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 本当にもう勘弁して欲しい。

 なんで魔域の活性化に普通にレジェンドクラスの魔物が現れるかね?

 しかも、数え切れない程、それこそ掃いて捨てる程の数がだよ。

 レジェンドクラスの魔物が出て来るのは覚悟していたけど、想定では、終盤に数匹程度だろと思っていたんだがな・・・・・・。

 本当にベルハウゼルを用意して置いて良かったよ。

 コレ、本気でベルハウゼルがなかったら対抗しきれないよ。


 因みに、現在既にライオルとファファルの2人は来ている。

 自分の力を確かめるように戦場を駆け巡って暴れ回っているけど、流石に今回の活性化の常軌を逸した魔物の侵攻には引いている模様。


「と言うか、本気でベルハウゼルがなければとっくに死んでるよな」

「そうですね。アベルさんはともかく、私たちではとてもではありませんけど、対抗しきれません」


 いや、俺だって無理だからねルシリス。

 と言うか、この様子だと終いにはジエンドクラスの魔物まで現れそうで怖い。

 このベルハウゼルやヒュペリオンなら倒せるはずなんだけど、実際にでてきたりしたらどうなる事やら。


「それにしても、活性化が始まって10日もしない内にこの有り様か」 

「問題は、活性化がどれだけの期間続くかですね」

「数カ月単位だと、流石にムリがあるわよね」


 現実問題として、このまま魔物の侵攻が時と共に激しさを増していく状況で、数カ月も続くとなると戦線を支えきれなくなるのはほぼ確実だろう。

 実際、俺の予測ではこのままだと戦線を維持できるのは後1ヶ月が限度だ。

 それ以上戦い続けるのなら、それこそ、他の遺跡からベルハウゼル以外の遺産を何個も引っ張り出して来る必要がある。


「それ以前に、この状況をどうにかしないといけないんだけどね」

「正直、何が起きているのか判らないのですけど・・・・・・」


 まあそうだね。

 俺自身、今の状況を正確に把握できているか判らないからな。


 事の始まりはほんの数分前、いきなり数百を超えるレジェンドクラスの魔物が現れたと思ったら、こちらが何かする前に一斉に自爆しやがった。

 そして、何が起きたのかすら理解できないまま、気が付けばこの異空間に閉じ込められていた。

 この空間がなんなのかすらも解析不能。少なくても次元断層ではない事は確かだけど。

 とりあえず今判ってい根のは、この空間ではあらゆるレーダーが無効化され、レーダーも索敵も何も示さない事と、完全に閉じられた空間らしく、転移魔法による脱出も不可能な事。つまり此処は俺たちを閉じ込める為のただ白いだけの何もない空間。どれだけの広さがあるのかすら判らない謎の空間に、何時の間にか閉じ込められていた。


「とりあえず、主砲斉射」

 

 そんな場所に閉じ込められた訳だけど、だからと言って何もせずに諦めるなんてありえない。そんな訳で色々と試してみる事にする。

 まあ、この程度でどうにかなるとは思えないけどね。

 案の定、放たれた閃光は遥か彼方へと消えていっただけだ。

 ただし、これでこの空間が途方もない広さを持っているらしい事が判った。


「成程ね。まあ、ココで時間をかけている訳にもいかないから、早く終わらせようか。そんな訳で、ブラックホール・エンジン、リミット解除。オーバードライブ」


 何がどうなっているのか調べる時間も惜しいので、力技で強制的に元に戻らさせてもらう。

 ブラックホール・エンジンは、このベルハウゼルに補助動力として2基設置されている動力機関だ。

 SFでお馴染みの、所謂無限動力機関であり、人類が造りえる中で最高のエネルギー機関。実際、1基で地球の全エネルギーを満たせるだけの出力を持つらしい。80億人が生活する為に必要な電気やガスなとのエネルギーをはじめ、車や飛行機などの動力、原子力空母や原子力潜水艦なども含む、全ての動力エネルギーを賄って余りあるだけの出力を持っているそうだ。

 でっだ、そんな動力機関なんだけども、何故にこのベルハウゼルに搭載されているかと言えば、とある特殊兵装のための専用機関としてだ。

 その名もブラックホール・キャノン。

 これまた、SFやロボットアニメ℃見かける強力な兵器の類だ。

 ただし、今回使うのはブラックホール・キャノンじゃない。


「縮退対消滅砲発射」


 2つのブラックホール・キャノンを最大出力まで高めた上で、2つのブラックホールを互いに対消滅させ、それによってそこに存在した全てのモノを、存在した現実ごと消滅させる兵器だ。

