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 そろそろまた何か起きるだろうと思ってはいたけど、流石にコレはないんじゃないかな?

 まさかこうも早くスサノオと再会する事になるとは思わなかったよ。

 ヤマタノオロチ・スサノオ。ジエンドクラス匹敵する力を持つヒュドラ系の最上位種。

 8本の首と頭を持ち、全て同時に切り裂き、破壊しない限り、いくらでも再生する凶悪な再生能力を誇る魔物。それが目の前にざっと50匹ほど。

 1匹が10キロを超える巨体。つまり、ベルハウゼルと変わらない大きさの魔物が、なんと50匹。

 なにかもう、大きさとかの感覚がおかしくなりそうだ。


「どうやら、この前戦ったスサノオはザコも良い所だったようだな」


 50を超えるスサノオなんだけども、その実力はこの前戦ったのとは比較にならない。

 と言うより、魔域の意思によって明確な戦略の下、一死乱さぬ陣列を持って臨んで来るので、力任せに暴れていただけの前回とは比較にならない脅威なのだ。

 こちらの砲撃を転移で避けたりとか、前衛と後衛に分かれて、前衛がかく乱している内に、後衛がブレスの一斉射を仕掛けてきたりとか、こちらが攻撃しずらい位置取りをしたりと、本気で面倒臭い。

 しかも、スサノオの相手をしながら、これまで通りに転移攻撃への対応もしないといけないのでほんとにカンベンして欲しいくらいタイヘンなんだけど。


「ワーム・ミサイルの時空変動率を修正して装填、要塞周辺に掃射し時空線を一時不安定にして、敵の転移を阻害するその隙にスサノオを一掃するぞ」


 転移封じを起動させても良いんだけどね。

 それだと俺たちに集中している転移攻撃が他の戦域に散ってしまうからな。それなら、一時的に時空線を不安定にして敵のの転移を封じる方が良い。ついでに、その間此方に転移しようとして魔物が、転移に失敗して次元断層に墜ちてくれるかもしれないし。


「主砲斉射。確実にスサノオを仕留めろ」


 と言うかその巨体が邪魔だよ。倒してもその巨体がそのまま残っているとそれだけで巨大な壁となって此方の攻撃を遮るのだから始末に負えない。

 そんな訳けだから、倒したスサノオはミランダに回収してもらっている。

 射線を確保するために仕方がない面もあるし、今回の戦いはほとんどの魔物を、ベルハウゼルで跡形もなく消し飛ばしているから、出費ばかり嵩んで完全な赤字だから、少しでも回収しておきたいっていうのもある。

 それに、スサノオの素材は超貴重品だしね。

 結構危険な仕事だけど、ミランダはグングニールに乗って喜々として回収している。


「ワーム・ミサイルによる時空線の歪み、集束しました。敵の転移攻撃が再開されると思われます」

「迎撃準備。及び微速前進。戦域の魔物を一掃せよ」


 それにしても、いったい魔物てっどれだけの数が居るんだ?

 そもそも、スサノオなんかは10キロを超える巨体だし、ジエンドクラスの魔物魔物になると更に大きい、数百キロを超える大きさの魔物すら珍しくないって話だ。

 そんな魔物が数え切れない程に生息している魔物の世界って、いったいどれだけの大きさがあるんだ?

 少なくても、ネーゼリアよりはるかに広大なのは確実だろう。それこそ、恒星並みの広さがあっても不思議じゃない。

 いやもっと広大じゃないとおかしいか。

 だって魔物をいくら倒しても絶滅しやがらない。

 億や兆の単位くらいしかいないのなら、もうとっくに魔物を絶滅させているハズだ。

 京や垓の単位でもすでに絶滅させていてもおかしくない。

 それこそ、本当にゲームの様に無限にいるとでもいうのだろうか?

 

 いや、そもそも、魔物が普通の生物の様に誕生するかどうかも判らないんだけどね?


 例えば、ゴブリンやオークなんて定番のモンスター。

 地球のファンタジーじゃあ女性を襲って子どもを産ませるなんて話が合ったけど、この世界じゃあ殺戮対象としか見ていなくて、見付けた瞬間に殺しに来るし、人間が魔物の子供を産んだなんて事例はこれまで一度も確認されていない。

 そもそも、魔物の子供というもの目撃された事が一度も無い。

 そう考えると、魔物とはそもそも生殖して増えるのではなく、魔物の世界で無尽蔵に生み出される存在なのかも知れない。

 或いは、その世界そのものが魔物を生み出している可能性もある。


 まあ、どちらにしろ確かめる方法はないから考えるだけ無意味なんだけどね。


 とりあえず、ひとところに留まっていても転移攻撃の良い的だから、ある程度動こうとかじゃなくて、いい加減うっとおしくなってきたから少し派手に活かせてもらう。

 単なるストレス発散とも言う。


「ワーム・デバイス展開。主砲斉射」


 ワーム・デバイスとは、その名の通り時空の六食い穴を造り出すシステムだ。

 これに向かって主砲を撃ち込むと、放たれた砲撃は当然その中に飲み込まれる。そして、指定されたポイントから飛び出てくる訳だ。

 転移砲撃とでもいうべき、反則以外のなにものでもない攻撃が出来る訳だ。

 まあ、この手の攻撃は割と珍しくもないけどね。俺も魔法で同じ事できるし。

 それに、コレの利点はそれだけじゃない。

 

