、出来る限りの情報を引き出していく。

 うん。なんでこの施設の階層情報とかがあるのに、この遺跡がなんなのかの情報がないかな?

 なんて思いながらデータをあさって行くとあった。最後の最後にここは魔道研究所だと記されている。

 魔道研究所。つまり新しい魔法の研究や、魔道具やマジックアイテムの研究開発をしていた所と。

 うん。危険な匂いがもの凄くする。

 現代では失われた魔法の術式が、此処には山のように残されている可能性がある上、どんな魔道具が研究されていたのやら・・・・・・。


「とりあえず、第1研究室とやらに行ってみるか」


 なお、研究室は第1から、第48まであるらしい。その全てを確認して周るのはかなり面倒臭いと言うか、大変なんだけど。

 まあそれもまず、第1研究室で何を研究していたか次第だ。

 もの凄く嫌な予感がするけどね。古文書に載せていない様な、危険な魔法の術式が封印されている気がビシビシする。

 まあ、危険な魔法だと判っていながら、術式を残したのだとしたら、それが必要だからだろうけど。

 と、なんて考えている内に第1研究室についたよ。

 ここの入り口も別にロックされている訳じゃないのでさっさと入る。

 かなりの広さの研究室には、何重にも防御障壁が展開されるようになっている。これは、間違いなく研究の失敗で爆発とかした時に、施設全体が破壊されたりしない様にするためのモノだな。

 本気で嫌な予感がして来たよ。 

 だってこの防御障壁。明らかにジエンドクラスの魔物攻撃にすら耐えられる強度だよ。しかもそれが何重にも展開されるようになっているんだよ。いったいどれだけの規模の爆発を想定しているんだよ。


「まあ、新しい術式の開発に、失敗は付き物なのは当然だけど・・・・・・」


 その失敗の規模がシャレになっていない気がする。

 いったいどんな魔法の研究をしたら、ジエンドクラスの魔物の攻撃を何回も防げるような防御障壁が必要になるんだよ。

 と言うか、ここまで厳重な結界を張っているって事は、実際にココまでしないとダメだった事件があったからだろ?

 つまり、防蟻障壁を突き破って施設そのものを爆破してしまうような事が実際にあったからこそ、ここまで厳重な防御障壁が展開されるようになった訳だ・・・・・・。

 考えれば考える程、恐ろしいんだけど。

 まあ良い、とりあえずは此処で研究されていた魔法だ。

 或いは魔道具かも知れないけど、いったいどんな研究がされていたんだ?

 俺は端末を開いて、研究内容を確認して行く。


「これは・・・・・・」


 そして、思わず言葉を失う。


「死者蘇生魔法・・・・・・」


 それは不可能とされている魔法。

 しかし、この研究結果が事実ならば、ある程度の制約はあるが、死者を生き返らせる事は可能だと言う。

 そう来たか・・・・・・。

 これはまた、大きな波乱を呼び起こしようだ。


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