 次元の彼方に飛ばしてしまうのとは訳が違う。

 本当に、ありとあらゆる存在を欠片も残さず消滅させる兵器。

 間違っても、地上で使って良い様な兵器じゃない。

 下手をしなくても容易く星を消し去り、場合によっては恒星どころか、恒星系そのものを完全に消し去ってしまう禁断の兵器だ。


 本当に、なんでこんな危険なモノを造ったんだが・・・・・・。


 本当は使う予定なんて一切なかったんだが、この状況を打開するのに最も確実な手段だ。

 縮退対消滅砲によって、この空間が存在したと言う事実そのものを消滅させる。

 本当に、使い方を間違えると世界を滅ぼしかねない兵器だよな。

 全てを消滅させる漆黒の光。そうとしか表現できない何かが、白い空間を崩壊させていく。


「防蟻フィールド最大展開。転移変動領域展開」


 その暴虐の破壊の奔流に飲み込まれない様にしないといけない。

 下手をすると、この空間ごと俺たちも消滅させられてしまいかねないからな。

 崩壊する空間の歪曲ワームに合わせて、元居た場所への転移ホイールを形成する。

 そして、空間が完全に崩壊するのと同時に、場所を指定しない転移を行い、空間が崩壊の余波から免れ、元の場所に戻る。 


「無事に帰還しました。また、確認した所、私たちがあの空間に囚われてから、こちらでは10秒ほどの時間しか経っていない様です」


 はい。何とか無事に生還。

 それにしても何だったんだろうねアレ?

 まさかあんな攻撃を仕掛けて来るとは思わなかった。だけど、1度起きた事はこれからも起こりえる。また同じ攻撃を受ける可能性もあるのだから、今回集めた情報を徹底的に調査して、対策を立てないといけない。

 少なくとも、ベルハウゼルに乗ってなくても大丈夫な様にしておかないといけない。

 今回助かったのは完全にベルハウゼルのおかげだからな。

 もしも生身であの攻撃を受けていたら、まずどうする事も出来なかっただろう。

 そんな訳で早急に対策を狙いといけないんだけども、それよりもまずは戦いに集中しないといけない。


「戦況確認。転移攻撃に警戒しつつ。前方の敵を殲滅」


 無事に戻って来れたのは良いんだけど、ほんの少しいない間に戦況が悪化してない?

 どうも、俺たちに集中していた、魔物側の転移攻撃が、他に分散した結果、対応に手を取られて被害が出てしまっているようだ。


「なら、再びこちらに転移攻撃が集中する前に砲火を集中。敵を一掃する」


 敵の転移に対応しなくていいのなら、砲撃に集中できる。

 要塞に搭載されたブラックホール・キャノンを除く全砲門を開き、一斉掃射を敢行する。

 と言うか、縮退対消滅砲じゃなくて、ブラックホール・キャノンでも絶対に地上で使ったりできないよ。

 他の戦域の魔物も含め、2回の一斉射で2億を超える魔物を殲滅する。

 さて、これでまた魔域の意思は俺たちを第一目標に定めるだろう。


「続いて魔域内に転移。広域殲滅兵器グラビティ・バースト発動」


 グラビティ・バーストは、その名の通り要塞を中心として超高重力力場領域を造り出す兵装だ。対象領域にいるあらゆるものに、全方向から1000倍の重力が襲い掛かる。 


「戦線に転移。同時に装機竜人隊出撃。敵転移攻撃の迎撃に当たれ」


 ライオルとファファルが連れて来た竜騎士たちが要塞に待機しているんだよ。ちょうど良いから彼等にも戦ってもらおう。

 彼らの目的はベルハウゼルの性能、戦力を調べる事だけどね。

 それならこそ、一緒に戦ってこそ判るものもあるし。まあ、頑張ってくれたまえ、活性化の激戦の中に来たのだから、まさか戦わないでいられるとか思ってはいなかっただろ?

 戦力は有効に活用しないとね。


「さて、随分と手の込んだことをしてくれたけど、残念ながら早々簡単にやられはしないよ」


 まさか、数百のレジェンドクラスの魔物を俺たちを屠るために道具として使うとわね。

 次はどんな手で来るか?

 また、そろそろ状況が動きそうだ。


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