「ワーム・ゲートの設定をフル・ダイレクト・モードに移行。総司令部に入電、ベルハウゼルはこれより全領域への一斉攻撃を行い。ただし、この攻撃は魔物の実を標的にし、味方機を巻き込む事はないので、気にせず作戦を続行するように」


 コレの最大の利点は、複数の砲撃を一つに収束する事も拡散させる事も可能な事だ。

 つまり、1万の砲撃を一つに纏め上げる事も可能と言う事。数十万の砲撃に分散させる事も可能と言う事。しかも、攻撃地点は自由自在に設定できる。

 例えば、砲撃の単位先を上空に設定し、シャワーの様に降り注ぐ形にした上で、予測演算によるマルチロックオンシステムで全ての砲撃を魔物に照準を固定してしまえば、それは最早回避不能な子の閃光のシャワー。想像を絶する広範囲の魔物を一掃する事が可能なのだ。

 しかもこの攻撃は、敵にだけ攻撃集中させる事が可能で、範囲内に味方が居ても問題ないと来た。

 そんな訳で、


「拡散ワーム・ブラスト発射」


 本気で全ての魔物を一掃する勢いで殲滅させてもらう。

 1回の攻撃で2万平方キロメートル内の魔物が一掃される。まあ、ES+ランク以上の魔物は何とか耐えていたりもするみたいだけど、ほとんどすべての魔力を込めた防御障壁で辛うじて相殺って感じだから、生き残ってもすぐにやられるんだけどね

 本気で反則以外のなにものでもないよなこれ。

 実際、連続して放たれる天からの破壊のシャワーによって、僅かな時間で100億を超える魔物が一掃され、戦場に空白が生まれている。

 ただし、いくらベルハウゼルでもこの攻撃をそう長くは続けられない。連続掃射回数は50が限度だ。

 それ以上はワーム・デバイスが持たない。

 更に言えば、攻撃エネルギーを魔物にだけ集中させ、周辺地理や周辺の魔味方にに影響を出ない様に設定もしているため、その分も合わせて当然だけどもとんでもないエネルギーを必要とする。この攻撃でジエンドクラスの魔石1つつの魔力を使い切った。

 と言うか、活性化が始まってからで、既に10を超えるジエンドクラス魔石を消費している。

 遺跡から見つかった魔石がそれこそ星の数ほどあるとはいえ、まだカグヤの封印が破られる、本当の危機に至ってもいないのにこんなペースで消費していたんじゃあ、本当に必要な時に必要な数がなくなってしまいかねない。

 いや、最悪、カグヤの封印が破られる前に使い切ってしまう可能性だってある。

 そうなった時、それまでとは比較にならない程の魔物の侵攻に対して、俺たちには対抗手段が何一つ残されていない事になる。

 そもそも、動力であるジエンドクラス魔石がなければ、ベルハウゼルもヒュペリオンも動きはしないのだから。

 いや、ヒュペリオンは魔素を取り込んで自然と動力の魔力を回復させるので大丈夫だけども、同様の機能を持った物なんて限られている。

 ベルハウゼルにしても、2基ブラックホール・エンジンを搭載しているけど、それはあくまで特殊兵器の専用機関みたいなものだし。まあ、通常戦闘ならその2つの無限動力機関からのエネルギーで十分対応可能なんだけども、今回みたいな全力戦闘には出力が足りない。なので、どうしても魔石からのエネルギー供給が必要になる。

 

 これは、本格的に対策を考えた方が良いかも知れないな。

 いや、魔晶石化して、レジェンドクラスが魔力を込めて行けば、魔力を使い切った魔石を回復させる事も可能なんだけどね。

 俺を含めて現在レジェンドクラスは7人。何ヶ月かければジエンドクラス魔石のまりを苦を一杯に出来る事やら?

 ・・・・・・イヤ、何年か?

 消耗スピードに対して、回復スピードが明らかに追いついていないだろうけど、やらないよりはマシかな。


「ワーム・デバイスを収納。魔域内部、GR78からIS5・8に対消滅砲爆雷を発射。発射後即座に転移する」


 それじゃあ、そろそろ前進した分を下がりますかね。

 魔王軍も拡散ワーム・ブラストで魔物の侵攻が一時的に止まった隙を付いて、体制を整えて一斉射を敢行。更に魔物の侵攻の足をくじき、一気に戦況を優位にしている。

 これなら、しばらくはそうそう無理をしないでも大丈夫だろう。

 ここまで一気に情勢を傾けられて、魔域の意思が次の一手を打たないとも思えないが、それでも、さっきと同じスサノオの大軍を仕掛けてくる程度ならば問題ない。

 ないハズだよね?

 戦況も優位が確定した事だし、お願いだから少しは休ませてほしい所なんだけど、そうはいかないかな、これまでの経験上・・・・・・。 



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