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「またか」


 あれから、ファファルはすさまじい勢いでラグナメヒルを使いこなせし、圧倒的な戦果を上げている。

 おかげで俺の方はほぼジエンドクラスの魔物への警戒に集中できているんだが・・・・・・。

 

「魔域の中心部へ全速前進。転移集束過剰粒子砲用意」


 問題はジエンドクラスの魔物が幾度となく現れる事だ。

 今の所は、壱度に1匹ずつしか現れないので、姿を現した瞬間に転移集束過剰粒子砲で葬る事ができているが、もし複数匹が同時に現れたらどうなるか・・・・・・。



「転移集束過剰粒子砲発射」


 いや、なんとかなるか?

 ベルハウゼルとラグナメヒル、それに、俺とファファルにライオルがジエンドクラスの魔物に対抗する為の装機竜人に乗れば、同時に5匹までならばなんとか相手を出来るハズだ。

 

 実際の所、本当にそうなったら対応できるかかなり危ういんだけど・・・・・・。 

 現れた瞬間に倒せないと危険だ。

 ぶっちゃけ、1回でも相手に攻撃を許したらどんな事態を引き起こすか想像も付かない。

 それだけで魔国ゲヘナが消滅してしまう可能性も否定できないのだ。


 しかも、ジエンドクラスの魔物はこちらの世界に来た直後だろうと、攻撃に対して反応してみせやがるのだから始末に悪い。

 今回は何とこちらの攻撃を跳ね返してきやがった。

 その可能性も視野に入れていたので、慌てる事無く再度跳ね返して直撃させる事ができたけど・・・・・・。

 一歩間違えれば自分たちの攻撃で死ぬところだったよ。


「しばらくは此処で様子を見る。周囲の敵を殲滅しつつ、魔域中枢の監視を怠るな」

「了解しました」


 しかし、本気で俺たちも装機竜人を使う事を前提として準備を進めておいた方が良いな。

 ジエンドクラスの魔物に対抗ししえる装機竜人。

 要するに10万年前の転生者が専用機として造り上げてスペシャル機の事。

 ある意味、完全に趣味のための機体でしかないのだけども、その性能は折り紙付き。パイロットにレジェンドクラスの実力があれば、後は機体性能を完全に引き出せれば、理論上はΩクラスの魔物ですら倒しえるそうだ。

 ただし、ぶっつけ本番でどこまで使いこなせるかは判らないし、その上、俺もファファルも試運転なんかしている暇はない。

 と言うか、うちの方は要塞の指揮をミランダに任せればいいとして、ラグナメヒルの方はファファル以外の誰が指揮するんだ?

 実際の所、ファファルは要塞で指揮に専念するしかないかも知れない。

 そうなると、装機竜人に乗り込めるのは俺とライオルだけ、それでも何とかジエンドクラスの魔物四匹までなら対抗出来る事になるけど、実際はどうだか・・・・・・。


「魔域中枢に高魔力反応。ただし、ジエンドクラスのモノではありません。これはヤマタノオロチ・スサノオのモノと思われます」


 スサノオが出てきたか、何かもう感覚的にザコみたいな雰囲気になってきているけど、コイツは転移も使えるし、その攻撃の破壊力も桁外れだ。

 早々に殲滅しなければ、どれだけの被害が出るか判らない。


「反応から見て相当数が現れると思われます」

「サタン殿とファファルにも警告を出せ。数によっては突破される可能性もある」


 最悪な事に、魔域中枢部では俺たちは転移が出来ないのに、高位の魔物は転移が使えるのだ。

 ふざけるなと言いたいが、出現と同時に殲滅できなければ、転移でどこに行くか判らないという最悪な卑怯さだったりする。

 ファファルならば、スサノオにも余裕で対応できるだろうけど、問題は魔王軍の方だ。残念だけどグングニールではスサノオに対抗しえない。

 詰まる所、魔王軍にはスサノオに対抗しうる手段がないのだ。もし、彼等の所に転移されたら一方的に蹂躙される事になるし、都市部に向けで攻撃でもされたら防ぐ手立てもない。

 その意味でも、本当に綱渡りに等しい戦いを余儀なくされているよ。

 これまで、都市部に被害を出さず、こちらの部隊の犠牲も最低限に抑えられてきたのは、本当にただの奇跡でしかない。

 今回の活性化の規模と、ジエンドクラスの魔物までが現れている事を考えれば、既に複数の防衛都市が陥落し、こちらの部隊の犠牲も数十万を超えていたとしてもおかしくはない。

 いや、それだけの被害がてていても、これまで戦い続けて来ただけで戦果としては十分過ぎるだろう。現実に既に全滅していない方がおかしいような状況だ。


「魔域中枢部に突入。スサノオを撃破する」


 どれだけの数が現れるか判らないが、可能な限り殲滅する。

 しかし、こちらの行く手を遮るかの様にレジェンドクラスの魔物が襲い掛かってくる。

 なにかもう感覚がおかしくなって来てしまっている。

 レジェンドクラスの魔物は、生身なら俺が全力で戦って何とか倒せる相手のハズだ。それがもうザコのような状況だ。

 実際、ベルハウゼルとラグナメヒル、それにグングニール隊でどれだけの数のレジェンドクラスの魔物を討伐したか・・・・・・。

 既に数十万を超えているな。下手をしたら100万に達しているかも知れない。

 ヤマタノオロチ・スサノオなんて、そもそも俺よりもはるかに強い魔物なので、前回倒せたのは奇跡でしかない相手なのに、これまた段々とザコ化している。

 いや、その認識は危険だな。

 1匹で今の戦局を根底から覆しかねない凶悪な相手なのだ。

 1匹取り逃がしただけで、何十万、何百万人の犠牲者が出るか判らないのだから。


「魔力反応増大」

「出現と同時に仕留める。今だ撃て」


 実際に姿を現したのを確認してから攻撃したんじゃあ遅い。

 それだと逃げらたり避けられたりする可能性が高いので、現れるタイミングを予測して現れた瞬間に砲撃が到達するようにしないといけない。

 ・・・・・・それでも、ジエンドクラスの魔物は反応して来るんだけどね。

 回避はおろか反応も不可能なハズの攻撃に平然と対応して来るんだから恐ろしい。

 流石にスサノオの方はそこまでの反応は見せないので次々と撃破されていく。

 だが、何かがおかしい。何か違和感を感じる。


「更に高魔力反応」

「ヤッパリか」


 予想はしていたが、スサノオは囮でしかなかったようだ。次に出て来るのが本命と。

 しかし、今はこちらも現れたスサノオが行動を起こす前に殲滅するので手一杯だ。いったい何匹いるんだ? 既に50匹以上は倒しているハズだぞ。 


「魔力反応から現れるのはヤマタノオロチ・スサノオと推定されます」


 次に何が出て来るかと思ったら、スサノオの団体さんの連続かよ。

 しかしマズいな、次に出て来るスサノオに出現と同時に転移でもつれたら、確実に対処しきれないぞ。


「ファファルに打電。転移したスサノオはソチラに任せると伝えろ」


 出来る限り倒すつもりだが、どれだけ出現して来るかにもよるが、今回と同じ数が現れたら確実に10匹近くは撃つ洩らすだろう。


「魔力反応増大。ヤマタノオロチ・スサノオの第2陣来ます」

「一斉射だ。確実に仕留めろ」


 これでどれだけ倒せるかで、この先の戦局が大きく変わってくる。

 持てる限りの火力を集中して現れたスサノオを殲滅して行くが、やはり倒しきれない。

 第2陣として現れたスサノオの数は凡そ100。その内90近くは倒せたが、倒しきれなかった10数匹が次の瞬間転移で姿を消す。


「スサノオの転移位置を調べろ」


 出来れば、俺たちも転移したスサノオを倒しに行きたいが、問題はこのまま終わってくれるかだ。

 どうにも、このスサノオの連続出現すら、唯の前座に過ぎない気がする。


「ベルハウゼルはこの場に固定。転移集束過剰粒子砲用意」

「ヤマタノオロチ・スサノオを討伐に行かないのですか?」

「このまま終わるとは思えない。次に備えて此処で様子を見る」


 転移したスサノオはファファルに任せよう。転移座標さえ判れば、ワーム・デバイスを使った転移砲撃で一網打尽にすることも出来るハズだ。


「高魔力反応を確認。ジエンドクラスの魔物が来ます」


 次に状況が動いたのはそれから20秒ほどしてから、やはり来たかとの思いと共に、その時間があれば俺たちもスサノオの討伐に動けたのではとの後悔も押し寄せる。 

 スサノオの方はファファルが無事に討伐したが、やはり相応の被害を出す事になった。

 これで活性化による死者は1万人を超えた。

 はじめから犠牲もなく乗り越えるだなんて思ってなかったが、それでも1万人もの死者が出た事に無関心ではいられない。

 戦いに犠牲はつきものなのだから、それを割り切れないあたり、俺は指揮官に向いていないし、未だに地球の常識や価値観に囚われている証拠だろう。


「更に高魔力反応」

「今はひとつめの反応に集中しろ。今だ転移集束過剰粒子砲発射」


 連続してジエンドクラスの魔物が出現かよ。


「同時に魔力反応に向けて全速前進」


 このタイミングじゃあ、次に出て来るジエンドクラスの魔物を出現と同時に転移集束過剰粒子砲で仕留めるのはムリだ。

 かと言って、ブラックホール・キャノンや縮退対消滅砲は使えないし、他の兵装じゃあジエンドクラスの魔物は倒せない。

 ならば、ベルハウゼルその物を武器とするだけだ。


「防蟻フィールド最大展開。グラビティ・バーストを要塞前方に集束展開」


 転移集束過剰粒子砲の一撃が、無事にジエンドクラスの魔物を倒したのを確認しながら、要塞を次に現れるジエンドクラスの魔物に突っ込ませる。

 要塞による突撃攻撃だ。

 突き進む先に巨大な漆黒の狼が現れる。体長は100キロを超えているだろうか、ダーク・フェンリルとでもいうのだろうか? 

 終末の獣か、だけど、何もさせるつもりはない。

 時速30万キロの速さで、ベルハウゼルは弾丸となってダーク・フェンリルに激突する。

 敵の防蟻障壁とベルハウゼルの防御フィールドがぶつかり合い、打ち砕く。そして、要塞前方に集束展開したグラビティ・バーストがダーク・フェンリルを貫く。

 集束展開した事によって、2万Gにまで高められた重力域は弾丸となってダーク・フェンリルを貫く。そして、ベルハウゼルがその首を貫き落とす。

 巨大な狼の頭が宙を舞い。ダーク・フェンリルの巨体が力を失い崩れ落ちていく。


「集束グラビティ・バースト解除ダーク・フェンリルの素材を回収後、直ちに魔域中枢部より離脱する」


 無傷でとは言えないが、今回も何とか乗り越えられたようだ。


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